映画『ヴィジット』ネタバレ上等の戯言考察

ファンも多いM・ナイト・シャマラン監督作品『映画/ヴィジット』でネタバレを含みつつ解説・考察戯言を。怖い展開の中に、笑って良いのか迷うようなネタをぶち込むという、相変わらずのシャマラン節が唸る名作(迷作?)であります。

ヴィジット(原題:The Visit)


2015年 アメリカ

キャスト:
オリヴィア・デヨング
エド・オクセンボウルド
キャスリン・ハーン
ピーター・マクロビー
ディアナ・ダナガン

監督:M・ナイト・シャマラン
脚本:M・ナイト・シャマラン

ネタバレ無しのあらすじ

15歳の姉ベッカ(オリヴィア・デヨング)と弟タイラー(エド・オクセンボウルド)は、これまで一度も会ったことがない祖父母の家で一週間過ごす事となった。

しかし到着初日の夜から、異常な光景を目にする二人。

この祖父母は何かおかしい・・・

…といった流れで汚物ネタ多めの作品。なお『3つの約束』なんてありません。

キャストで戯言

本作の主要な登場人物は5人。

しかし特に有名人を起用しているというわけでもないので今回は1人だけで戯言を。

姉ベッカ役のオリヴィア・デヨングですな。

彼女も特に有名というわけではなく映画出演も数本しかありませんが、つい先日『映画/スケア・キャンペーン』を見たばかりだったもので。

あちらはすっぴん状態でいることが少なく、ほぼ全編ホラーメイクなうえに出番もセリフも少なかったものの、それがまた逆に可愛かったり。今回はじっくり堪能できたので満足です。

ちなみにパッケージにも写っている怖い女がオリヴィア・デヨング↓

惜しい演出と3つの約束

とにかくシャマラン監督は当たりはずれが激しい『場外ホームラン』or『空振り三振』の二択のような人で、彼の作品は楽しみではあるが怖くもある。ちなみに個人的には『映画/ヴィレッジ』がホームランで『映画/レディ・イン・ザ・ウォーター』が三振です。

しかし今回はなんとも評価に迷う『二塁打』のような作品。野球で例えるのやめろ、って?大丈夫、私もルールすらろくに知らないくらい野球に興味ないですから。

決して悪くはない、いやむしろ総合的にはアリなのですが、何か余計な部分が多くて惜しいといか…。

『なにかあるぞ、あるぞ、と思わせておいて…何もない』という肩透かし演出は実に彼らしくて良いのですが、いかんせん連発しすぎ。じらしは適度だからこそ効果があるのであって、無駄に多用されても疲れてくるだけ。

どうということのない風景を光と構図、カメラワークの表現だけでゾワゾワした画にするのも非常に上手。しかし安易にジャンプスケアを多用するせいで、せっかくの上質な恐怖感が台無し。

もうホント、急にバーン!の安っぽい演出はやめません? あんなんで驚かされても映画の出来とは無関係。単なる条件反射で驚いてもらったところで、製作者の腕とは言えんでしょう。『ヘタクソなジャンプスケアは論外、しかし秀逸なジャンプスケアは芸術』なんて話も聞きますが、私は完全否定派です。

そうそう、ついでにもう1つ。

予告編動画や各所の「あらすじ」、果てはWikipediaでまで

「楽しい時間を過ごすこと」
「好きなものは遠慮なく食べること」
「夜9時半以降は部屋から絶対に出ないこと」

という3つの約束が…などと説明されていますが、実際は『3つの約束』といった明確なものは無く、会話の中で「〇〇〇しなさいね」的な内容がさらっと出てくるだけじゃないですか。

予告編動画はインチキ・ハッタリも多いのでまぁ良いですが、各所の説明やレビューでまで『3つの約束があった』とか書いている方って、ホントに映画見てるんですかね?

どんでん返しと解説戯言

さぁネタバレのどんでん返し。

ウェブカメラの向こうにいる母親に祖父母を見せると、

「その人たちは祖父母じゃない」

…でゾゾゾゾッ!となるわけですな。

しかし私、小屋で大量のオムツを発見した時点(映画開始25分)で『あ、これは本物の祖父母ではなかった…ってオチだな』とピンときていたため、もうそこから先がやや茶番ぎみで…。

ちょっと勘が良い人ならば途中で気づけるようなドンデン返しではありますが、とりあえず不気味感はあるので…まぁアリですか。

なお「最後まであの老人の正体がわからないのがモヤモヤする」という感想もありましたが、普通に「メイプル・シェイド病院精神科の患者」です。

ボランティアで相談員をしていた祖父母(本物)から孫が泊まりにくる話を聞き、病院を脱走して殺害。なり替わった…という事ですな。物語の途中で訪ねてくる医師が「病院で騒動があった」と告げるのは、精神科患者の脱走事件があった…という伏線だったり。

超個人的な戯言感想

…というわけで、なぜかダメ出しばかりになってしまいましたが、結論から言えば…

かなり面白かったです

じゃあなんであーだこーだとケチばかりつけるのかって?そりゃシャマラン作品ですからねぇ。彼なら一定以上の基準をクリアして当たり前だからこそ、つい惜しい部分に目がいってしまうのですよ。

祖父母と母親、母親と子供たち、子供たちと父親。家族間のすれ違いや和解を盛り込んだシナリオも悪くないですし、開始時は困惑したドキュメンタリータッチも、とことん最後まで徹されると高評価。

単なるスリラー、もしくはホラーだけを期待した人は余計に感じたかもしれませんが、姉ベッカが鏡を見ない(=自分と向き合おうとしない)という設定も大事だったと感じます。

最後の最後で物議を醸す『弟のラップ』も最高じゃないですか。初見こそコイツのこと嫌いでしたが、すぐに好きになりましたもん。

何かを心に残すような深い作品ではありませんが、それなりーに楽しめる良作なのではないかと。