笑えるほどにツッコミしか思いつかない邦題の『映画/ドント・イット THE END』でネタバレ戯言。もはやタイトルだけで30分は語れるような邦題ですが、肝心の映画内容が少々残念なため、邦題ツッコミ話のほうが盛り上がるという・・・。
ドント・イット THE END
2018年 フランス・モロッコ
キャスト:
ヨネス・ブーア
ソフィア・マヌーシャ
監督:タタル・シェルハミ
ネタバレ無しのあらすじ
時は昔、『アシュラの日』を迎えたモロッコのとある田舎町。
年の離れた男に嫁いでいたバシーラは、彼女に好意を寄せる男子に手を引かれ、夫から逃げるように古びた屋敷へ。
しかしそこには恐るべき存在が・・・。
そして現代。
モロッコで連続発生している児童誘拐事件の担当だったアリは、仕事に没頭しすぎるあまり妻ナディアとの仲は険悪。息子ユーセフに対しても優しく接する事ができなくなっていた。
そんな折、捜査の過程で幼い頃生き別れになった弟と再会したアリは・・・
・・・といった流れで何をどう書いて良いのか悩む作品。
そのせいか、Amazon Primeではまるでトンチンカンなあらすじだったり…。
邦題で戯言
この『ドント・イット THE END』という作品の最大の特徴、それは・・・
アホにもほどがある邦題
これに尽きますな。
まず始めに申し上げておきますが、原題は『Achoura(アシュラ)』
音が同じなのでつい『阿修羅』をイメージしてしまいますが、それとは無関係。イスラム暦の新年から数えて10日目を指し、子供たちがお菓子屋やお小遣いがもらえる日だそうで。
しかーし、そんなタイトルじゃ日本で売れるはずがない。
まずはバカみたいに溢れかえっている『ドント』シリーズに便乗してしまいましょう(シリーズではありませんけど)。いや、せっかくなら他作品の続編を装って売り出そう!
…ということで選ばれたのは『ドント・イット』
これはこれで『ドントの後に動詞を配置しない』という文法クソ喰らえなアホ邦題ですが、なぜこれを選んだのかは不明。パッケージはあまりにも寄せすぎで心配になってきますな。
そして次に取り出しますは、あの超有名作品『IT(イット)』、しかも2017年リメイクの『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のほうを。
この作品は二部作になっており、後編のタイトルは『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
続編になると『THE END』が付くのだから、それを『ドント・イット』に適用すると・・・
はい!『ドント・イット THE END』という、どこにもオリジナリティのないパクリ邦題のできあがりでございます!
昨今、こういった手法の邦題がバカみたいに湧いている理由はネットによる『キーワード検索』というシステムのせいかと。
有名作が検索された際に、あわよくばこっちも目に付けば・・・という事なのでしょうな。まったく、いつになっても邦題を考える人間の脳ミソはクソレベルのようです。
邦題もヒドいが中身もヒドい
『ドント』シリーズに寄せただけでは飽き足らず、大御所『IT/イット』にまで便乗しようという節操のなさには呆れてしまいますが・・・肝心の中身は?というと、そちらも決して絶賛できるようなものではなく。
いえいえ、大筋のストーリーは決して悪くないんです。
数十年前に起きた事件、そこから繋がる現在、4人の幼馴染、徐々に明らかになっていく過去。
謎の老人の正体は、好きだったあの子を数十年前に目の前でさらわれた男の子だった・・・なんてテンション上がるじゃないですか。
しかしいかんせんそれらを、
残念すぎる構成
と
残念すぎる演出
が台無しにしているという…。
悪しき存在ブガタトゥの造形はそれなりに頑張っているものの、過去と現在の表現がイマイチ上手とは言えず、それに加えてツッコミどころだらけの展開と微妙な演技。
最後もその後が気になりそうな面白い終わり方なのに、真っ先に感じるのは「なんで子供に入れたん!?」という衝撃ばかり。
てっきり『自分に入れて、自ら命を絶つ』…という終わり方になるかと思ったんですけどねぇ。サミール(弟・無駄死)には入れられたので、子供しか無理というわけじゃないと思うのですが・・・。
超個人的な戯言感想
邦題だけでなく映画そのものにも”スティーヴン・キングっぽい”カットや表現が随所にあり、作り手側もそこらへんは狙っていたことが感じられる『映画/ドント・イット THE END』
ストーリーもなんとなくそっち系ですが、いかんせん力及ばず。
残念ながらB級にも届かないC級作品となっているのでは・・・というのが個人的な感想ですなぁ。そこに追い打ちをかけるようにバカ邦題ですから、もう救いがないにもほどがある。
タイトルだけで話題になる映画ですので、話のタネに見るのも良いかもしれませんが・・・人生の残り時間90分をドブに捨てる覚悟は必要ですぞ。