映画『マッチスティック・メン』結局黒幕は?ネタバレ戯言
特に好きな俳優というわけでもないのに、なぜか昔から出演作品を大量に観ているニコラス・ケイジ。
「とても良い演技なのにイマイチ作品に恵まれない・・」という俳優も多いですが、彼は逆と言いますか…。演技はちょっとアレな気もしますが、出演している作品はとても魅力的なものが多いです。
それゆえに「ニコラス・ケイジじゃなければ、もっと面白かったのでは・・・」と思ってしまう作品も。この『映画/マッチスティック・メン』も個人的にはそういう映画でした(汗)
マッチスティック・メン
2003年 アメリカ
主なキャスト:
ニコラス・ケイジ
サム・ロックウェル
アリソン・ローマン
監督:リドリー・スコット
脚本:ニコラス・グリフィン、テッド・グリフィン
ネタバレ無しのあらすじ
ロイ(ニコラス・ケイジ)は精神的な病を抱えており、行動がちょっとアレな感じの詐欺師。相棒のフランク(サム・ロックウェル)と共にケチな詐欺を繰り返しているものの、病気が原因で仕事もプライベートもグダグダ。
フランクに優秀な精神分析医を紹介してもらったロイは、治療の一環として十年以上前に離婚した妻との間の子、アンジェラ(アリソン・ローマン)と初めて対面する事になる。
しかし不器用ながらも父親として振舞おうとしていたはずが、いつの間にか「アンジェラに詐欺を教える」というヘンな方向に進み・・・・
・・・・といった感じの作品。
注!)動画は予告編ではなく、冒頭一部カット版です。オープニングクレジットが長すぎて、本編はニコラスがちょっと出てくる程度になります(笑)
キャストで戯言
冒頭で「演技がアレ」とか書いてしまいましたが、熱烈なファンも多いニコラス・ケイジ。
いやいや、私も決して嫌いというわけではないんですよ。しかしどの映画を観ても彼は「ニコラス・ケイジ」でしかなく、キレたり吠えたり暴れたり嘆いたり泣いたり…同じ表情で同じ演技をしているだけという気が…。
そんな彼の娘役に配置されるのがアリソン・ローマン。若い頃の彼女は凄まじいプリティーパワーですなぁ。『映画/ビッグ・フィッシュ』も破壊力抜群でした。しかし近年のアリソン・ローマンは…多くは語れません…。時の流れを呪いたくなります。
相棒役のサム・ロックウェルには特に思い入れはありません。脇に配置されるのが良く似合い、稀にメインに持ってきてみればイマイチ華が足りない俳優…といった印象です。ちょっと失礼な話ですな、申し訳ない。
ワン・ツー・スリー…
強迫性障害のロイはなんでも3回。ドアを開けるのも3回。窓のカギも3回。
さすがに声に出して「1,2,3」とは言ったりはしませんが、こうやりたくなる気持ちわかりますよね。え?わからない?おかしいなぁ…。
しかし病気の症状として「フォッ!フォッ!」とテンパってるニコラスは、どう見てもふざけてやっているようにしか見えず・・・非常に残念。
ホント、この作品は違う俳優で観たかったですなぁ。
個人的にはイーサン・ホークでやってもらいたかったかな、と。上手くいかずに空回りしたり、一人神経質になって周囲から浮いたり・・そういう演技、彼はとても自然で良いです。歳をとってからどんどん哀愁が漂うキャラになってきましたし。

ここからネタバレを含むよ!
伏線の張り方も上手
「ラストどんでん返し系」の映画は、いかにして自然な流れの中に伏線を紛れ込ませていくかが重要じゃないですか。
一言に「伏線の張り方」と言っても、あえて違う方向に裏読みさせるよう誘導する「ミスリード型」や、見ている最中にはごく自然だった部分が、結末を知ったうえで見返すと「これはアレだったのか!」と別の見え方になる「騙し絵型」などがあります。
いや、今なんとなく思いつきで勝手に名付けました(笑)
マッチスティック・メンはどちらかと言うと「騙し絵型」
特に精神分析医(のフリをした詐欺師)が、「オレは詐欺エンターテイナーだ!」と主張するロイに対して「泥棒だろ?」と冷たく言い放つシーンは、後から見返すとなかなか深い。
ロイに「全ての詐欺師の規範だと思っているのか?」と問えば、彼は「そうだ」と答え、「詐欺エンターテイナーだ」と声高に主張する。デカい詐欺を行っている自分達からすれば、ロイのやっている事などコソ泥も同然。精神分析医として欺いている最中ではあるが「チンケな詐欺師が偉そうな事言うな」という感情が漏れてしまっている…という、素晴らしい伏線だと感じました。
黒幕は?
結局のところアンジェラもフランクも、精神分析医も、お金持ちのオッサンも、そして刑事役の二人も・・・多数の人間を動員してロイをハメたわけですが、明確に「コイツが詐欺集団のボスだよ」という表現はありませんので、もしかしたら実行犯とは別にリーダーがいるのかもしれませんが・・・私としては精神分析医役が一リーダー格かな・・と。
ロイの反応に合わせて臨機応変な対応をとりつつ、狙った方向へロイを誘導しなければならない重要な役割ですし。
別の部分でもどんでん返し
ニコラスが前妻と再会し、当時妊娠していたお腹の子の事を心配していた(ように元奥さんからは見えるであろう)シーン。
これ、元奥さん的にはけっこうグッときますせんか?ああ、この人はずっと気にかけて罪悪感まで感じていてくれていたのか・・・と。
てっきりラストシーンの相手は元奥さん・・・かと思ってみれば、お気に入りのスーパー店員じゃないですか!しっかりイイ関係になって子供まで作ってるとは…。ええー、それはないわー。
どうでもいい余談ですが、終盤にアンジェラがロイの働く店にカーペットを買いに来る際の一緒にいる彼氏。どこかで見た事あるなー・・・と思ったら「映画・キャビン」で最後まで生き残ったラリ夫君だったんですね。。。。

本作ではチョイ役の彼が、主演級に活躍している映画はこれだ!
こういうチョイ役で出てきた俳優が「おお!?見た事あるぞ!」となった時って、微妙にテンション上がりますよね(笑)
個人的な戯言感想
なにはともあれ、ニコラスの不自然な挙動不審っぷり以外はスッキリと見れる流れですし、騙しのどんでん返しも気持ち良い。
個人的には「しっかりまとまった良作」という印象でした。ホント、彼が主演の映画ってハズレが少ないんですよねぇ。
…とか思っていられたのは少し前まで。最近は「彼以外は全員無名俳優、中身もスッカスカなB級映画」の主演として、客寄せパンダのような使われ方が多い気がしますけど…。