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基本、有名作や王道映画は見ない人ですがコイツは別格。ハンニバル・レクター博士シリーズの『映画/レッド・ドラゴン』でネタバレ含む戯言です。すでに何度も鑑賞済みですが、しばらく映画活動から離れていたのでリハビリのつもりで大好きな作品を…と。

個人的にはほぼほぼ文句の付け所のない、素晴らしい作品10選に入る位置づけです。ほぼほぼ、ですけど。

レッド・ドラゴン


2002年 アメリカ

キャスト:
アンソニー・ホプキンス
エドワード・ノートン
レイフ・ファインズ
ハーヴェイ・カイテル
エミリー・ワトソン
フィリップ・シーモア・ホフマン
メアリー=ルイーズ・パーカー
アンソニー・ヒールド
ケン・レオン
フランキー・フェイソン
フランク・ホエーリー

監督:ブレット・ラトナー
脚本:テッド・タリー

原作はトマス・ハリスの小説『レッド・ドラゴン』

ネタバレ無しのあらすじ

1980年ボルチモア。

FBI捜査官ウィル・グレアム(エドワード・ノートン)は犯罪精神医学界の権威であるハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)の助力を得て、猟奇的な連続殺人事件の犯人を追っていた・・・が、なんと犯人はレクター博士その人。

命がけでレクターと対峙したグレアムはどうにか彼を逮捕するも、自らも重傷を負いFBI捜査官を退任することとなった。

それから3年後・・・。

フロリダ州マラソンで家族と静かに暮らすグレアムの元に、元上司であるクロフォード(ハーヴェイ・カイテル)が訪れ、連続一家惨殺事件の捜査協力を依頼。

「もう俺そういうのやめたんよー」と拒否るグレアムだったがズルズルと犯人捜しに巻き込まれ、再び因縁の相手、収監中のレクター博士と対面。彼に助力を求めるのだった。

・・・という流れでアンソニー・ホプキンスが相変わらず瞬きしない名作。

キャストで戯言

ダニエル・ラドクリフが長いこと『メガネの魔法小僧』だったり、ハリソン・フォードがどうしても『インディのジョーンズ』に見えたり、出演作でイメージが定着してしまう俳優は数多くいますが・・・この人はもはや本人そのもの。

ハンニバル・レクター博士をアンソニー・ホプキンスが演じているというよりも、もはやアンソニー・ホプキンスをハンニバル・レクター博士を演じていると言っても過言ではないでしょう。いや、それは過言でしょう。

彼はこの後も数多くの作品に出演していますが、このシリーズ以降は何を見ても「レクター博士が出た!!」となる人は多いかと。それほどドハマり役だったのでしょうな。

同じくクラリス役がドハマっていた小柄で可愛らしいジョディ・フォスターが、続編では五角形顔で可愛げのないジュリアン・ムーアに変更されてしまったのは悲しい思い出ですが…本作とは関係ない話なので深くは掘りません。

そして連続殺人犯として追われるフランシス・ダラハイドを演じるのは、レイフ・ファインズ

心を閉ざし、ピュアに恋をし、嫉妬し、錯乱し、恐怖し、「それどう見ても食えないだろ」という紙をモリモリと食う。誇らしげに尻丸出しでドヤ顔を披露したかと思ったら、真っ裸でぶらんぶらんさせながら階段を駆け上る。素晴らしい。もうブラボーの一言しか出てきませんな。

そして彼が恋する盲目の女性リーバ役のエミリー・ワトソンも同様に素晴らしい。どうしてこんなに可愛らしいんでしょう、この人。

彼ら以外にもフィリップ・シーモア・ホフマンハーヴェイ・カイテルフランク・ホエーリーなどなど…名俳優が数多く出演しており、映画通ならばそのメンツだけでお腹いっぱいになりそうな作品でしょう。

え、大事な人を忘れてるって?

うーむ仕方ない・・・。個人的にこの映画の主演はアンソニー・ホプキンスとレイフ・ファインズなのですが、やはり作品としての主演はグレアム捜査官役、エドワード・ノートンになってしまうのでしょうなぁ。

冒頭で書いた『ほぼほぼ文句の付け所がない』の『ほぼほぼ』は、この人が原因だったり。

そんなに良いですか?今回のエドワード・ノートン

高い演技力…とか言われてますが、彼って役柄によって激しくダメだったりしません?

たしかに『映画/ファイトクラブ』は名演技だとは思います。あんな感じでちょっとヘタレた部分のある役柄なら良い俳優でしょう。

しかし骨太でタフな男らしい役柄は合わんと思うのですよ。『映画/ストーン』とかも。なんというかスゴ味が無いというか、目に宿す狂気が嘘くさいというか・・・とにかく彼はヘタレをやっていて欲しいんですな、個人的には。

ハンニバル・レクター博士シリーズ

物語としては超有名作『映画/羊たちの沈黙』の前日譚となるわけですが、作品としては『映画/ハンニバル』に続いての三番目。

ハンニバル・レクター博士シリーズは三作品全て観た…という方も多いと思いますが、どれが一番お好きです?

