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1992年『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』のリメイクと紹介されることが多いものの、監督のヴェルナー・ヘルツォークは「リメイク?アホかオリジナルじゃ」と完全否定。話の内容も全く別物の『映画/バッド・ルーテナント』(2009年)でネタバレ戯言を。

バッド・ルーテナント
(原題:Bad Lieutenant: Port of Call New Orleans)


2009年 アメリカ

主なキャスト:

ニコラス・ケイジ
エヴァ・メンデス
ヴァル・キルマー
アルヴィン・“イグジビット”・ジョイナー
ショーン・ハトシー
マイケル・シャノン

監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
脚本:ウィリアム・フィルケンスタイン

ネタバレ含まないあらすじ

大型ハリケーン”カトリーナ”が直撃し、水没してしまったニューオーリンズ警察所。

逃げ遅れた囚人を救出し警部補へ昇進したテレンス(ニコラス・ケイジ)だったが、その本性はまさにバッド・ルーテナント(悪い警部補、の意)。

彼は警官でありながらヤク中で、売人からドラッグをせしめ、一般人からは奪い、証拠品保管所からも盗む。そして賭け事へ大金をつっこんでは負け続け、金にも困窮。

しかしなぜか美しい高級娼婦フランキー(エヴァ・メンデス)は彼にぞっこん。

やがて彼はとある事件の担当となるのだが…

キャストで戯言

主演はこの人。相変わらず何をやっても似たような演技のニコラス・ケイジ

詐欺師をやってもニコラス・ケイジ。教師をやってもニコラス・ケイジ。刑事をやってもニコラス・刑事。

さすがにアカデミー賞俳優だけあって表現力は高いものの、ニコラス・ケイジ本人が悲しんだり喜んだりしているだけで彼以外の誰でもない。

彼のようにどんな役柄であろうとも『自分のキャラ』でしか演じる事しかできない俳優を、私は勝手に「キムタク型俳優」と呼んでいます。

そんな彼になぜかべったり惚れている娼婦役はエヴァ・メンデス

スラッとしたスタイルが素敵なので身長が高いのかと思いきや168cmとのこと。あら意外。現在はライアン・ゴズリングと結婚し、美男美女夫婦に。

ついでにもう1人、ニコラス・ケイジの同僚刑事に大物ヴァル・キルマーが登場。

『映画/トップガン』ではアイスマンとしてクールなライバルを演じ、『映画/ウィロー』では不屈の戦士マッドマーティガンを演じ、そりゃもうカッコ良い俳優だったのに今じゃ下ぶくれのオッサン。

しかもケイト・ブランシェットに本気惚れしてオーストラリアまで行ってみたり…どうしたのこの人は。

出典:
ヴァル・キルマーがケイト・ブランシェットに猛烈アプローチ
(livedoor News)

リメイクで戯言

冒頭でも書いたように、本作は1992年のアメリカ映画『バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト』のリメイクと言われており、日本版予告動画でもそのように書かれています。

・・・が、登場人物の名前は異なり、ストーリーも完全に別物。『タイトル』『ドラッグと賭け事に狂った警部補の物語』という点は共通ですが、到底リメイクと呼べる内容ではない。

監督であるヴェルナー・ヘルツォークも明確に「無関係」と発言していますが、そうなると「1992年作品の設定をパクったのでは?」という疑問も…。

なお1992年版で男二人から暴行を受けた修道女と、本作での高級娼婦が同じ名前(フランキー)ということに悪意を感じるのは私だけ?

ここからネタバレを含むよ!!

相変わらずのテレンス

とにかく誰が見ても「いやいや、そんなんでいいの!?」と戸惑うような暴走っぷりのテレンス。

日本の警察官にもクズみたいな輩は多いですが、さすがににここまでブッ飛んでいるのは見かけませんなぁ。

どんどん収拾のつかない方向に落ちつつも、反省する事もなければ生き方を改善しようともしない。しかしトントン拍子に物事がうまくいき、果ては警部に昇進!

もうマジメに生きるのがバカらしくなってきますな。

映画としては『ヤク中のロクデナシだったが、警察官として誇りは残っていた』的な流れで締めるのが王道なのでしょうが、それっぽい雰囲気を出しつつも『警察官としての誇りは残っていたが、やはりろくでなしはろくでなしだった』の方向で締められます。このひねくれた作りがイイですな。

決して”映画らしい”ストーリーではありませんし、テレンスがハイになっている時のイグアナやダンサーなどの幻覚、不意に差し込まれる陽気な音楽、水槽前でただただ体育座りをする尺の長いラストなど・・・ありきたりな映画に慣れた人間には理解し難い表現も多く、「なんじゃこりゃ」で終わる方もいるかと。

ちなみに『リメイク元ではない』とされている1992年版バッド・ルーテナントでは主人公は最後死にます(笑)

超個人的な戯言

その空気感と演出を楽しめる人であれば「カッコイイ」「味わい深い」と思えるのですが、そういう系が理解できない人には「意味わからん」となってしまいそうな『映画/バッド・ルーテナント』

私はこの映画を約10年前に初鑑賞、去年あたりに再度鑑賞、今回で三度目となるのですが…三回とも印象が違うのが面白いところ。初鑑賞時はホント「なんじゃこりゃ、意味わからん」でしたよ。浅かったんですなぁ。

しかし去年の鑑賞時は「まぁそれなり」で、今回は「おお、なるほど!」に変化。味の変わるガムを10年かけて食った気分ですな。

昔観てイマイチ面白くなかった方は再鑑賞してみるのも良いかもしれませんよ。あまり期待せず、流し見るくらいの気持ちで・・・。