【当ページには広告が含まれています】

もはやジャンルの1つとも言える【復讐モノ】、しかしこの『映画/サベージ・キラー』はそんじょそこらの復讐映画とはひと味違う。ネタバレやあらすじを含みますので未鑑賞の方はご注意下さい。

そしてなかなかの「パッケージ詐欺」ですので、そちらにもご注意下さい…。

サベージ・キラー


2013年 アメリカ

キャスト:
アマンダ・エイドリアン
ロドニー・ローランド
トム・アルダバニー
マーク・アンソニー・サミュエル

監督:マイケル・S・オヘダ
脚本:マイケル・S・オヘダ

ネタバレ無しのあらすじ

聾唖で美しいゾーイ(アマンダ・エイドリアン)は、一人愛車を走らせて婚約者の元へと向かっていた。

しかし旅の途中で野蛮な男たちに追われるネイティブアメリカンの若者に遭遇。どうにか若者を助けようとするもうまくいかず、ゾーイは男たちに捕らわれてしまう。

そして陵辱され、瀕死の状態で生き埋めにされてしまうゾーイ。

しかし奇跡的に一命をとりとめた彼女は、予想の斜め上を行く展開で男たちに復讐を開始するのだった…。

ここからネタバレを含むよ!!

一風変わった復讐モノ

若いお姉ちゃんがヒャッハー!な悪党共に陵辱されるも、精神的に追い込まれすぎて覚醒。それはもうエゲつない手段で逆襲に出る…という映画は多く存在し、もはや【復讐モノ】というジャンルを確立しているほど。『映画/アイ・スピット・オン・ユア・グレイブ』などが有名ですな。

しかし『映画/サベージ・キラー』、復讐モノの括りではあるものの、ちょっと他作品とは一線を画しているのです。

「美人なお姉ちゃんが悪党に捕まって陵辱される」という展開までは他作品と同じ。しかしなぜかそこに追加されてくるのが

アメリカ先住民の酋長とゾンビ(笑)

そう、主人公のゾーイは『大酋長マンガスに憑依された死人』という、なんじゃそりゃ設定。暴行を受けたゾーイ自身の恨みと、過去に虐殺された先住民族の恨み、ダブルの恨みで復讐を果たす作品なのです。

それだけ聞けばコメディ要素のように感じますが、内容はいたって大マジメ。お笑い要素なんぞ1個も入っていません。

さらには変にヴィンテージ風をきどった映像補正に加えてイモ臭いスローモーションダサいストップモーションを多用。とことんシリアス路線でやろうとしている気持ちは伝わってくるのですが、結果ただでさえ安っぽいカメラワークが、さらにおかしな事になっているだけという(笑)

(「ゾーイは色覚異常もある」といった旨のセリフがあるので、映像の色調補正はそれを表現しているのでは?…とも思いましたが、どうやら違うようです)

お色気要素は皆無!

もはやオープニングクレジットを見ただけでB級(以下)であることは明白ですので、ツッコミどころ満載の描写や展開があまりにも多すぎるのは仕方ないところ。

「あれ?おかしくね?」と思う点を挙げたら原稿用紙5枚分にはなりそうですが、B級ってそういうもんです。

とりあえず復讐モノにありがちな「おいおい、細っこい女が屈強な男達を相手にそんな無双っぷりを発揮できるわけないだろ」というツッコミ要素を、『大酋長が憑依している』(戦闘力アップ)『死人』(ほぼほぼ無敵)という設定で回避しているだけでも良しとしましょう。

しかしどうしても納得いかないのは…

あまりにも健全すぎる!!

いやいや、たしかにグロかったりエグかったりする描写が多いので「健全」は適切でないかもしれませんが、お姉ちゃんが陵辱される復讐モノならば多少のエロスはあってしかるべきでしょう!?

それなのにこの映画ときたら、

  • 陵辱シーンの描写は無し
  • ヒロインが脱がされる事も無し
  • というか露出そのものがほぼ無し

そしてパッケージのような白タンクトップ姿を披露することも一切無し。

…という、健全を通り越して詐欺仕様。

いったい誰なんですか、このエログロホラーの王道とも言える白タンクトップ姿で胸元を強調したくびれ巨乳は。

2もあるが続編ではない

世には『サベージ・キラー』の続編となるタイトル、『サベージ・キラー2』という作品も存在しています。

しかし原題は『THE BRIDE』(1の原題は『SAVAGED』)と異なる事からも推測できるように、これらは全く無関係の別作品。アメリカ先住民が絡んだ復讐モノということで、便乗邦題をつけただけ…というわけですな。

かなりパッケージも寄せているので騙されないように。まぁ続編と勘違いして観たところでさほど弊害はありませんけど。

個人的な戯言感想

最初は「なぜたった一人であんな土地に?一人旅?」と思いましたが、よくよく考えてみりゃ婚約者の彼の元へと行くためだったのですね。彼がお花を素敵に飾っていたのは彼女を迎えるため…というわけですな。

しかしこの婚約者を演じるマーク・アンソニー・サミュエルが予想以上に演技派すぎて、「悲しくも切ない愛の物語」のような余韻が残るのがちょっと悔しい。最後のやり取りなんてグッときちゃったじゃないの、やめてよもう。

…というわけで、決して素晴らしいとは言えないものの、「まぁB級スリラーだから…」とハードルを下げて鑑賞すれば意外に悪くない『映画/サベージ・キラー』でございました。