注)本記事は『映画/プロディジー』のネタバレ&感想を含みます。未鑑賞の方はご注意下さい。
いつも「今さら!?」という映画ばかり観て書いるので、たまには新しめのヤツを…という事で、持ってきてみました『映画/プロディジー』です。
私はU-nextでの鑑賞だったのですが、なぜかタイトルが『映画/プロディッジー』となっていました。U-nextはキャストやあらすじなど、とにかくミスや適当な部分が多すぎるのでどうせ誤植だろう…と思っていたのですが、amazonでも『プロディッジー』でした。あれれ。
どうやらプロディジーと表記しているところとプロディッジーと表記しているところがあるようです。
『ザ・プロディジー』だと某エレクトロロックバンドが先に出ちゃいますし、プロディッジーのほうが良いかもしれません(笑)
ザ・プロディジー
(原題:THE PRODIGY)
2019年 アメリカ
主なキャスト:
テイラー・シリング
ジャクソン・ロバート・スコット
ピーター・ムーニー
コルム・フィオール
ブリタニー・アレン
監督:ニコラス・マッカーシー
脚本:ジェフ・ブーラー
ネタバレ無しのあらすじ
アメリカ、ペンシルバニア州。やっと念願の子供を授かったサラ(テイラー・シリング)。
生まれた子供はマイルズ(ジャクソン・ロバート・スコット)と名付けられ、両親の愛を受けてすくすくと成長していく。
とびぬけて高い知能を持っているマイルズだったが、その言動は明らかに異質。周囲の子供たちとも馴染めず、次々に恐ろしい行動をとるマイルズに対し、サラもやがて恐怖を覚え始める…。
そしてその理由が徐々に明らかになっていく…
・・・といった内容の作品。
ネタバレ無しの感想
比較的新しい作品ですので、まだ未鑑賞の方も多いのでは・・・という事で、まずはネタバレ無しで、ざっくりと感想などを。
一言で言ってしまうと、『驚きの展開やどんでん返しは無く、淡々と不気味な雰囲気を楽しむ映画』です。
最大の焦点であろう「マイルズがなぜ奇怪な行動をとるのか?」の理由は冒頭で堂々とネタバレます(笑)
その後も王道と言えば王道、ベタと言えばベタな展開が延々と続きますので、ちょっと映画好きな方であれば…ほぼ想定内のストーリーを見て、想定内の結末でエンドです。
ただし「つまらないか?」と聞かれれば、そう決めつけたものではなく…
何を期待し、何に面白さを感じるかによっては、十分に見どころのある映画ですよ。
マイルズ役のジャクソン・ロバート・スコットは子供ながらに良い演技を披露してくれますし、お約束な流れで静かに展開するスリラー感は、時間があっちこっち飛んだり謎や伏線が多すぎると『意味わからんっ!』となってしまうライトホラー好きにも優しい展開です。
あくまでも私個人の感想としては・・・『イマイチ面白くはなかった』となるのですが、それは脳みそフル回転で謎解きを楽しんだり、あっと驚く衝撃の展開&結末を期待しての鑑賞となってしまったが故。
そういった内容を過度に期待しないのであれば、それなりに見れる映画です。
なお、世の中には『最後はスッキリしたハッピーエンド』でないと、胸糞悪い映画として低評価を下す方もおりますが…そういう方にはオススメできません(笑)
プロディジーの意味
このプロディジーという単語、『天才・鬼才・神童』といった意味になるのですが、もともとこの映画は『ディセンダント(The Descendants)』というタイトルだったらしいです。公開日発表と同時にプロディジーに変更されています。
ディセンダントは『子孫・末裔』といった意味らしいのですが…まぁどっちでも良かったのではないかと(笑)
ここからネタバレを含むよ!!
設定も展開も…
こういった『なんか変だよ!この子供!!』という作品は、それはもう古くから大量にありまして…。
とりあえず『不気味な子供』というだけで恐怖感はあるのですが、今となってはそれだけを見どころとして鑑賞するのも厳しい気がします。
なぜ不気味なのか?正体は何なのか?