わたしゃ本作『レッド・ドラゴン』がダントツ一位。続いて『羊たちの沈黙』、『ハンニバル』の順番ですな。映画は出演俳優が評価に大きく影響する人ですが、内容的に考えても概ねこの順番です。

実はこの『レッド・ドラゴン』は1986年に『刑事グラハム/凍りついた欲望』という超B級なタイトルで映画化されており、その後『羊たちの沈黙』が大ヒットしたため「いざ便乗!」とばかりにタイトルを『レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙』に変更して再発売されています。

監督はあのマイケル・マンで、レクター博士役はブライアン・コックスなのですが・・・観ました?

私は観ました。思ったほど悪くはないですよ。ただやはりこっちに比べりゃイマイチな気がしますけど。

なおハンニバル・レクター博士シリーズは四作品と言われておりますが、個人的に『映画/ハンニバル・ライジング』はシリーズだとは思っていません。あんなのスピンオフとしてすら成立できないウ〇コですよ、ウン〇。

そういえば先日(2022年1月18日)、主演のギャスパー・ウリエルがスキー中の事故で亡くなってしまったそうで。心よりご冥福をお祈り申し上げます。〇ンコとか言っちゃってごめん。

ネタバレありの戯言

どうでも良い話でやたら長くなってしまいました。

そもそもこの映画、内容に触れる必要あります?有名シリーズ作品ですし、ご立派な考察記事も吐いて捨てるほど溢れていますし、この映画に関しては私なんぞがあーだこーだと書くまでもないでしょう。

しかしキャストと関連作の話だけでは詐欺っぽいので、『ほぼほぼ文句の付け所がない』の『ほぼほぼ』に関してもう一つ。エドワード・ノートン起用以外でどうしても残念な部分だけ話しておきますか。

それは物語終盤の部分。

ダラハイドがリーバを自宅にさらってきて部屋に火をつけ、訳の分からんことになりながら散弾銃で自決。・・・と思いきや、実は死んでいませんでしたー!の、作品最大のどんでん返しのところです。

幼少期のトラウマにより心の中の怪物(神)に囚われた悲しい男・ダラハイドが、リーバへの愛との狭間で葛藤し、最後の最後に残った良心で彼女を守る。自らの命を絶つことによって。

ここ、めちゃくちゃ胸が苦しくなる最高のシーンだと思うのですよ。

混乱しながらも見せるリーバの純粋さと愛、ダラハイドが狂気と正気の苦しみの中で彼女を想う心、それらが複雑に表現された素晴らしい場面じゃないですか。

・・・・が、彼は死んでいない。

リーバの目が見えない事を利用し、ラルフ(同僚)の死体を使って仕掛けた偽装自殺なわけです。彼女が「ダラハイドは死んだ」と証言してくれることで、一時的に警察の捜査を緩め、グレアムに復讐するチャンスが生まれる。そういうダラハイドの策略だったのですな。

となるとリーバとの一連のやり取り、あの最後の素晴らしい場面は『偽装の為の演出』って事になるわけじゃないですか。

おいおい!あの葛藤や苦しみは全て演技かよ!
茶番だったのかよ!!

…と。

もちろんレイフ・ファインズの演技力のおかげで『全てが偽装の為の演技だったわけではなく、本心の現れでもあった』という心情は伝わってくるものの、それだけにその後の展開は少々残念な気分になりますなぁ…。

超個人的な戯言感想

…というわけで、この『レッド・ドラゴン』という映画は冒頭でも申し上げたとおり、ほぼほぼ文句の付け所がない超名作だと思っております。

原作が同じでありながらも1986年版はそこまでとは感じませんので、やはり俳優の演技や細かい脚本、演出が素晴らしいのでしょう。たぶん。

余談ですが、レクター博士が電話のフック(受話器置くとこ)をカチャカチャ押して電話を好きなとこにかけていた行動、意味わかります?若い方はわからんかもしれんのでちょっと解説。

昔のダイヤル回線(パルス)式の電話はフックを1回カチャッと一瞬押すとダイヤルの『1』、カチャカチャッと2回押すとダイヤルの『2』になったのですよ(3とか4も同じ)。

プッシュ回線(トーン)になってからはできなくなりましたが、ダイヤル回線時代はこれを利用して変な電話のかけかたをして遊んだりしたのです。

…とか書くと、昭和生まれだという事がバレますな。末期ですけど。