今回はかなり人を選ぶ映画『マーサ、あるいはマーシー・メイ』でネタバレ含む戯言を。考察・解説も含みますが、あくまでも個人の感想です。ご了承下さい。
…と、前置きをしなければならないくらい困惑の作品だったり…。
マーサ、あるいはマーシー・メイ
2011年 アメリカ
キャスト:
エリザベス・オルセン
サラ・ポールソン
ジョン・ホークス
ヒュー・ダンシー
クリストファー・アボット
監督:ショーン・ダーキン
脚本:ショーン・ダーキン
ネタバレ無しのあらすじ
カルトでの集団生活から逃げ出したマーサ(エリザベス・オルセン)は、姉夫婦の元に身を寄せる。
しかし集団での生活が染み付いたマーサは奇行が目立ち、徐々に姉夫婦との関係もうまくいかなくなっていく。
そんなマーサ、あるいはマーシー・メイ、またはマーリーンだった彼女が苦しんでいるのに、観ている男どもはおっぱいだの尻だのエロいだの、そんなことばかり気にする作品。
キャストで戯言
さぁさぁ、みんな大好きエリザベス・オルセンの登場ですよ。
なにやら最近は「アベンジャーズでお馴染みのエリザベス・オルセンが…」などと書かれる事も多くなってきましたが、何を言っているんだこのにわか共がっ!…と荒ぶる古参映画ファンも多い事でしょう。私もその一人です。
エリザベス・オルセンに限らず、スカーレット・ヨハンソンやジェレミー・レナー、マーク・ラファロで「アベンジャーズ」を引き合いに出すのはどうかと思いますなぁ。
そんな彼女は本作が初の劇場作品出演。後の作品に比べればだいぶ体型がだらしないですが、それがなおさらエロかったりも。
しかしまぁ初出演の映画で全裸水泳やお漏らしを披露するとは…もうさすがとしか言いようがありませんな。
ついでに他の出演者にも有名どころが多いのでさらっと。
全然似ていない姉役はサラ・ポールソン。映画・ドラマと多数出演している女優ですが、個人的にはドラマシリーズ『アメリカン・ホラー・ストーリー』のイメージが強いです。そしてさらに個人的な意見を言わせてもらえばルックスが嫌いです。もうホント、生理的に無理。どうでも良い話ですがガチの同性愛者らしいですよ。
そんなドブス(あくまで個人の感想です)の旦那役を務めさせられているのはヒュー・ダンシー。良い俳優ですがあまり役柄に恵まれていないイメージが…。
カルト集団のリーダー的存在を演じているジョン・ホークスもファンの多い俳優のようですが、特にネタになるような話は知りません。
超個人的な考察
アメリカの大手批評サイトRotten Tomatoesでの支持率は90%と激高な本作。しかし日本での評価はそれほど高くはなく、概ね50点程度。
しっかりとした説明なく物語が始まり、終盤に至るまで種明かし的な表現はほぼ無し。鬱々とした展開の末に問答無用の「ぶつ切りエンド」で終了。こりゃ「意味わからん」となるのもわかりますし、「意味はわかったが面白くない」となるのもやむを得ないでしょう。
さらーっとネット等で目についた疑問と、最後のぶつ切りの意味を解説してみます。あくまで一個人の考察ですので「違う!」と思った方は回れ右してアマゾンプライムでも見に行って下さい。
- 『マーサはなぜカルト集団に?』
→詳しくは描かれていないが不遇な家庭環境が理由と思われる。 - 『なぜマーシー・メイ?』
→それまでの名を捨て、新たな家族としての名を貰う…というのはカルトではよくあること。 - 『原題ではもう一人いるっぽいけど?』
→原題は『Martha Marcy May Marlene』(マーサ、マーシー・メイ、マーリーン)。最後のマーリーンはカルトの女性が外の人間と関わる際に使用している共通名。 - 『どうしてお漏らし(おねしょ)?』
→肉体的な原因や疾病による夜尿症もありますが、マーサは精神的なストレスによるものかと。メンタルからくるお漏らしはかなりヤバい状態らしいです。 - 『急に窓ガラスを割った車は?』
→物語が進むにつれ症状が悪化し、幻覚と現実、過去と現在の境が曖昧になってしまったマーサ。カルトで使用されていた車に似た車種(同じ?)が止まっているのを発見し、「ヤツらが来た」と思い込んだのでは…。 - 『湖の対岸に座っていた男は?』
→現実なのか幻覚なのかは不明。これもマーサの精神状態を表す表現。
序盤はやや説明不足ながらごく普通のドラマとして展開する本作。現在(姉夫婦の元で暮らすマーサ)と過去(カルトで生活するマーサ)を行ったり来たりするものの、決して紛らわしい部分もありません。しかし後半、マーサの状態が不安定になるにつれ、見ているこちらも謎を感じる部分が増えていきます。
終盤、『湖の対岸に座っている男』は「誰?もしかしてカルトのあいつ?いや、他人?でもこっち見てるし!」とゾワゾワしますが、それはあの時のマーサの心境と同じ。
そしてラスト、車で街へと向かう途中に現れる不審な男も同様です。
ここでまた「カルトの人間?たまたま無関係な変人?いやいや、追ってきてる!?」と、その時のマーサと同じ気持ちにさせられてしまう。冷静に見ればそれほど「追ってきている」という雰囲気でもないのに。
映像と演出を用いて、我々鑑賞者の気持ちをマーサの心理状態とシンクロさせられているのでは、と。
そしてそのままブツ切りになることにより「マーサはどうなるのか」「カルトはどうなるのか」「姉夫婦はどうなるのか」「入院措置は正しいのか」など、全く見当がつかないまま終わらせられる。それこそが最後の仕上げ、最終的なマーサの心理状態でもあるのです。
将来のビジョンなど見当もつかない。どうすれば良いかわからない。
エンドクレジットが始まった時に感じた「え?なに?どうなってんの?」というボーッとした感覚は、まさに彼女が置かれた状況そのもの…という事ですな。
いや、もちろん『湖で見ていた男はカルトの奴、その後車で追ってきた…という表現としか思えない』と結論づけた方はそれでOKですよ。あくまで一個人の戯言ですから。
超個人的な戯言感想
…というかそんな事よりも、せっかくエリザベス・オルセンがおっぱい出したり尻を出したりとエロティカルに攻めてきているのだから、もっと馬鹿げた話をしましょうよ。
で?どのシーンが一番興奮しました?私は『四つん這いで胸の谷間をぶるんぶるんさせながら床の掃除をしているシーン』でした。
エリザベス・オルセンは『超・有名姉妹の妹』という立場で見られるのを極端に嫌うらしく、そのせいか仕事を選ばない体当たり演技が素晴らしいですな。
(姉のアシュレーとメアリー=ケイトは、30代後半以上ならば思い出深いテレビドラマ『フルハウス』のミシェル役。現在はファッションブランド界で活躍するセレブな双子姉妹)
そろそろ年齢的に厳しくなってきましたが、これからもぶるんぶるんとムチムチで頑張って欲しいものです。アベンジャーズは置いといて。