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ちょっぴり斬新な切り口から悪魔祓いを描く『映画/ドクター・エクソシスト』、ネタバレと結末を含む記事となるので未鑑賞の方はご注意下さい。

ドクター・エクソシスト
(原題:INCARNATE)


2016年 アメリカ

主なキャスト:

アーロン・エッカート
カタリーナ・サンディノ・モレノ
ダヴィード・マズーズ
カリス・ファン・ハウテン
キーア・オドネル
エミリー・ジャクソン
マット・ネイブル
トーマス・アラナ
カロリーナ・ヴィドラ
エムジェイ・アンソニー

監督:ブラッド・ペイトン
脚本:ロニー・クリステンセン

ネタバレ無しのあらすじ

過去に交通事故で妻子を失い、自らも車椅子生活となっているエンバー(アーロン・エッカート)

「患者の心の中に入る事で悪魔を祓う」という独自の手法を用いるエクソシストとして活動する彼だが、真の目的は妻子を死に追いやった『マギー』を見つけ出して殺す事だった。

そんなエンバーの元に舞い込んできた「悪魔に憑かれた少年を救って欲しい」という依頼。

被害者となった少年キャメロン(ダヴィード・マズーズ)に憑りついている悪魔が『マギー』であると確信したエンバーは、自らの危険も顧みず少年の心へとダイブする…

・・・といった内容の作品。

キャストで戯言

内容なんぞどうでも良い、大好き俳優アーロン・エッカートが動いて喋るならばそれで良いっ!…という目的での鑑賞だったのですが、なんですか今回の彼は。めちゃめちゃカッコ良いじゃないですか。

彼がこれほどまでに汚いロン毛&汚いヒゲが似合うとは思いもよりませんでしたよ。残念ながら「患者の心の中」での彼はよく見る短髪青ヒゲでしたけど(泣)

彼以外に『超有名俳優』と呼べる方は出演していないものの、バチカンからの使者・カミラ役のカタリーナ・サンディノ・モレノは美人ですし、それ以上にチョイ役助手のエミリー・ジャクソンが可愛すぎてほっこり。

ついでにほんの少しだけしか出てきませんが、すでに亡き妻役カロリーナ・ヴィドラも美人。

正直なところ、知ってるブスが出るよりも知らん美人のほうがテンションは上がります(失礼)

え?女性陣の中で一番目立っているキャメロンの母親、リンジーですか?いやいや…

彼女(カリス・ファン・ハウテン)はちょいちょい浅野温子に見えてくるので触れません。察して下さいよ、嫌だなぁもう。

斬新で地味な悪魔祓い

悪魔祓いと言えば十字架を押し当てたり、聖水を振りかけたり、無理矢理頭をひっつかんで「出てけー!」と叫んだり・・・それに対して憑りつかれた人間がグギャー!と叫んだり緑の液体を口から出したり関節が逆に曲がったり・・・そんな光景が真っ先に浮かびますが、本作の悪魔祓いは全く別モノ。

精神世界に入り込み、憑りつかれた者を目覚めさせる…という、現実世界的には静かな絵ヅラでの戦いとなります。たまに浮き上がったりはしますけど。

じゃあ肝心の精神世界はどうなのかと言えば…そちらも非常に地味。映画においてそういった世界を表現する際は『映画/ザ・セル』などのように『CGバリバリ、非現実的でカオスな映像』ってのが多くなりがちですが、ほぼほぼ現実世界と変わらない描写での脱出劇を見せられる事となります。

なんでしょう、キャスティングも含めて全体的に地味な作品…という印象が強いです。ベタなエクソシスト作品とは一線を画す斬新さは良いんですけどね。

マギーとは?

