【当ページには広告が含まれています】

大物二大俳優が緻密な頭脳戦を繰り広げる『映画/ブレイン・ゲーム』…と言いたいところですが、実際のところは頭脳戦というよりも超能力戦。アンソニー・ホプキンスとコリン・ファレルが予知能力でバチバチやりあう話になります。ネタバレを含むのでご注意を。

内容としては実に面白いと思うのですが、惜しいというか余計というか…

ブレイン・ゲーム
(原題:Solace)


2015年 アメリカ

主なキャスト:

アンソニー・ホプキンス
ジェフリー・ディーン・モーガン
アビー・コーニッシュ
コリン・ファレル
マーリー・シェルトン

監督:アフォンソ・ポヤルト
脚本:テッド・グリフィン、ショーン・ベイリー

ネタバレ無しのあらすじ

FBI捜査官ジョー(ジェフリー・ディーン・モーガン)とその部下キャサリン(アビー・コーニッシュ)は連続殺人犯の捜査に行き詰まりを感じ、一人の男に協力を求める事に。

その男とはジョーの友人であり元同僚のジョン(アンソニー・ホプキンス)。白血病で娘を失って以来、世間との関わりを断って生活していた彼だが、普通の人間にはない『特殊な能力』を持っていた。

ジョンの超能力によって捜査は進展するものの、いざ核心に迫ろうというところで『犯人もジョンと同じ能力を持っている』という衝撃の事実が判明する…

・・・といった内容の作品。

キャストで戯言

ものども道を空けよ!ハンニバル・レクター博士…じゃなかった、アンソニー・ホプキンス先生のお通りであるぞ、頭が高いっ!

とにかくレクター博士役がドハマりすぎて他の作品では「コレジャナイ感」が漂ってしまうアンソニー・ホプキンスですが、本作はなかなか素晴らしいのではないかと。

あのドコ見ているのかわからないような目でズケズケと言い当ててくる姿はゾゾゾゾッと寒気がしてしまいますな。

そんな彼と対決するのは…コリン・ファレル…ですか…。

好きな方も多い俳優ですので、毎回批判覚悟で言っているのですが…ものすごく田舎臭くないですか?コリン・ファレルって。イモ臭いと言い換えても良い。

『映画/ロブスター』では意外にそうでもなく、ちょっと見直したりもしたのですが…本作でのコリン・ファレルは完全イモバージョン。カッコ悪いし頭も悪そうで雰囲気台無し(あくまで個人の感想です)。どうして彼にしちゃったかな…。

彼ら以外にも「お!」と知っている俳優が多々出演していますが、個人的に最も「お!」だったのは『ドラマ/ウォーキング・デッド』のジェフリー・ディーン・モーガン……ではなく、その奥さん役のマーリー・シェルトン。『映画/バブル・ボーイ』のお母さんだったり『映画/パーフェクト・ゲッタウェイ』のアバズレ女だったりした方です。顔は全然好みではありませんが、映画で知ってる顔が出るとテンション上がりますな。

年齢設定…大丈夫?

本編の話に行く前に、もう1つだけ。

アンソニー・ホプキンスが父親役って…もう厳しくないですか?娘のとのツーショットはどう見ても爺と孫ですよ(笑)

最後の最後に奥さんが出てきた時も、まぁ…夫婦に見えなくもないのですが、見ようによってはこっちが親子でもギリギリいけそうな気がしてきます(公開時でホプキンスは77歳)。

ついでに二番目の被害者ロバート少年の父親も厳しくありませんか?こっちもどう見ても孫でしょう…(汗)

みんな歳の差カップルで老いてから授かった子供…と考えればよくある話ではあるのですが、映画としてはちょっとどうかと…。

ここからネタバレを含むよ!!

バチバチの超能力合戦

この映画の原題は『Solace』、オープニングでも説明されているとおり『慰め』を意味しています。実に映画内容にマッチした奥深いタイトルですな。

…で、それをどうして『ブレイン・ゲーム』にしちゃうのよ。

たしかに互いに頭は使っているものの、決して難解なトリックや高度な駆け引きを駆使しているわけでもなく、頭脳戦と呼ぶには足りなすぎ。的外れな邦題ばかりつける脳みそスカスカ人間にとっては、これでも頭脳戦と感じるのかもしれませんけど。…それとも『脳』を使用する能力だから?。

というわけで、本作は『超能力合戦』なわけです。

一応メインは予知能力っぽい形ではあるのですが、状況によっては予知ではなく知覚だったり…その能力の定義は曖昧ではあるものの、それなりに物語にマッチした流れでグイグイ引き込んでくれます。

『犯人は私よりも遥かに高い能力を持っている』という展開は興奮しますし、そんな事言っておきながらズケズケとキャサリンの素性を並べ立てるジョンにもゾワゾワ。超能力コワーイ。

しかしちょいちょい挟まれる『予知(もしくは感知)』の映像、ジョーやキャサリン、すれ違う人々の過去や未来は良いとして…怪しい背景で迫ってくるコリン・ファレルキメ顔のコリン・ファレルは出てくるたびに「…ん!?いま変なの混ざった!!」と気になるのでやめていただきたい(笑)

PONY CANYON
©SUPERSENSORY,LLC

ついでに彼らが能力を使用した際に何度か流れる「ああ撃たれた!…と思ったら、それは予知した映像でした」という演出と「たくさん増える」という演出。これ、まんま『映画/NEXT-ネクスト-』じゃないですか。

ちょっと強引なれど…

序盤~中盤くらいまでは互いの能力のせめぎ合いに魅力を感じるのですが、後半は少々無理矢理感も。

データベース照合であっさり「犯人はチャールズ・アンブローズだ!はい、決定!」と断定してしまったうえに、証拠もクソもないうちから狙撃して射殺する気満々の配置(笑)いくら実働部隊(SWAT?)が暴走したとはいえ、相手が超能力者だとはいえ、犯人逮捕の手順…踏んでる?

しかもあれだけ大人数で囲んで大量にバラまいておきながら、彼らの弾はかすりもしないのよね…(汗)

…と、周りで外野がザワザワする中、チャールズの目論見通りにジョンは彼を射殺。その後チャールズの後を引き継いで、潜在的に病を抱える人々の救済者となるのか…は別として、娘に関してはジョンが死という救いを差し伸べての他界だったのでした。

ここもなかなか良かったです。

安楽死に関する議論は政治や宗教と同じくらい答えのでない問題ですので、何が慈悲で何が正義なのかは人それぞれ違いますが…私個人の意見としては「救い」であると思っています。ただしチャールズが行う「自覚もないうちに殺しとく」ってのはちょっと早い気がしますけど。もうちょい…せめて病気であることを認識してからのほうが良いかな、と。

個人的な戯言感想

…というわけで、全体的には引き込まれながら面白く鑑賞する事ができたのですが…なんでしょう、惜しいというか足りない気も。

なんとこの『映画/ブレイン・ゲーム』、もともとは『映画/セブン』の続編として執筆されたものだったらしいのですよ。

たしかにセブン同様プロットは非常に良いのですが、脚本と演出、表現の仕方で残念な部分がある気がします。うーん、もったいない。これが別の監督&脚本であったならば文句のつけようのない作品になっていた気もするのですが…(できれば犯人役もコリン・ファレル以外で)。

なにはともあれ隠れた名作(人によっては迷作)となるであろうこの映画、とりあえずアンソニー・ホプキンス好きならば押さえておいて損はないかと。古典芸術に造詣が深かったり、若い女FBIとの絡みがあったりなど…レクター博士を彷彿とさせる部分も多くてニヤニヤしてしまいますぞ。