今回の1本はギレルモ・デル・トロ監督作品『映画/ダーク・フェアリー』、ネタバレとラストの展開を含みますので未鑑賞の方はご注意を。
日本じゃいまいち馴染みの薄い『歯の妖精』ですが、あっち(西洋)では非常にポピュラーな存在。抜けた乳歯を枕の下に入れておくとコインと交換してくれたりするそうですよ。
ダーク・フェアリー
(原題:Don't Be Afraid of the Dark)
2011年 アメリカ
主なキャスト:
ベイリー・マディソン
ガイ・ピアース
ケイティ・ホームズ
ジャック・トンプソン
監督:トロイ・ニクシー
脚本:ギレルモ・デル・トロ、マシュー・ロビンス
ネタバレ無しのあらすじ
大人の勝手な事情に翻弄され、父親(とその恋人)の住む古い洋館にやってきたサリー(ベイリー・マディソン)。
その屋敷には隠された地下室があり、なんとそこには恐ろしい魔物(トゥース・フェアリー)が潜んでいたのだった…。
・・・で、あらすじが終わってしまうような内容。
加えて言うならばお父さんは少々ダメ人間でヘタレ。その恋人は中途半端。肝心のサリーは残念なルックス。
・・・そんな作品。
キャストで戯言
若かりし頃はあんなにカッコ良かったのに、なぜかいつの間にか不遇な役ばかり演じるようになったガイ・ピアース。かませ犬のような扱いだったり、途中であっさり死ぬ役だったり、自意識過剰なダメ野郎だったり。
本作でも『一見こざっぱりして気さくな父親だが、中身は小者の自己満足野郎。さらにめっちゃ弱い』という残念キャラ。うーむ、それが似合ってしまうところがさらに悲しい…。
そして「若いと言われてたけど実際は若くない。オバチャン」などと言われてしまう恋人役はケイティ・ホームズ。
トム・クルーズと結婚してから人生が急速落下し、降板したり叩かれたり炎上したりのリアル不遇女優ですな。私もあまり好きではありません。
…と、大事な人を忘れていました。本作の主演、子役ベイリー・マディソンを。
そりゃ忘れますよ、だってこの子…
めちゃめちゃ可愛くないんですもの(笑)
なんですかこの「下ぶくれ&への字ぐち」で「ふてくされた顔」は。
たしかに本作のような「親のせいで少々歪んでしまった可愛げのない子供」には適役のツラではありますし、ここでめっちゃ可愛い子役を使われてしまったら映画全体のダーク感が薄くなってしまうでしょう。まさにベストなキャスティングではあるのです。
うーむ…しかし…。
ココからネタバレを含むよ!!
ざっくり戯言フロー
正直なところを言ってしまえば「クソではないが面白くもない。それなりの展開でそれなりに終わる凡ホラー」といった印象ですので、特に掘り下げて考察するべき点も無し。
そんな時はコレ。話がノッてこない映画はいつもの「ざっくり戯言フロー」で片付けちゃいましょう。
- 下ぶくれだけど可哀想なサリー
- 大人の勝手な事情で母親のもとから父親の住む家へと送られたサリー。
今は離婚も母子(父子)家庭も珍しくありませんが、「子供の幸せのため」などと言い訳して自分が楽な道を選ぶのはやめていただきたい。
…と、不遇な子供時代を送った私としては思うわけです。映画とは関係ないですけど。
- トトロを探してたら地下室発見!
- トトロは探していません。
ヤブの中を探検している下ぶくれの子供…ってのがどうにも「メイちゃ~ん」にしか見えなかったもので。
「トトロいたもん!!」…ではなく「地下室あったもん!!」の展開。
- なんか変なのデター!
- 地下室の奥深くに潜んでいたのはトゥース・フェアリー(歯の妖精)。
作品によって描かれる姿が違いますが、本作のでのフェアリーはその中でも特にヒドい小さく汚いネズミ人間(笑)
肉体的なダメージは小さいものの精神的なダメージが大きい『鍵穴から目を狙う・カミソリでスパッと切る』などを駆使してくる嫌なヤツらですな。
- このへんダラダラ
- とりあえず屋敷にいたのは『どう見ても悪いやつ』なわけですが、それを言っても大人は信じない。
まぁホラー映画で子供がヒドい目に遭う時って、親が信じてくれないのはお約束ですな。
このあたりから、終盤の加速モードに入るまではダラダラした展開が続きます。
これでサリーもしくはキムが可愛けりゃ耐えられるのですが、どっちもブサ…いや、ファニーなお顔なので…。
- お父さんスイッチON!
- これまたアメリカ映画のお約束。
ぜんぜん信じていなかったクセに、終盤になると急に全力で味方し始めるというご都合展開。
しかしお父さんはめっちゃ弱カスなので、いいように転がされたり切られたり刺されたり…。
ホラーでもサスペンスでも『台所で武器を探すとなったらキッチンナイフ!』ってのが定番ですが、ここでお父さんはまさかの肉叩きをチョイス!(笑)
唐突なお約束破りに困惑。
- キムが犠牲に…
- なんやかんやでフェアリー(のCG)と死闘を繰り広げつつ、最後の最後でキムは『自らの命を顧みず、サリーを逃がす』という決断に。
本映画で1、2を争うであろうイタタタ描写『スネが逆に折られる(泣)』を喰らった上に、奥深くの闇へと引きずり込まれるキム。
うーむ、そんな狭いトコよく通ったね。
- ホラーといったら余韻
- キムのおかげで一命をとりとめたサリー。そしてロクに活躍していないけど生き残った父親。
どうやら家は競売にかけられたらしく、キムへの想いをこめた絵を屋敷に残し去っていく親子。
…しかし奴らは消えたわけではなく、次の獲物を待ち続けるのであった。
しかも穴の奥深くから聞こえてくる囁きに、なんとキムの声が…。彼女も奴らの一員として取り込まれてしまったのか…。
・・・でエンド。お疲れさまでした。
個人的な戯言感想
なんでしょう、それなりに王道の展開ですし、ごくごく自然に見れるホラーではあるのですが・・・驚きの展開や衝撃のドンデン返しに慣れすぎてしまったせいか、なんとも屁ぬるい気分が残る映画でした。
これで超絶大好きな俳優でも出演していれば、感想も変わってきたかもしれないんですけどねぇ。
お父さんはイーサン・ホーク、恋人役はアレクサンドラ・ダダリオ、娘がソフィア・ウェルスだったりしたら100回くらい見ますよー。