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今回の1本は劇場未公開の『映画/ユージュアル・ネイバー』、パッケージに書かれている「驚愕のラスト15分!」に関するネタバレを含みますので、未鑑賞の方はご注意を。

以前は『映画/マッド・マザー 生贄の少年』などという鬼クソ邦題でしたが、いつの間にかこのタイトルに変更。たしかに多少マシになった気がもしますが、せっかく原題の『The Harvest』が素晴らしいのだからそのままで良かったのでは…と。

ユージュアル・ネイバー
(原題:The Harvest)


2013年 アメリカ

主なキャスト:
サマンサ・モートン
マイケル・シャノン
チャーリー・ターハン
ナターシャ・カリス
ピーター・フォンダ
メドウ・ウィリアムズ

監督:ジョン・マクノートン
脚本:スティーヴン・ランセロッティ

ネタバレ無しのあらすじ

車椅子で自宅にこもる生活を送るアンディ(チャーリー・ターハン)。

そんな彼のもとに、隣人である老夫婦の家へ引き取られてきた孫娘マリアン(ナターシャ・カリス)が現れる。

二人はすぐに友人となるが、アンディの母親(サマンサ・モートン)はマリアンを息子から遠ざけようとするが、人の言うことを聞かないマリアンは非常識なまでにグイグイとアンディの元へ。

何を言っても無駄な母親 vs 何を言っても無駄な少女。

その間に挟まれたアンディの運命や如何に。…という流れで展開するものの、大事なのはそこではなく地下室。

…といった内容の作品。

注!)動画は予告編というよりも本編映像を繋ぎ合わせただけ。面白さ半減な部分まで入っているダメ動画なのでご注意を。

キャストで戯言

誰を主演として良いのか迷う作品ですが、まずは車椅子生活の少年アンディから。

演ずるのはチャーリー・ターハン、マイナー作品が多いものの出演作品多数の名子役であり、『映画/アイ・アム・レジェンド』での少年役が一番メジャーかと。

その彼にグイグイと踏み込んでくる少女マリアンはナターシャ・カリス

本作の前年公開作品『映画/ポゼッション』でヤバいほどの演技を見せてくれたすきっ歯少女ですな。あっちでは憑依されてパンツ丸出しでキシャー!な事になっていますので、興味のある方はぜひ。

映画『ポゼッション』より

そんな二人の前に立ちはだかるヤバい母親をサマンサ・モートンが怪演。もはや何を言っても無駄な彼女に憔悴しつつ、ちょっぴり不倫でエネルギーチャージしながら頑張る父親を名優マイケル・シャノンが好演。

ついでにマリアンを引き取った家の祖父母。話のわかる爺ちゃんを演じているのはピーター・フォンダ『映画/ルームメイト』での金髪ショートヘアが美しい女優ブリジッド・フォンダの祖父でもあります。

余計なキャッチが…

本編の内容に入る前に…

いつも口がすっぱくなるほど言っていますが、日本の映画宣伝に関わる人間の脳ミソってどうなっているのでしょう…。呆れてものが言えないようなキャッチコピー・邦題・サブタイトル・予告・広告展開が多すぎて、もううんざりですよ。

この作品もパッケージの地下室にいるもう一人の少年』『なぜ、君は僕と同じ名前なの?ってキャッチ、コレなんなんですか。本当にしっかりと作品観た?内容理解した?

地下室にもう一人少年がいる事を鑑賞前に教える…って、もうアホなの?としか言えず。ついでに『なぜ僕と同じ名前なの?』もおかしいですし。

うーむ、もう少し考えて欲しいものです。

以前の邦題『マッド・マザー/生贄の少年』も短絡的すぎて泣けてくるようなタイトルですけど(泣)

ここからネタバレを含むよ!!

衝撃の中盤3分
予想通りのラスト45分

DVDパッケージなどには『衝撃のラスト15分!』と書かれている本作ですが…ホント申し訳ない、最初に言ってしまえば全く衝撃じゃありませんでした…。

衝撃だったのはちょうど真ん中あたり。マリアンが忍び込んだ地下室で少年を発見し…

え!?え?!誰これ?!

の一瞬だけ。

しかしすぐにあー、これが本物のアンディか!だから横流しみたいな方法で薬品を手に入れていたのか!と繋がってしまいますし、その直後にレントゲンの1枚の名が「ジェイソン・キマニック」となっているのを発見した時点で今までアンディだと思っていた車椅子の少年がジェイソンだったんだ!と普通に感じませんか?

そして彼が歩けないのも足が不自由なのは逃げ出せないようにしてたって事!?こわっ!!とすぐ予想できちゃうじゃないですか。ここで全てネタバレていると思うのですが…。

しかしなぜか話の流れは『地下室=ジェイソン・車椅子=アンディ』で展開。あれ?

マリアンまで「地下に子供がいるの。名前はジェイソン・キマニック」って…、ジェイソンあんたの目の前にいるやん!?

ああー、なるほど…。もしかしてコレ、ミスリードのつもりだったのですか…。

『なんと地下室に誘拐してきた少年を監禁していた!(アンディのドナーとするため)』→『実はそっちが本物で、アンディだと思っていたほうがジェイソンでした!』…と驚くのが理想の流れだったですね。

いやいや、ここまで露骨に見せる展開でそっちに勘違いする人います??

中盤にそこまでわかってしまえば、あとの後半はもうただただ『予想通りの展開』が続くだけ。父親がああいった行動に出るのも、彼のこれまでの言動を見ていればそのまんますぎるくらいですし。

私は幸い、予備知識ゼロで鑑賞したので半分は楽しめましたが…さきほど言ったように、パッケージから『地下室にもう一人少年がいる』ってのを事前に明かされてたら、もう驚くところゼロですよ…。

ほっこりのラスト1分

切なくも悲しい流れで父親と本物アンディが炎に包まれ、おまえも一緒に焼けちまえ!と言いたくなるような母親も無事に焼却。

やはりアンディ(本当はジェイソン)は意図的に車椅子生活にされていたようで、だいぶ元気になってきました。念願の野球ができて良かったね。ほっこり。

あの様子だとマリアンの祖父母が引き取ってくれたと思われますので、今後は幸せに暮らせることでしょう。

しかし事件が明るみになって捜査が入り、地下室から3つの死体が出て、ジェイソンは過去に誘拐された赤子だとなれば・・・本当の親元に戻されてしまうのでは…。

もしかしたらジェイソン自身がそう強く望んだのかもしれませんが、私の勝手な解釈では『地下の遺体を誘拐されてきたジェイソンとし、彼がアンディ(両親が亡くなって孤児となった)としてマリアン祖父母が引き取った』かな、と。

待てよ?そうなるとマリアンとは同じ屋根の下で暮らすことに?いやいや、それはマズい!あんな仲の良い若者二人が一緒に暮らしたりしたら、あんな事やこんな事してしまうに決まってるじゃないですか!破廉恥だわ、いけません!

個人的な戯言感想

…というわけで。

衝撃だったかと問われれば「いえ、ほぼ先が読める展開だけのお話でした」と答えざるを得ませんが、映画としてはなかなか面白い作品だったのではないかと。

しかし最も怖いのは母親ではなく原題ですよ…。だって『The Harvest』(収穫)ですよ。…ぞわっ。

庭にトウモロコシを植え、カカシのエピソードなどで目をそらしておき…後ほど「収穫」の本当の意味を知ったときの怖さときたら…。実にエグいですな…。