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今回はマニアックな食人作品『映画/ラビナス』でネタバレ含む感想と戯言を。主演はガイ・ピアース。ロバート・カーライルも出演しているのでキャストフェチにはたまらん映画ですな。

しかしカニバリズム系の作品で本音を書くと、ドン引きされるような内容になってしまうのよね…。

ラビナス


1999年 アメリカ

キャスト:
ガイ・ピアース
ロバート・カーライル
ジェフリー・ジョーンズ
ジェレミー・デイビス
ニール・マクドノー
デヴィッド・アークエット
ジョン・スペンサー
ステファン・スピネラ

監督:アントニア・バード
脚本:テッド・グリフィン

ネタバレ無しのあらすじ

1847年アメリカ。

戦争で功績をあげ、英雄として昇進したジョン・ボイド(ガイ・ピアース)。しかし彼の武勇はヘタレ行動の末のごっつぁんであり、それを知る将軍は僻地であるスペンサー砦へと彼を左遷。

そしてジョンが到着して間もなく、深夜の砦に謎の訪問者が現れる。

コルホーンと名乗るその男(ロバート・カーライル)はジョン達に「旅のキャラバンが遭難し、洞窟に避難していたが人食い祭りでわっしょいわっしょいになったから逃げてきた」と告げるのだった。

ええい人食いなど許せん!…と憤慨するハート大佐(ジェフリー・ジョーンズ)と共にジョンも救助に出発するのだが・・・。

・・・といった流れから、マヌケで雰囲気ぶち壊しの音楽が気になりすぎる作品。

キャストで戯言

主演はまだカッコいい頃のガイ・ピアース

あまり書くとネタバレになるので伏せますが、彼はこういう頭がおかしくなる(しかし本人は全く自覚無し)役、多いですなぁ。

そして重要な役どころのロバート・カーライルも素晴らしい演技で鑑賞者を惹きつけるったらありゃしない。

この二人がしっかりと空気を作り上げているおかげで、古臭かろうと音楽が変だろうと見ごたえのある作品になっております。素晴らしい。

ちなみにこの当時、ガイ・ピアースはベジタリアンで肉を喰わん人(現在は不明)だったとのこと。作中で肉を嫌がるのは素で嫌がっているらしく、終盤にシチューの肉を食べるシーンは勢いをつけるために酔っ払った状態で撮影した…という噂も。

真偽のほどは定かではありませんが、俳優も大変なのね。

実話に着想を得た作品

本作は実話ベースとまではいかないものの、実在の事件に着想を得て製作されています。

題材となったのは『ドナー隊の遭難』および『アルフレッド・パッカー事件』と呼ばれる二つの事件で、どちらも食人モノ。あくまで着想を得たというだけですので、物語としては全くの別物ですけど。

両方詳しく説明すると長くなるので省略しますが、『遭難して食料がなくなったから人を喰った』という事件になります。

この手の話はこの2件以外にもありますし、有名なソニー・ビーン一家などアメリカ以外でも食人行為の報告は多数。

それらの中には歴史に残らぬものもあったでしょうし、食人行為を行っていた民族も実在するようですので、もはや食人は一つの文化(あくまで過去の)と言っても良いのではないかと。いやいや、不倫だって文化と主張する人間がいるんだ、食人だって文化でいいじゃないのよ。

しかし本作の食人はこれまでの食人とは一味違う。

人肉を単なる『お食事』とせず、食べるだけで瀕死の重傷も治るような『魔法の食材』として描いているのが他作との違いですな。あらやだ、ますます食べたくなるじゃない。

珍妙な音楽

普通にテンポ良く物語が進むため、特に謎に感じる部分の無い『映画/ラビナス』ですが、途中2~3回の驚き要素は有り。

ただし20年以上前の作品ということもあり、ある程度映画慣れして勘の鋭い方ならば早めに展開が読めてしまうのではないかと。

カメラワークも凡庸ですし、低予算だったせいかロケーションも微妙。やや強引な展開やツッコミどころ満載のアクションシーンも時代を感じさせます。

それよりなにより一番気になるのが・・・

場の雰囲気に全く合っていない、オマヌケ極まりない音楽(しかもボリュームでかい)

