『バタフライエフェクト・イン・クライモリ』あらすじ・ネタバレ&戯言

注!)当記事は『映画/バタフライエフェクト・イン・クライモリ』のあらすじ・ネタバレを含みますのでご注意下さい。

「こんな邦題にしたバカはどいつだ!」と配給会社に怒鳴りこんで担当者を探し出し、小一時間ほど説教したうえで逆さに吊るしてやりたくなるような邦題の映画は多々ありますが…そういった駄タイトルの極みとも言える『映画/バタフライエフェクト・イン・クライモリ』で戯言です。

バタフライエフェクト・イン・クライモリ
(原題:acolytes)


2008年 オーストラリア

主なキャスト:

セバスチャン・グレゴリー
ジョシュア・ペイン
ハンナ・マンガン
マイケル・ドーマン
ジョエル・エドガートン

監督:ジョン・ヒューイット
脚本:シェイン・アームストロング、ジョン・ヒューイット

ネタバレ無しのあらすじ

ある日、森で何かを埋めている男を見かけてしまったマーク(セバスチャン・グレゴリー)が同級生二人と共に掘り起こしてみると…そこには女の遺体。

行方不明になっているタニアの遺体ではないかと考えた三人は、同じ町に住むであろう『蝶マークのタイヤカバーを付けたRV車』の所有者を探し始める。

彼の家を突き止める事に成功したマーク達は、男にとある要求を突きつけるのだが…

・・・・といった内容の作品。

邦題で戯言

この映画に関してアレコレ書くにあたって、内容よりも先にコレでしょう。あまりにもひどい。

原題は『acolytes』、本来は『従者・侍者』という意味で、教会でミサを行う際に司祭に付き従う者を指します。少年とかがやるアレですね。作品中では『見習い・新参者』といった意味を持たせているようです。

この原題は実に作品内容にマッチしたタイトルなのですが…

「そんなタイトルじゃ売れんから、有名映画の名前をパクって儲けたれー」

…と、愚かでゲスな人間がつけた邦題が『バタフライエフェクト・イン・クライモリ』となります。しかも有名作1本ならばまだしも、2本を組み合わせただけという。

もちろん名作『映画/バタフライ・エフェクト』とは一切関係無しで、続編でもない。さらに『映画/クライモリ』とも関係は無し。

犯人と思われる男が乗っている車のタイヤカバーが『蝶のマーク』だから…というだけでこの邦題にされたと思っている方もいるようですが、パッケージ裏の説明によると『バタフライ効果(バタフライエフェクト)』を扱った作品だから…との事。

『バタフライエフェクトとは?』

「ブラジルで羽ばたいた蝶が起こした風が、テキサスで竜巻を起こす」といったように、わずかな変化が後々に大きな現象となって現れる事を指す表現。
日本で言うならば「風が吹けば桶屋が儲かる」といった事。

つまり『映画/バタフライ・エフェクト』ではなく、現象効果としての『バタフライエフェクト』です…と言うのが配給会社の言い訳のようです。

しかし映画/バタフライ・エフェクトは「過去に戻ってわずかな変化を起こす事で、未来が大きく変わってしまう」という事を表現するためのタイトルだったのに対し、本作は決してそういった印象を受ける内容でもなく…。

そりゃ過去に何かしたら、その結果が来るのは当たり前。酒を飲み過ぎて翌日二日酔いになったり、食べ過ぎて腹を壊したりするのを「バタフライ効果」とは言いませんよ。

もうパッケージデザインの雰囲気を本家に寄せている時点で明らかに便乗ですから。そんな浅はかな言い訳をしているところも不快感を増すばかりです。

ホント、許されるならこの邦題を付けた人間を暗い森に埋めてやりたいくらいですな。

独特を通り越して駄作感

邦題はいったん忘れ、純粋に映画としてどうかと考えれば…うーむ、なんとも言い難い。

独特の間や独特の映像演出など、非常にこだわりは感じるんです。斬新かつ芸術的な作品を生み出してやろう!という意気込みだけは感じます。…が、残念ながらスベっている感が否めず。

ダラダラと無駄な表現が続いたかと思えば肝心なところは大きく端折ってみたり、伏線であろう部分をブン投げっぱなしで終わらせてみたり…。

意味不明かつ不思議な演出の映画は嫌いではありませんが、どうも自己満足というか…独りよがり感が匂ってクサいと言いますか…。

ついでにイケメンと彼女は事あるごとにイチャつきすぎです。まぁ若いうちはこんなもんですけど(笑)