鑑賞者側の勝手な言い分かもしれませんが、そこに目新しさや驚きがないとどうしてもつまらなく感じてしまいます。
そういえば同様に『なんか変だよ!この子供!!』の作品だった『映画/エスター』はなかなか良かったです。まさかああいうオチでくるとは…。
そのへんがこの『映画/プロディジー』は弱い。そして弱さの原因の1つが『冒頭に種明かししちゃったから』というのも…うーむ、どうなんでしょう。
全裸で血を流して倒れる犯人と生まれたばかりの赤子をマッチカットさせるという手法は「ほほう!」と思いましたが、そこが最も大事な部分なので・・・もうちょっと後のほうで披露できなかったかな…と思います。
半分は不気味
冒頭でネタバレてしまったものの、中盤くらいまでは『なんかこの子、怖いよ…』の雰囲気が上手に漂っており、なかなか良かったです。
個人的に一番ヤバかったのはベビーシッターとのかくれんぼ。目を閉じて数字を数える姿に…
ヤバい!ヤバい!!絶対コイツなんかやるからっ!!
とドキドキしてしまいました(笑)しかも一回目に目を開けた時に『何もせずに目の前にいる』ってのは非常に怖かったです。
その後、階段でガラスが刺さってギャー!は、まぁベタというか…。痛そうではありましたが、一回目のインパクトが強かったので意外と普通だな…と。
半分はベタ
しかしドキドキ期待できたのはそこまで。
その後はとにかくお約束とも言える『予想通りの展開』が目白押しになってしまい、淡々と観る流れが最後まで続くことになってしまいました。
犬がアレな事になるのも王道の展開ですし、マイルズを後部座席に乗せて走る父親がアレな事になるのもお約束の展開。
そして『エドワード(マイルズの中に入っている殺人鬼)の目的は…何!?』も、そのまんま『自分が射殺される原因を作った、生き残りの被害者を殺す』という直球っぷり。
さらにサラが意識不明の夫に告げる『マイルズを救うため、終わらせる方法』も、その場ですぐに予想できる「マーガレットを殺して、エドワードの目的そのものを終わらせるのでは?」のまんまでした。
ついでに言ってしまうと…
ラスト、エドワードに完全に乗っ取られてしまったマイルズにサラが銃を向け、銃声が鳴り響く…のシーンも『ああ、どうせ近くにいた猟師か何かにサラのほうが撃たれた…ってオチだよね』と思ったら、ホントにそのまんまでした(笑)
この映画、あまりにも先が見えすぎです…(泣)
中途半端にモヤモヤエンド
どうにもサスペンス・スリラー系は『驚きの展開!』『予想を覆すどんでん返し!』に慣れすぎてしまい、この映画のように「うん、そうだろうね」のストーリーには魅力を感じなくなってしまいがち。
このへんは製作者側もわかっているようで、「じゃあどうやって驚かそうか」「こういう結末にしたら驚きなんじゃないか?」とアレコレやってきますので、こっちもヘンに目が肥えてしまうというか…耐性がついてしまうというか…。
おそらく10年前であれば、この『映画/プロディジー』のストーリーも、斬新かつ面白いと感じれたのではないなか…とは思います。
私は頭のおかしい変人ですので、最後のマーガレットを殺しに行く展開では…
「マイルズが殺りたいって言ってるんだから本人に殺らせよう!!大丈夫、少年法を盾にすれば、あんたが殺すよりも罪は軽くなるはず…たぶん!」
とか思いつつ、そっち方向のエンドを期待していました(笑)
注)アメリカの少年法は日本とは異なりますし、州によっても内容は違います。
「マイルズがマーガレットを殺そうとするのを、サラが手助けする」⇒「複雑な気分ではあるけど、息子のためには仕方なかった」⇒「じゃじゃーん!実はマイルズは既にエドワードで…(以下同様)』
のほうが、さらに救いが無く胸糞悪さが増して良かった気もするのですが…
それだと『勧善懲悪大好き!ハッピーエンドじゃなきゃ嫌!』という鑑賞者にクソぶつけられるような作品になっちゃいますな。
それにしても…
「パパが回復するまで」という事で別宅に引き取られたマイルズでありますが、そこでもなんかやろうと企んでるようですし…もしパパが回復しても「いらん!こんな子供はいらんよっ!!」ってなっちゃいますよね。。。