冒頭から「え?コメディタッチなの?」と困惑する人もいるでしょうし、せっかくの緊張感や不気味な雰囲気もピヤヤヤヤ~と流れてくる変なメロディーのせいで台無し。

話の内容が内容なので、あえてコメディ感を出しているのかもしれませんが、もしそうだとしても個人的には余計なお世話ですな。コメディ感などではなく怪しく不可解な雰囲気を狙っての楽曲だとは思いますが、それでも個人的にはスベってる感が。

ちなみに映画としての興行はまるで振るわなかったラビナスですが、この珍妙な楽曲はコアな人々から評価されたらしくサントラも発売されております。好みは人それぞれですし、「うああああ、イイッ!この映画の音楽たまらん!」と感じた人はサントラ買ってトリップするのも良いでしょう。

ネタバレ内容

前述したように謎もへったくれも無い内容ですので、あえて考察・解説するようなポイントはございません。

偶然に仲間の血を飲んでしまったことにより、勇気の鈴がリンリンしたジョンは武勇を挙げて昇進。しかし左遷(彼がスペンサー砦へ送られたのは決して会食で吐いて将軍に恥をかかせたからではない)。

いやいや、どうせおまえが最後の1人の生き残りなんだろ…とバレバレのコルホーンを連れて洞窟へ行けば、案の定襲い掛かってきて部隊はジョンを除き全滅。ここでもジョンは本田圭佑似の仲間のお肉でスーパーパワー充填。

このあたりのテンポが良いおかげで、早めに物語の主題に引き込んでくれるというのは嬉しいですな。

その後の『ハート大佐が生きていた』→『Youも人食い仲間になっちゃいなよ』を過ぎたあたりから若干テンポダウンしてしまうのが惜しいですが、それでもダラダラするほどではなく。

最後はお遊びが過ぎたアイヴス大佐と心中…と、王道の流れまで鑑賞者を無事に運んでくれます。

ここも「なぜそこで決めないのよ!?」「どうしてナイフ捨てるんよ!?」とツッコミたくなる闘いっぷりを、事前にトフラー二等兵(信仰心厚いキャラ)のくだりで『この男はあえて相手を逃がして弄んだりする』と明示しておくことで誤魔化せているのがお上手。

最後は彼らの姿を見たマーサ(原地民の紅一点)が、何も言わずそっと扉を閉めて去るのでした・・・で、めでたしめでたしです。

おいおいツッコミも衝撃も無しで去るのかよ!いや、でも…

オッサン二人が血だらけになってBLみたいな寄り添い方で果てている。
しかもでっかいトラバサミに挟まった状態で。

ですからな。そりゃ何も言えませんよ。そっと閉めて去りたくもなりますさ。

超個人的な戯言感想

…というわけで。

事前に詳細な内容も出演俳優も知らず、『なんか食人モノっぽい』という理由だけで選んだこの『映画/ラビナス』、思った以上に面白く観れる内容で満足でした。

古くからこの変人ブログを読んでくれている方ならばご存じの通り、わしは食人行為には並々ならぬ興味があるのですよ。誤解を覚悟で言ってしまえば、法が許すならば食ってみたいほど。

しかも単なる食べ物ではなく、こんなに素晴らしい力が手に入るならばなおさらじゃないですか。だって銃で撃たれてもへっちゃらで痕も残らず治るのよ?瀕死の重傷もパクっと食べればOKなのよ?

まぁそれがこの映画だけのファンタジーだというのは歴史も証明していますし、ホントに誰かを喰ってみたりはしませんけどね。しかし世の中にはいろんな性癖の方がおりますし、もし万が一「食べられてみたい」という願望をお持ちの方がいましたら連絡下さい。合法的にいけるならば喜んでいただきます。

どうでも良いけど『ラビナス』と聞くとシャンプーが思い浮かぶよね。浮かばん?