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『映画/ヴィジット 消された過去』でネタバレ戯言を。シャマラン監督のほうではないのでお間違えないように。なんともモヤモヤした気分になる作品で世間の評価も低めですが、個人的にも微妙な感想の映画でした…。

M・ナイト・シャマラン監督の『ヴィジット』はこちらです。

映画『ヴィジット』ネタバレ上等の戯言考察

ファンも多いM・ナイト・シャマラン監督作品『映画/ヴィジット』でネタバレを含みつつ解説・考察戯言を。怖い展開の中に、笑って良いのか迷うようなネタをぶち込むという…

ヴィジット 消された過去
(原題:ESTRANGED)


2015年 イギリス

主なキャスト:
エイミー・マンソン
サイモン・クウォーターマン
ジェームズ・コスモ
アイリーン・ニコラス
ジェームズ・ランス
ノラ=ジェーン・ヌーン
クレイグ・コンウェイ

監督:アダム・レヴィンス
脚本:サイモン・ファンタウゾ

恋人カラム(サイモン・クウォーターマン)とバイクに乗ってる最中に事故に遭い、重症を負ってしまったジャニュアリー(エイミー・マンソン)。どうにか一命はとりとめたものの、なんと事故以前の記憶を一切無くしてしまっていた。

カラムと共に6年前に家出した実家へと戻った彼女だが、両親や兄妹に対して感じるのは強い違和感。

彼らは本当に私の家族なのだろうか…。

・・・といった流れでモヤモヤする作品。

注!)動画は予告編ではなく冒頭一部カット版。

キャストで戯言

主演はエイミー・マンソン。私は全く知らない女優さんなうえにルックス的にも雰囲気的にもあまり好きではないので、冒頭からテンション下がり気味。

しかしその恋人カラム役がサイモン・クウォーターマン(クウォーターメインと表記される場合も)だったのは予想外。『映画/ウェア 破滅』でド惚れした彼が出演しているなんて、下がったテンションが再び上がるじゃないですか。

非常に演技力のある彼がメインキャラとして出演しているのならば、多少中身がクソでもそれなりに観る事ができるってもんですよ、安心安心…と、思いきや…

・・・ちょ、めちゃくちゃチョイ役じゃん!(泣)

もはや演技力など発揮する間すら与えてもらえず、30分もたたないうちにしれーっと消えていく役(笑)最後にもう一度出てくるのでは?と期待したものの、残念ながら彼に関してのドンデン返しはありませんでした。合掌…。

それ以外に私がイジれる俳優は「妹」として出てくるノラ=ジェーン・ヌーンくらいですか。

そっち系が好きな人には超有名な『映画/ディセント』で女6人組の1人として出演していた方です。脚を骨折したうえに早々にドロップアウトする可哀想な役柄。

そして私も後から調べて知ったのですが、本作には同じく『映画/ディセント』に出演していた俳優がもう一人いるらしいのですよ。「え?あの映画に出てくる人物はほぼ女6人だけでしょ?」と思いますよね、ええ、たしかに人間は6人だけですが…それ以外にも出てくるじゃないですか。そう、キモい地底人ですよ(笑)

本作の執事トーマス役・クレイグ・コンウェイはなんと、あの映画で「地底人役」として出演していたそうです。もちろん特殊メイクで人間離れしたツラにされちゃっているので、どの地底人かはわかりませんけど…。
(どうやら比較的目立っていた顔に傷のある地底人役らしいです)

つかみはOK

さてさて…

オープニングクレジットからバイクでウェ~イなノリのカップルは、早々にアホみたいな運転の対向車と衝突。

この「二人でタンデムを楽しむシーン」が見ていてとても痛々しいノリなうえに、乗っているのが中途半端なスクーターというのも痛々しい…。

わりと軽症だった彼氏に対し彼女はかなりヒドい怪我のようで、記憶喪失&車椅子生活に。しかしどうやら彼氏の事は受け入れることができたらしく恋人関係は継続。

そんなこんなで実家に戻る事になったジャニュアリーですが、話の流れと雰囲気から「実は本当の家族ではない…ってオチだな?」というのは大半の方が予想できるところ。ポイントは「じゃあ誰がなんの目的で家族を演じているのか?」となるわけですな。

いきなりですが最終的なネタバレを含みつつ、ちょっとそこらへんを整頓してみましょう。

ここからネタバレを含むよ!!

