「術中覚醒」という耳慣れない単語をテーマとした『映画/アウェイク』。邦画に同名作品がありますが2007年の洋画のほうですよ。ネタバレを含むので未鑑賞の方はご注意下さい。
アウェイク
(原題:Awake)
2007年 アメリカ
キャスト:
ヘイデン・クリステンセン
ジェシカ・アルバ
テレンス・ハワード
レナ・オリン
クリストファー・マクドナルド
フィッシャー・スティーヴンス
監督:ジョビー・ハロルド
脚本:ジョビー・ハロルド
ネタバレ無しのあらすじ
亡き父から大企業を受け継いだボンボン、クレイトン(ヘイデン・クリステンセン)は、過保護なママ(レナ・オリン)に愛されながら美人秘書のサム(ジェシカ・アルバ)ともペロペロするような幸せな人生。
しかしそんな彼には重大な心臓疾患があり、移植手術をしなければ長くは生きられないのだった。
母親の反対を押し切り、親友の外科医ジャック(テレンス・ハワード)に手術を頼んだクレイトンだったが、術中に思わぬ出来事が発生。
・・・あれ?なんか周囲の声が聞こえたままなんだけど…。
キャストで戯言
今やニューヨークの半分が彼のモノ…と言われるほどの大金持ち。支配型ではあるものの彼を愛してやまない母親とナイスバディで美人な秘書。
呪い殺してやりたくなるような恵まれキャラのクレイトンを演じるのはヘイデン・クリステンセンです。
彼以外に適役はいないだろうというほどのドハマりっぷりで、まさにボンボンの中のボンボンといった佇まい。
『蔵の財よりも身の財すぐれたり、身の財より心の財第一なり』なんて言葉もありますが、これだけ金持ちで恵まれているならば心臓がアレだろうがなんだろうが代わって欲しいもんですな。
だって秘書兼・婚約者がジェシカ・アルバですぞ。
もし交代できるならば、一ヵ月だけでも全然OK。たとえ一ヵ月後に心臓が止まる運命だろうとも、それまでの間に思いっきり散財してジェシカ・アルバとあんな事やこんな事をしまくってやりますさ。
術中覚醒
この作品の最大のポイントでもある「術中覚醒」という現象。
「全身麻酔を施されながらも、手術中に意識だけが覚醒している(身体は動かせない)」との事ですが、そのあたりをちょっと調べてみました。
長くなるので別記事で。
良作サスペンス
「もしも心臓の移植手術中に、意識だけが覚醒してしまったら?」というだけでも十分怖いですが、そこを映画としてしっかりと成立させるストーリーは素晴らしい。
だって聞こえちゃうんですよ?信じていた親友も、もっと信じていた婚約者も、みーんな自分の財産が目当て。しかもあろうことか手術の失敗に見せかけて殺そうとしているだなんて…。
そりゃ泣くよ、全身麻酔中だって泣きますよ。
声だけのヘイデン・クリステンセンが少々大根読みっぽい気もしますし、前半に若干ダラダラ感がありますが、全く動けないままどう切り抜けるの!?…という流れはなかなかスリリング。
パッケージにダサさとは裏腹に、しっかりしたサスペンスになっております。どうしてこんなイモ臭いパッケージにしちゃったんでしょう、もったいない。
母は強し。しかし…
さてさて、そんなわけで親友も恋人も敵。しかし自分は身動きもとれなければ声も出せない。
…というわけで、序盤はその口出しっぷりに「うっさいわ、このデヴィ夫人が!」と言いたくなった母親が、物語後半は唯一頼れる存在に。
息子のために奮闘し、最終的に自らの心臓を差し出すという決断はまさに母の愛。そうそう真似できるものではありません。素晴らしい、実に素晴らしいですな。
…という事で、いいですか、ちゃんと褒めましたよ?こういうトコをしっかり褒めておかないと、女性蔑視だなんだと騒がれるので。
というかね、この母親のように『なんでもママの言うとおりにしておけば良いのよ』的なノリの女は大っ嫌いなんですよ、わたしゃ。
たしかに「最初から母親の言うことを聞いていれば…」という展開にはなりましたが、そりゃあくまで結果論。母親であろうともイイ年した息子に友達や恋人のことまで口出しする権利なんぞありませんよ。いや、たとえ小学生でだろうと「子供は親の言うことを聞きなさい」なんてエゴ以外の何物でもない。
そんなわけで開始から終了までこの母親を好きにはなれず、ラストの「あなたの中で私は生き続けるわ」的な表現にもげんなりでした…。
超個人的な戯言感想
映画としては予想以上に面白かったものの、母親のキャラがどうにも無理。しかし彼女無しではこの映画は成立しない…という、なんともモヤモヤした気分の残った『映画/アウェイク』
ホント、総合的に見ればとても良い思うのですよ。たった80分チョイしかないのに見ごたえもありましたし、好きな俳優も多数出演していますし。
とりあえず「全身麻酔を伴う手術は受けたくないですな」って事で締めとしておきましょうか・・・。