ネタバレ有りのあらすじ解説

「…で、結局どういう話だったのよ!?」と鑑賞後に感じる方も多いかと思いますので、事の顛末をネタバレ有りでざっくり流してしまいましょう。

マーク、タニアを襲う
行方不明のタニアをパンツ一丁にさせて追いまわしていたのは実はマーク。

ヤリたい盛りの高校生が、事故により知的障害を持った女の子にエロエロな行為をしちゃおう…という鬼畜の所業。
タニア、パーカーにはねられる
逃げたタニアがマークの目の前で、爆走するパーカーにはねられる。

タニアを襲ってからここまでの間にマークはイアン(蝶マークの車の男)が何かを埋めているのを目撃し、イアンもマークの行為を見ていた、と。

後ほどパーカーの家に警察が捜査に入った際に「チクったのはお前だろ!」とピアス引きちぎられちゃうのは、コレを警察に話したと思われたのかと。
三人で掘ったらなんか出た
マークらがイアンが埋めていた場所を掘ったら死体発見。
カナダの国旗タグも発見。

おそらくイアンが暴行した末に殺して埋めた名もなき旅行者。カナダ国旗のタグは「カナダからの旅行者」という事かと。
彼はこんな感じで、行方不明になってもバレずらいバックパッカーなどをターゲットに暴行殺害を行っていたと思われる。
イアンを探し出し、パーカーを殺させようとする
マークとジェームズ(イケメン)は過去にパーカーに暴行(アレな意味で)されており、人殺しのイアンの弱みを握ってパーカーを殺してもらおうと画策。

しかしイロイロとお子様すぎてイアンのほうが一枚上手。
あっさりと身元バレ、イアン&パーカー二人から反撃を食らうハメに。
パーカーに狩られる…が、返り討ちに
事の成り行きを知ったパーカーは三人をクロスボウで「殺したるわ!」の勢いで追い詰めるもマークの反撃により死亡。

これを見たイアンは、先のタニアに対する行為と合わせて「マークが見習い(暴行殺人犯として)に値する」と素質を見出す。…が、あっさり後ろから殴られて崩れ落ちたりとお茶目っぷりも披露。
マークへのお誘い
ジェームズはイアンにより殺害され、チェイスも監禁。

マークを迎えに来て車に乗せるイアン。そして助手席にはペトラという「誰?」な旅行者。
イアンはマークに「おまえが先にヤれ」と、ペトラへの暴行(アレな意味で)を勧める。

要するに「おまえも俺と同じで好きモノのサイコ野郎だろ?一緒にヤッって、その後は殺っちゃおうぜ」というお誘い。
ところがマークは拒否ったために、イアンはがっかり失望。
弱いプロフェッショナル
監禁されていたチェイスの前で、マークは自分がタニアを襲った事を告白。
せっかくこっち側の人間だと思ったのに、おまえにゃガッカリだよ…という事で、マークはイアンの妻に刺される事に。

しかし隙を見てイアンに反撃。
(あっさり刺されて転がるプロフェッショナル)
さらに鎖を外して逃げたチェイスに刺さっている刃物を抜かれ、なすすべなく何度も刺されるプロフェッショナル。
(もはやあんたが見習いだよ、と言いたくなるほどに弱いイアン)
おしまい
逃げ出したチェイスは、通りすがりの車の前に立ち…

…で終幕。

感想と戯言

うむむ…。

『実はタニアを追いかけまわしていたのはマークだった!』

…というのはびっくり要素でしたが、映画として盛り上がるどんでん返しはそれのみ。

せっかくタニアとチェイスを重ねる演出が多かったのですから、ラストも『車のライトに照らされながらよろよろと歩く』などという中途半端な映像演出に走らず、思い切ってドーン!!とタニアがはねられた状況とカブせてしまえば良かったのに…と、残酷エンド好きとしては思ったりも。

不気味な存在であるイアンが少年相手にあっさり刺されたうえに、少女にまで負けるというヘタレっぷりを披露するのも…ただただ脱力感。

ホント、良さげな要素もあるのに、それらを活かさず変な方向にばかりこだわった作品という印象でした。

『映画/ザ・ギフト』で素晴らしい怪演を見せてくれたジョエル・エドガートンの無駄遣い感と、マークが『映画/ロード・オブ・ザ・リング』イライジャ・ウッドに見える感だけが強く残る、なんとも残念な1本でした。