誰がなんの目的で?

ネタをバラしてしまえば、ジャニュアリーの家族を演じていたのは『ダンフィールド家の元使用人』

字幕版ではこの「ダンフィールド」という名称がそれまで全く出てきていないのに、いきなり新聞記事で『ダンフィールド夫人 自殺』とか出てくるのがアレでしたが、どうやらジャニュアリーの名字のようです。

事の流れとしては…

ダンフィールド氏(ジャニュアリーの父)が使用人の女性を暴行し、妊娠させる。
 ↓
生まれたのがジャニュアリーで、ダンフィールド家に引き取られる。
 ↓
ジャニュアリーの戸籍上の母(ダンフィールド夫人)はそれを苦に自殺。
 ↓
ジャニュアリー家出
 ↓
事故で記憶を失った状態でジャニュアリーが戻ってくる事を知ったアルバートは、「チャンスや!」とダンフィールド氏を殺害。父を名乗ってジャニュアリーを迎える。

…という話。

彼らは「元使用人たちの集まり」で、血縁関係にあるわけではないのでは?とも思ったのですが、どうやら実の家族のようです。アホみたいな髪型の息子ローレンスとキッチーな妹キャサリンの二人に関しては、両親とともに屋敷で働いていたのか乗っ取り時に呼び寄せられたのか…詳細は不明。個人的には前者かな、と。

彼らがジャニュアリーに対しヒドい行いをする理由はズバリ「父親(ダンフィールド氏)に対する復讐』 しかしココが少々モヤモヤする部分でもあるんですよね…。単純に「妻が妊娠させられたから同じことをやり返す」とするには矛先がおかしい気がしますし

これは私の勝手な解釈ですが、結局のところこの人(偽の父アルバート)はアレもコレも不満なのだろうな…と。。

財産のある大きい屋敷の主人にコキ使われ、自分達は食べるものにも事欠く貧しい暮らし。挙げ句にカミさんを犯され妊娠させられ、それで生まれた娘は雇い主側でのうのうと暮らし、遺産の相続権まで持っている。

そういった積もり積もった不満が爆発し、もうとことんやったれ!の勢いで暴挙に出たのでしょう。ジャニュアリーの父親に対して強い恨みがあったのは事実でしょうが、それは鬱々とした日々から抜け出すためのきっかけと理由付け。その後の1つ1つの行動にしっかりとした理由や目的があるわけではなく、単純に「恨みがあるからメチャクチャにしてやりたい。上に立って偉そうに振る舞いたい」という歪んだ欲求ばかり感じます。

ちょっとアレな言い方になりますが、要するにあまり頭が良くないタイプの人間の復讐劇なわけですな。

「ジャニュアリーを妊娠させ、子を産ませる」という行為に関しても、こっちで勝手に「憎い相手の娘に自分の家族を産ませるという事で…」と哲学的な理由付けををしようと思えばできますが、おそらく彼はそこまで深くない。なんたって妊婦に容赦なくボディブローですもの(笑)

個人的な戯言感想

うーむ、プロットも表現も悪くはない、悪くはないものの…どうにも中途半端感が否めず。

突然自由自在に走り回れるようになるジャニュアリーには「歩けない設定はなんだったの!?」と言いたくなりますが、彼女の拘束を演出する小道具としてどうしても「車椅子」が必要だったのでしょう。しかしロクに歩けないままでは物語を展開させられないので、途中から「脚は急に完治したということで…」と。そんな都合の良い話があるかっ!

登場から意味ありげだった執事トーマスに関しても「彼からすればジャニュアリーは仕える屋敷のお嬢様。彼女を守りたいがゆえの忠誠心による行動だったのか…」と繋がりはするものの、そこもえらく中途半端。最後は泣きながらお嬢様を置き去りにするという(笑)

そんなこんなで雑だったり煮詰め方が足りなかったりする設定と、カメラワークや音響など、こだわりすぎて物語とは関係ないところで気になってしまう変なひっかかり。そして偽父アルバートの暴虐っぷりのイマイチ方向がわからない感。

素材は悪くないのに、調理方法が独特すぎて変な味付けになった料理…といった印象でした。

ついでに偽父アルバート役のジェームズ・コスモが演技中、ちょいちょいカンペ見ているのがバレバレの視線も非常に気になりました(笑)