今回はリーアム・ニーソン主演、『映画/アンノウン』でネタバレを含む戯言。しかしこの人は『しょぼくれたオッサンかと思いきや、実はスゴ腕の〇〇だった』とか『今は普通のオッサン。しかし元〇〇〇でバリバリ強かった』というパターンが多すぎですな。
ある日突然『自分を名乗る人間』が現れたら「アホか、誰だお前は」となるのは当然。しかし周囲の人間もそっちを『自分』として接し、こっちが『偽物』とされてしまったら…。しかも長年連れ添った最愛の妻までそんな調子だったら…もうどうして良いのやら。
アンノウン
(原題:Unknown)
2011年 アメリカ・ドイツ
主なキャスト:
リーアム・ニーソン
ジャニュアリー・ジョーンズ
ダイアン・クルーガー
エイダン・クイン
ブルーノ・ガンツ
フランク・ランジェラ
監督:ジャウム・コレット=セラ
脚本:スティーヴン・コーンウェル、オリヴァー・ブッチャー
原作はディディエ・ヴァン・コーヴラールの小説「Out of my head」
ネタバレ無しのあらすじ
バイオテクノロジーの学会に出席するためにベルリンを訪れたマーティン博士(リーアム・ニーソン)とその妻エリザベス(ジャニュアリー・ジョーンズ)。
宿泊するホテルに到着した直後、カバンを空港に忘れた事に気づいたマーティンはタクシーで戻ろうとするが、その途中事故に遭い昏睡状態になってしまう。
数日後に目覚めた彼がホテルへ向かったところ、妻は自分の事を「知らない人」と言い、マーティン博士を名乗る夫まで。
いったい妻はなぜ知らないフリをするのか?そして自分に成り代わっている男は誰なのか?
・・・・といった内容で、いつものようにリーアム・ニーソンが無双していく作品。
転生したら〇〇だった件
いつからかラノベやアニメを中心に「平凡な学生(もしくはニート等)がある日突然異世界に転生。なんか知らんけど自分にはスゴい能力があるらしい。ついでにモテモテ」みたいな設定の話が急増。あっちもこっちも転生、転生、転生祭りでわっしょいわっしょいですな。
「すごい力を手に入れて周囲から一目置かれたい。でも苦労して頑張るのは嫌。だれかちょーだい」そんなアホな現代人の願望を満たしてくれる気分の良い設定なのでしょう。
私は「自分を高めたいならば人よりも努力が必要」と考える原始人ですので、こういった風潮も作品もすごく嫌いです。
しかし今回ご紹介する映画アンノウンも、ちょっぴりそっち系のテイストが振りかかっていますな。ちょっぴりね。
キャストで戯言
私はこの映画を最初に観た時点でリーアム・ニーソンに特に思い入れはなく、「パッとしなくて脇役っぽいルックスのオジサマ」という印象。リチャード・ギアに抱いていたさほど変わりませんな(あくまでイメージ)。
ところがこの作品のリーアム・ニーソンときたら・・・派手に動くしカッコ良い。身長も高いのでアクションも映える。あらら、意外にイケなのねこの人。
そしてジャニュアリー・ジョーンズにも特別な感情がなかったものの、本作でちょっとハマってしまったという。
その後、ちょっと彼女を追って同年公開の映画『映画/ハングリーラビット』を鑑賞。さらに「お!これにも出てる!」とパッケージで発見しては追っていたのですが・・・ロクに名前を覚えず見た目の雰囲気だけで判別していたので、気づけば「ジャニュアリー・ジョーンズだと思って追っていたら、いつのまにかサラ・ガドンを追っていた」という(笑)
「全然違うじゃん!」と言われれば返す言葉もありませんが、昔っから『女性の顔の見分け』が苦手なのよ。
どんでん返し
サスペンスやミステリー作品といえば『驚愕のどんでん返し』がつきもの。
昔は素直に1回ひっくり返して終わりの作品が主でしたが、今では二転三転当たり前。
この『映画/アンノウン』もどんでん返し系。そしてひっくり返し方がこれまたお上手。ヘンに露骨なミスリードもなく、自然に「これは〇〇〇って事だな・・」と誘導されていった先の「・・・え?え?」感がたまらんですな。
全体的に重っ苦しい雰囲気はなく爽快なエンターテイメント性も持ち合わせており、娯楽映画としても見ごたえのある作品ですぞ。
記憶喪失と性格変化
記憶を失う前のマーティン(本名が出てこないので、とりあえずマーティン)はどんな性格だったのかは知りませんが、昏睡状態から覚めた後の彼は、ちょっと感情が高ぶる事は多いものの、概ね良識のある紳士。
ふと『記憶を失う事で性格が変化する』という事はあるのか気になり、ちょろっと調べてみたのですが・・・どうやら「記憶喪失により性格が変化する」という例は実際に確認されているようです(ちょろ調べなので、出典等は省略)。
作品の終盤、爆発のショックで記憶が戻ったマーティンは、記憶と一緒に思い出した殺しのテクニックで偽マーティン(偽ってわけでもない)をオラオラ撃破。ここはまさに中学生男子が喜びそうな「・・覚醒!!!」といった雰囲気で、サスペンス作品だという事を忘れそうなノリですな。
そしてジーナと共に迎えるエンディング。マーティンの頃とさほど性格が変わっている印象はありません。もともとあーいう人だったんですかね。
この先はどうするのだろう…
映画ってラストを迎えた先を勝手に想像するのも楽しいじゃないですか。この作品の先も、これからどうなるのだろう・・とちょっとワクワク感のある流れで終幕になります。
暗殺者時代のノリで身分を偽造し、ジーナに与えた名前は「クラウディア・テイラー」そして自分は「ヘンリー・テイラー」・・・って夫婦かいっ!!
そして大物っぽい雰囲気で登場しておきながら、一般人女性(ジーナ)にあっさり落下死させられたロドニー。果たして彼がセクション15のトップだったのでしょうか?もしそうだとしたら、これまたおマヌケな暗殺集団だこと…。
もし彼が支部長的なポジションだったとしたら、組織から追手が来たりするんじゃないかね?大丈夫かいな、女連れで。
そういえばそのロドニーが死ぬ直前、車にヒョイッと逃げ込むシーン。彼を演じるフランク・ランジェラが『映画/ロリータ』でキルティ役をやった時の「ハンバート教授に追われてピアノにヒョイッと飛んで座る時の彼(全裸)」を思い出す動きで、ちょっと笑えましたな。
なにはともあれこの「映画/アンノウン」、アクションとサスペンスとエンターテイメントがバランス良くまとまった良作で、気持ちよく鑑賞することができました。
なにより爆発に巻き込まれてあっさり消し飛ぶジャニュアリー・ジョーンズってのも、なかなか見れない光景でしたな。