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とにかく余計な予備知識を入れてから見てはダメな『映画/(r)adiun ラディウス』の結末やらネタバレやら含む感想ですので、未鑑賞の方はくれぐれもご注意下さい。さらに言ってしまえば予告編を見ることすらオススメしません。

邦題がネタバレていて残念な作品もありますが、意外と予告編もクセモノなんですよね…。「おいおい、それは知らないままで鑑賞したかったよ」という部分を盛大にバラしながら煽ってくるクソ予告編も数多いですから。

本作の予告もそれ。インパクト重視にしたいのはわかりますが、もう少し鑑賞する人の事を考えて作って欲しいものです…。

(r)adius ラディウス


2017年 カナダ

主なキャスト:

ディエゴ・クラテンホフ
シャーロット・サリヴァン
ブルット・ドナヒュー

監督:キャロライン・ラブレシュ、スティーヴ・レオナルド
脚本:キャロライン・ラブレシュ、スティーヴ・レオナルド

ネタバレ含まないあらすじ

交通事故に遭い、目を覚ましたリアム(ディエゴ・クラテンホフ)。

記憶を失ってしまった彼は周囲に助けを求めようとするものの、出会う人々は皆、謎の死を遂げていた。

なにかしらのウイルスによるものではないかと怪しむリアムだが、その後も彼の目の前で死んでいく者が続出。

これはいったい…

・・・・というところで止めておくのが良い作品。

注!)予告編を見ると序盤のドキドキ感がだいぶ薄れてしまいます

まずは予告編などでバラしちゃってる「アレ」から!

肝心のアレ

予告編でもパッケージでも、動画配信サービスのあらすじでも…もう売り文句としてドーンと使ってしまっている…

半径15m以内に入ると全員即死!

…これ最初に聞かせる事じゃないでしょう、ホントに。コレを知っていると作品序盤の「なぜ?」が無くなってしまうんですもの。

何故か周囲で人が死んでいるリアムと一緒になって「ウイルスか!?いや、違う!?」と鑑賞するのが序盤の楽しみ方なのに、先に知ってしまっていると布で口を覆うリアムの行動も「はいはい、原因はウイルスじゃなくてアンタだよ」と興冷め。

なんでも事前に答えを知っておきたい現代っ子には良いのかもしれませんが、映画ってそういうモノではないと思うんですよね…。

ゲームと攻略本を一緒に買っちゃうような楽しみ方は私は好きじゃないです。


ここからネタバレ・結末を含むよ!!

前半SF

知らないほうが良い…と言ってはみたものの、映画本編でもわりと早い段階で「俺か?俺を中心に生き物が死ぬのか!?」とリアムは気付き、紐で長さを計ってみたりと『自分から一定範囲の生き物が死ぬ』という設定を念入りに鑑賞者にアピールしてくれます。

欲を言ってしまえば、コレも説明しないまま話を進めたほうが面白かったのではないかと。

なぜかジェーンだけは近寄っても死なない、しかし状況によっては他者が死ぬ場合もある。これはもしかして…そういう事なのか!?…と、謎のまま鑑賞者に投げたほうがSFとしては良かったような気が。『ジェーンが近くにいるとOK』に関しても、すぐに実験を見せながらわかりやすくバラしてくるのが残念です。

でも許そうじゃないですか。なぜなら…

SF要素、このへんまでで終わりですから!(笑)

キャラの能力設定は念入りかつ早々にバラしておきながら、肝心の「なぜ彼の周囲の人間が死ぬのか」に関しては、最後の最後までロクに回収しません。

出ましたよ、最近のB級映画にありがちな『インパクトある設定で興味を引いておいて、その理由に関しては謎で終わらせる』という都合の良い脚本作りが。

後半サスペンス

「どうですか?皆さんこういう設定ですよ、理解しましたね?」…と、親切すぎる流れで説明をした後、物語はなぜかリアルサスペンス方向へ。

  • 記憶喪失の男女
  • ヒロインには双子の姉
  • その姉は謎の失踪
  • 徐々に明らかになっていく記憶
  • 徐々に惹かれ合っていくリアムとジェーン(ローズ)
  • しかしリアムは連続殺人鬼で、姉を殺したのもリアムだった!

…という、これ単体で見たら安いサスペンス映画のような展開が繰り広げられます。さっきの『SF設定』が無かったら、実にありふれたプロットです。

さらにその後、結末として…

  • 記憶を失う前の自分を知って驚愕のリアム
  • 自ら死を選ぶ事で、全てに終止符を打つ

…となります。記憶を失うと人格が変わるかどうかは置いといて、とりあえず彼的には「自分が殺人犯であった」という過去は受け入れ難いものだったようです。

普通にサスペンスであれば、「自分が殺人犯だった事を思い出してしまった」というだけで自ら死を選ぶというのは、理由付けとしてはちょっと足りないところですが、そこは例の『SF設定』が後押ししてくれますから。

まるでアンバランスな『半径15m以内の生き物は死ぬという、SF設定』『記憶を失った連続殺人犯&被害者の妹という、サスペンス設定』

これらが上手く合致する事で、物語の展開を上手に理由付けしてくれていっているという…秀逸な作品なのでしょう。

…いや、正直そこまで素晴らしいとは思っていませんけどね。ちょっと褒める方向で書いてみました。

『インパクトだけの謎SF設定』+『ありきたりな駄サスペンス』=『味の薄いB級映画』

というのが正直な感想です(笑)

Rは半径のR

アイデア賞といった感じはするものの、映画として見ればギリギリ及第点な印象もある『映画/(r)adius ラディウス』

ちなみに『Radiusu』とは「半径」の意味。(r)とカッコで括られているのは日本版だけになります。『r』が半径を表す表記として用いられる事から、カッコで括ってオシャレ感を出してみたのかもしれません。

あ。どうでも良い話ですが、本編中ですごく気になった部分を今思い出しました。

ジェーン(ローズ)とリアムが警察に取り押さえられ離されてしまい、警官や周囲の野次馬がバタバタと死んでしまった後・・・裏口のパトカーに乗っているジェーンにリアムが駆け付けるじゃないですか。

あの時、パトカーの後部座席にはジェーンとその旦那であるサムが乗っていましたが…

座ってる位置が逆だったら、サム死んでたよね??