【当ページには広告が含まれています】

今日の1本は『映画/バトル・オブ・ライジング』、マッツ・ミケルセン主演による実在の人物をテーマにした歴史小説映画になります。今回は大きなネタバレはありません。

しかしこの邦題とパッケージはダメでしょう。まるで『痛快ヒーローバトルアクション!』といった雰囲気に騙された方も多いのではないかと。私もその一人です。。。

バトル・オブ・ライジング
コールハースの戦い


2013年 フランス・ドイツ

主なキャスト:
マッツ・ミケルセン
デルフィーヌ・シュイヨー
メリュジーヌ・マヤンス
ダーヴィット・ベネント
ブルーノ・ガンツ
ギヨーム・ドローネー

監督:アルノー・ドゥ・パリエール
脚本:アルノー・ドゥ・パリエール、クリステル・ベルセヴァス

原作はハインリヒ・フォン・クライストの小説『ミヒャエル・コールハース』

ネタバレ無しのあらすじ

16世紀フランス。

馬商人として生活するミヒャエル・コールハース(マッツ・ミケルセン)は、愛する妻(デルフィーヌ・シュイヨー)と娘(メリュジーヌ・マヤンス)と共に幸せな生活を送っていた。

しかし新たに領主となった男爵の横暴により大切な馬2頭を奪われ、従者までひどい仕打ちを受ける。

コールハースは法に訴えようとするも不当な権力により押しつぶされ、事態はさらに悲しい結果を招く事に…。

怒り極まった彼はついに行動を起こし、男爵を討たんと挙兵するのだが…

・・・といった内容の作品。

キャストと邦題&パッケージで戯言

主演はマッツ・ミケルセン。男の私ですらクネクネしてしまいそうなシブさとカッコ良さが魅力の彼ですが、ちょいちょい変な作品があるんですよね…。

本作も映画としては素晴らしい出来だと思うのですが、こういう内容ならばこういう内容だと先に知っておきたかったな…と。なんですか『バトル・オブ・ライジング』って(汗)

まるで『マッツ・ミケルセンが剣を片手に、カキーン!カキーン!とバトルを繰り広げる戦記モノ』のような邦題で、パッケージまでそれっぽい写真じゃないですか。しかし騙されてはいけません。

マッツ・ミケルセン、一度も剣を振りません(笑)

というか全編において派手なバトルは一切無し。序盤にボウガンで淡々と殺す作業があるのみです。

もはや『バトル』でも『ライジング』でもなく、『ライフ・オブ・馬商人』といった内容(笑)

もしかしたら『バトル』というのは派手な意味ではなく、人としての尊厳と信仰の間で苦しみつつ行動するコールハースの『心の戦い』を意味しているのかもしれませんが…それならあのパッケージは無いでしょう。やはり単なる「釣り宣伝」かと。

まったくこんなバカみたいな騙しをせず、そのまま『重厚な歴史モノの人間ドラマです』といった形にすりゃ良いじゃないのよ。ホント、邦題を考える人間とその周囲はゲスなアホウばかりですな…。

おそらく同じくマッツ・ミケルセン主演の『映画/ヴァルハラ・ライジング』を意識したのではないかと思われますが、こういうやり口はホントやめていただきたい。

ちなみに原題は『Michael Kohlhaas(ミヒャエル・コールハース)』です。このままで良いじゃないですか。

そうそう、コレは誰もついてこれない戯言ですが…『映画/アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち』にも出演していた身長206cmのモンスター俳優、ギヨーム・ドローネーが出演していたのは興奮しました。はい、一般の方にはどうでも良い話ですな。

派手さは無し

…というわけで、私も邦題とパッケージに騙された一人になります。

しかしフランス・ドイツ合作という事もあって、序盤から「いやいや、コレはそういう映画じゃないだろ感」が漂っていますから、わりと早めに過ちに気づけるのがせめてもの救い。

とにかく文学的と言いますか…多くを語らず、セリフも少なく、親切に説明的な表現もない。

アチラのこういう空気は嫌いではありませんし、なによりマッツ・ミケルセン目的だから良かったものの…ハリウッド映画のエンターテイメント性にどっぷり浸かったライト映画ファンが「今夜は壮大なバトルアクションでも見るか!」と選んでしまったら序盤で挫折しそうな雰囲気ですな。

男爵とか王妃とかに関しても、ついマリー・アントワネットや三銃士のような『広い領地!デカい城!きらびやかな衣装!』を想像してしまいますが、本作はそんな派手なもんじゃない。地味な地方領主なので見た目はほぼ一般人という(笑)

さらに全体的にものすごく説明不足かつ場面転換も尻切れなので、脳ミソと感性で察していかなければいけない部分だらけ。人物の心情描写もシンプルな描写や表情から察するのみ。

そのキャッチーな外見とは裏腹に、見る人を選ぶ作品とも言えます。やはり宣伝方向を間違えている気が…。

超個人的な戯言感想

今回はネタバレは無し…と言ったので詳しい部分には触れませんが、最終的に『悪い領主をやっつけて一件落着!』という話ではなく、なんともやりきれない結末へとたどり着く本作。

水戸黄門のような勧善懲悪モノが大好きな単純明快さんにとっては、なんともモヤモヤした気分にさせられる映画でしょう。うちの父が見たら「なんじゃこの性格悪い映画は!」と憤慨しますよ、たぶん。

いつの時代も既得権益者が勝ち、民衆は不条理な扱いを受ける。そんな現実を見せつけられるイヤーな内容ではあるのですが、決して単なる胸クソ映画ではなく、切なくも悲しい物語として味わい深い良映画でございました。

もはやいつものノリでバカな戯言を挟む隙がありません。

せっかく奥さんが何度もおっぱいや尻を晒してくれてるのに…コールハースの娘はハァハァしてしまうほど可愛いのに…そこに着目してゲスな話を広げではいけない空気がひしひしと伝わってきます。『映画で戯言三昧』としては商売上がったりの作品ですよ、ホントにもう。

まだ鑑賞していない方は『決してバトルエンターテイメント作品ではない』という事を重々承知のうえで御覧ください。

そのうえでマッツ・ミケルセンの胸毛にハァハァするも良し、ぷりんとした白い生尻にハァハァするも良し、はたまた娘役のメリュジーヌ・マヤンスにあらぬ妄想を抱いて興奮するも良し。

そんな映画です。ええ、もちろん本当はそんな映画ではありませんけど。