注!)当記事は『映画/アザーズ』のラストのネタバレ・解説・感想を含みます。本作は鑑賞前にオチを知ってしまうと面白さ半減以下ですので、未鑑賞の方はくれぐれもご注意を。
今回は『古い映画を再鑑賞』の流れで手に取った『映画/アザーズ』、衝撃のラストで有名なニコール・キッドマン主演作品ですな。
その驚愕オチが有名なため、サスペンス系好きであれば一度は観たことがあるかと。さすがにどんでん返しラストで溢れかえっている今の時代では『超驚愕!!』とまではいかないものの、約20年の時を経ても楽しめる良き映画ではないかと。
アザーズ
2001年 スペイン・フランス・アメリカ
主なキャスト:
ニコール・キッドマン
フィオヌラ・フラナガン
アラキナ・マン
ジェームズ・ベントレー
クリストファー・エルクストン
監督:アレハンドロ・アメナーバル
脚本:アレハンドロ・アメナーバル
ネタバレ無しのあらすじ
1945年・チャネル諸島ジャージー島。
古びた洋館で二人の子供と暮らすグレース(ニコール・キッドマン)の元に、三人の男女がやってきた。
使用人として彼らを雇ったグレースは、『必ず開けたドアを閉めてから次のドアを開く事』など、屋敷を管理するうえで重要な約束事を伝える。彼女の子供達は重度の光アレルギーで、強い日光に当たると命に危険があるのだった。
ちょっと神経質でキーキー言う事はあるものの、女手一つで子供達を育てながら出征したまま帰らぬ夫を待ち続けるグレース。やがて彼女の周囲で不可解な現象が相次ぎ、『自分たち以外の誰かが屋敷にいる』と感じるようになる。
果たして『自分たち以外の誰か』とは何者なのか…。
・・・・・といった内容の作品。
注)動画は作中シーンの一部カット版(英語)
未鑑賞の方は注意
今回はいつもの『キャストで戯言』は無し。なにせ語るにしてもニコール・キッドマンしかめぼしい俳優がいないもので…。
使用人ミルズ役、フィオヌラ・フラナガンも出演作の多い名女優ですが、特に語る戯言が思いつかんのよ。すまぬ。
そんな事より本作はラストのインパクトが全て。
もちろんオチ以外にも作品全体に漂うゴシックホラー感、光と影を使用した映像美など見どころは多々ありますが、やはり『驚愕のオチ』を知ってから鑑賞してしまうと面白さは大幅にダウン。
未鑑賞で普通に映画を楽しみたいという人は、くれぐれもこの先は読まないことを強くオススメします。いったんU-Nextなりアマプラなりで鑑賞してからまた戻ってきて下さいな。
しかし最近は『全てのストーリー(オチ含む)まで知ってから映画を観たい』とかいうタイプ、多いらしいね。まぁ本人がそれを望むなら別にどんなスタイルでも構わんけれど、個人的には何が面白いのやら…と思いますなぁ。
シックス・センス
…というわけで。早々に最大のネタバレに触れてしまいますか。
この映画は
屋敷に幽霊がいるよ!怖いよ!!
…と思ったら幽霊は自分たちのほうでした
という作品。
最近のサスペンス・ミステリー系は驚愕のどんでん返しで二転三転当たり前。いかに鑑賞者の裏をかくかに躍起になっているような作品で溢れていますが、約20年前でこのオチならばインパクトがあったのではないかと。
ちなみに本作公開の約2年前にM・ナイト・シャマラン監督の有名作『映画/シックス・センス』が公開されており、内容的に若干カブる部分があるため何かと比較されてしまうことも。そして「シックス・センスには劣る」という意見もけっこう耳にします。うーむ。
たしかに「生きてると思ったら、すでに死んでたよーん」という部分は同じではあるものの、わし個人の感覚ではまるで土俵が違う気がするので、どっちが上とか下とかでは評価できませんなぁ。
まぁ主演だけ比べればハゲかけたブルース・ウイリスと若く美しいニコール・キッドマンなので、比べるまでもないんですけど。
ラストの引きも良し
さてその驚愕のオチ。
どのあたりで気付くかは人それぞれですが、とりあえず『三人の使用人が怪しい』というのは早めに気づくかと。
恥ずかしながらわたしゃ初見時、種明かしをされるまでグレースと子供達まで死者だとは気づきませんでしたよ。
それゆえにあの『ドアを開けたら知らん人達が集まって交霊術をやっていた』のシーンはもう、半分口を開けて「…はい?」状態。作り手にまんまとヤラれてしまいましたわい。
わしは超能力者なので、この手のどんでん返し映画はかなり早い段階でオチが読めてしまい、面白さが半減することが多々あるのですが・・・本映画は珍しく綺麗に騙されたパターン。しかしミステリー系は「騙された=楽しめた」なので、むしろ好ましい事ですな。
そして本作の評価すべき点は、最後にグレースが二人の子供を抱きかかえながら真相を語るシーンにもあるのではないかと。
ここで「事の顛末はこんな感じでした」的に映像が流れることが多いのですが、この映画は一切そういったものはなく、ただただグレースの表情と語りだけで淡々と進めていく流れ。イイ、実にイイ。
崖っぷちに犯人を追い詰め「なんであんな事をしたんだ!!」と問い詰めれば、あれこもベラベラ説明しながら回想映像を垂れ流す日本映画(ドラマ含む)にもこのスマートさを見習って頂きたい。そんなんだからつまらんのよ、日本のミステリー作品は。
まぁ日本人はバカでもわかるように明瞭な表現をすることを好むし、むしろそれがないと『説明不足』とか『意味が分からん』とか言い始める民族なので…仕方ないですな。
超個人的な戯言感想
映画に限らず、作品というものは必ず100%賛否が分かれるもの(比率は違えど)ですが、個人的にはこの『映画/アザーズ』は高評価。実に面白い映画でございました。
終始ゴシックホラーのような静かで物悲しい雰囲気を孕みつつ、露骨な演出を押さえた表現は非常も味わい深いじゃないですか。
なんだろね、メシで言うならば箸ではなくナイフとフォークで食べるような感覚ですな。それも意味わからんか。
しかしこういった作品を持ってきてしまうと、わし最大の売りである「胸の谷間が気になる」とか「尻の形がどうのこうの」といった戯言を交ぜる事が難しくて困るのよね。
バカでワンダーな文章をウリとしている『映画で戯言三昧』としては商売あがったりよ。ホントにもう。