騙しパッケージで中身スッカスカのB級グロスリラー『映画/戦慄病棟』でネタバレ有りのあらすじと戯言感想を。
なお2014年オーストラリア作品で『映画/パトリック 戦慄病棟』という映画がありますが、本作とは無関係。こっちは2015年作品で『パトリック』が付かないヤツです。ただし主人公はパトリックですけど(紛らわしい)。
戦慄病棟
2015年 アメリカ
キャスト:
ケリー・ブラッツ
ブリタニー・カラン
スティーヴン・ラング
ニック・ニコテラ
ゲージ・ゴライトリー
ブレット・ディーア
ニック・ノーデラ
監督:マーカス・ニスペル
脚本:マーカス・ニスペル
あらすじ
1916年、知的障害・精神障害を抱えた児童の治療ならびに教育を目的として設立されたエクセター児童院だったが、院内の劣悪な環境や虐待行為などが明るみとなり、1970年代後半に閉鎖。
しかし廃墟と化した施設には今もなお、子供たちの亡霊が彷徨っているとの噂が・・・。
・・・というワクワクするような滑り出しで始まるものの、しっかりした設定はそこだけ。
後は若者のノリでギャーギャー騒いだり、その場その場で言動が激しく変わったり、憑りつかれたり刺したり切ったりでグギャー。
トイレットペーパーが転がるだけで『バーン!!』とデカい音が鳴るような作品。
キャストとパッケージで戯言
完全B級映画だったりチョイA級映画の脇役だったりでちょろちょろと出演している俳優が揃っていますが、名前を出してもピンとくる人はほぼいないと思うので戯言は一人だけ。
ちょっと怪しいコンウェイ神父を演じているのはスティーヴン・ラング。
わかります?『映画/ドント・ブリーズ』でヤバい盲目老人を演じたあの爺さんですぞ。
2021年には続編『映画/ドント・ブリーズ2』まで公開されたので、B系スリラーが好きな方なら見たことがあるのではないかと。
今回はキャスト話が短いので、ついでにパッケージにも触れておきますか。
ヤバいことになっているお姉ちゃんの「退院したい!退院したぁぁぁぁい!!」という叫びが強烈ですなぁ。
これだけ見ると『入院してしまったら終わり系・病院ホラー』を想像してしまいますが、
まったくそういう話ではありません
というか入院しません。なので退院もありません。
もうここまで来ると詐欺罪で起訴されて一審で有罪になって控訴するも二審でも有罪、最高裁までもつれこみそうな勢いですが、日本国内の配給会社も「どうせこんなB級映画で細かいこと言うヤツはいねぇだろ」と高を括っているのでしょうな。ええ、別にかまいません。
なんならもっとお色気要素を匂わせてくれても良いくらいですわい(作中、お色気はほぼ無し)。
ゴア強め・お色気控え目・ギャグ多め
いらっしゃいませ、グロ・ゴア・スプラッタ好きな映画マニア様。
本日のメニューは…
『芝刈り機に両手突っ込んでズババババ』
『枝切りバサミを腹にぶっ刺し』
『両目玉に歯ブラシ突っ込み』
『ツルハシ持って転んだらお腹にドーン』
『フォークではなくスプーンで刺される』
『アンパンマン的に顔をカット』
『首が180度逆を向いたまま散弾銃で脳ミソぶしゃー』
となっております。どれにいたしますか?え、決められませんか?あんたも好きねぇ。
でもご安心下さい、
本作は全て入っています。
なにせあの『映画/テキサスチェーンソー』の監督だけあって、残酷描写にはとことんこだわった仕上がり。
ぶっちゃけ個人的には「アレコレやっているが、そこまでグロくはない」という印象ですが、わたしゃそこらへんのネジが緩くなりすぎているので全く参考にならんですな。たぶん耐性低い人なら目を背けるレベル・・・なのか?よくわからん。
そしてB級ホラーといえば『お色気要素』もお約束ですが、本作でのお色気要素は冒頭にタトゥー姉ちゃんがおっぱいを晒し、ちょっと尻を披露してくれる程度。すぐに頭ぶっ飛んで死にますけど。
グロは欲しいけどエロはいらねぇんだよなー・・・という硬派な変態には安心の仕上がりとなっております。よくわからんけど。
そしてこれまたB級ホラーに欠かせない『笑い要素』はしっかり盛り込み済み。
要所要所でジョークの効いたセリフや演出をしっかりとブッ込んでいますぞ。
…が、場の空気が全く笑いに傾かないまま淡々と流されていくため、笑って良いのか困惑。決してスベってるわけではないのに、まるで場の誰もジョークに気づいていないかのような新感覚が味わえます。やっぱりよくわからんけど。
ネタバレあらすじ
作品紹介のあらすじでも書きましたが、本作はエクセター児童院に関する部分だけはしっかり設定が作ってあるものの、肝心の物語のほうはかなり適当。
ストーリー展開も非常に雑で、あれよあれよと言う間に若者達がヒャッハーし、いつの間にか少年が悪魔に憑りつかれる。
ゲスなオッサンの首が180度回ってヨタヨタ歩いたと思ったら脳ミソが飛び、頼みの綱の神父はあっさり車にハネられてドーン!そして助手席女性の股間に顔からダイブ。
・・・と、ここまでで映画開始20分ちょいですぞ。
後は憑りつかれた少年が縛られたり、急に自由に動き回ったり、当たり前のように再び縛られていたりを繰り返しながら、情緒が安定しない若者達がギャーギャーと右往左往。
少年が元に戻ったと思ったら今度はお姉ちゃんがグワー。お次はメタボなお兄ちゃんがグワー。
『憑りつかれた友人を容赦なくボッコ』→『殺ったか?』→『グワー!(復活)』→『容赦なくボッコ』→『殺ったか?』→『グワー!(再復活)』→以下繰り返し
という天丼ループを繰り返している隙に、ハネられて脈が止まっていたはずの神父も復活して若者を追い回す。
最後は『施設で最も危険だったデヴォンという名の少年は実は死んでおらず、なんと主人公パトリックと一緒に行動していたレイン(女。作中では名前を呼ばれていなかった気が)でした!』という一回転半ひねりで着地するも、もうアレとかコレとかぐっちゃぐちゃになりすぎて衝撃感は薄め。というかもうどうでも良い感じ。
だってねぇ、あまりにも雑すぎるんだもの。
言動や態度が不安定すぎる登場人物が多く、強引にストーリーを持っていくためのご都合展開・ご都合セリフも連発。ラッシュ時は5分と間をおかずにジャンプスケアを乱発してくるため、もう耳と感覚がマヒして驚きは感じられず。
『精神科病棟』『亡霊』『空中浮遊』『悪魔憑き』『悪魔払い』『ウィジャボード』『召喚』『ネット社会』『ドラッグ』『兄弟の絆』などなど…パワーワードを盛り込みすぎているせいか、そのどれもが薄味で中途半端。
カメラワークや俳優の演技、小道具のクオリティなどは決して悪くはなく、そこだけ見れば決してB級とは言えない仕上がりなだけに非常に残念な感じがしますなぁ…。
超個人的な戯言感想
・・・というわけで、良いトコはたくさんあるのに肝心な部分の雑感が否めない『映画/戦慄病棟』
それと最初に憑かれてパンツ一丁で縛られるのが『少年』ってのもねぇ・・・。ショタならハァハァするのかもしれませんが、こんなガキが横玉見えそうな恰好でドタバタしている光景は正直見たくありませんな。
一部の方からは非難されそうですが、やはり悪魔に憑りつかれるのは少女がイイ!!…と再確認した次第でございます。