設定と序盤の掴みは良かったものの、そもそも大事な『マギー』という呼称に関して、ちょっと混乱と言いますか…紛らわしいと言いますか。

エンバーの妻子が亡くなった事故、新聞の切り抜きによると対向車を運転していた容疑者が『マギー・グラント』となっています(飲酒運転とも書いてある)。

そしてバチカンからの使者カミラはキャメロンに憑りついているのは『マギー』だと言い、エンバー自身もキャメロンの母に対し、自身の事故に関わっているマギー・グラントに憑依(エンバーは寄生と表現したりしていますが…)していた存在が、キャメロンに憑依しているものと同じ…と言っています。

んん?マギーはとりあえず人の名だよね?それに憑依していた悪魔をマギーと呼んで追っている?あんたが探している『マギー』ってのは人のマギー?それとも中身?…というかマギーの中にいたマギーはキャメロンに憑依したのだから、もうマギーの中にはいないの?それとも複数に入れるの?

…うーむ。

どうやら『事故を起こしたのはマギー・グラントの中に憑依していた「何か」で、その後もずっと彼女の中にいるとは限らないが、とりあえず『マギー』と呼んで追っていた。その「何か」が今はキャメロンに憑依している』という事なのかと。

「サタン」とか「バアル」とかなじみ深い悪魔名ではなく、ドドーンと顔写真まで貼って事故を起こした相手(その時憑依されていた人間)の名前で追うから紛らわしくなってしまうのでは…。

そもそもエンバー自身がこれらの存在を「悪魔」と定義していないので、個別の悪魔名で呼ぶわけはないんですけどね。もう少しココをわかりやすくしたほうが良いのではないかな…とは思いました。

強引展開からのバッドエンド

さてさて。そんな紛らわしい『マギー』との対決。

一旦は「夢オチハッピーエンドか!?」と思わせるような展開に持っていくものの、やっぱりそんな美味い話はなく。

最終的に「これ、絶対ラストで大事になるヤツだろ」とみんなが予想していたであろう謎の血清『C-79』を使い、感動の音楽とともに窓下へとエンバーはダイブ!とすることで決着をつけました。

しかし集まる野次馬に向かって「ダメよ!彼に触らないで!!」と警告しておきながら、そう言ってたあんたらがすぐに手を握ったりベタベタ触ったり…あれれ?「宿主が死ぬと、接触している別の人間に移る」という性質があるから「触るな!」って言ってたんだよね?なのにあんたらは触るの!?

そしてまるでスタンバイしていたかのように即座に駆け付けた救急車に乗せられ、心停止から蘇生したエンバーは…手を握っていたカミラへと『マギー』を移してチーン合掌。

うむむむ…バッドエンドは別に良いのですが、このあたりずいぶんと無理矢理かつ不自然すぎませんか?

蘇生させなければ「死なばもろとも」でマギーも消滅させられていたはずなのに、生き返らせちゃったせいで…というせっかくの後味の悪さも、「野次馬に囲まれた時点ではまだ生きていて、みんながベタベタ触っている最中に息を引き取ったのだから…そこで移れば良かったんじゃないの?」と思わざるを得ず。

アレですか?どこの誰ともわからん母親やチンケな助手に移るよりも、バチカンゆかりの者に移ったほうが良いから?いやいや、それはあまりにも後付けすぎるでしょう…。

2?続編?

今回この『映画/ドクター・エクソシスト』の記事を書くにあたりアレコレ調査していたところ『ドクター・エクソシスト2』とか『ドクター・エクソシスト 続編』というワードで検索している人が多いのなんのって。

イロイロ調べてみましたが本作には続編はありませんし、そういった情報もありませんでした。何かと混同されているのでしょうか…。

もし仮に続編があったとしてもエンバーは死んでしまっていますし、まるで別の話になっちゃうんでしょうねぇ。あ、もしかしてあの終わり方だから「こりゃ続きがあるだろ」って事なのでしょうか?

いやいや、ホラー映画であの手の終わり方はある意味お約束ですから。そんな事言ったら世に溢れるホラー作品の半分くらいは続編が出てくる事になっちゃいます(笑)