今回の1本は『映画/ドント・ノック・トワイス』です。
話題作が出るとそれにタイトルを寄せてくる…という悪しき慣例のせいで『ドント・なんちゃら』という映画が大量にありますよね・・・。遥か昔に『アルマゲドン・なんちゃら』というB級映画が溢れかえった事を思い出します(笑)
ジャンルとしてはホラーになるのですが、純粋なホラーというよりもハイブリッドホラーといいますか…アレやコレやと盛り込んだ内容になっています。
良く言えば…ちょっと斬新。悪く言えば…かなり中途半端。そんな感じです。
ドント・ノック・トワイス
2016年 イギリス
主なキャスト:
ケイティー・サッコフ
ルーシー・ボイントン
ニック・モラン
プーネ・ハジモアンマディ
ハビエル・ボテット
監督:カラドック・ジェームス
脚本:マーク・ハッカービー、ニック・オストラー
ネタバレ無しのあらすじ
ドアを2回ノックすると老婆の悪霊に襲われる…という都市伝説が囁かれている、荒れ放題の小さな屋敷。
友人ともにその家を訪れたクロエ(ルーシー・ボイントン)は、半信半疑ながらもドアを2度ノックしてしまう。
それ以降、彼女の周囲では不可解な現象が起き始める…。
・・・といった内容の作品。
注)予告編は英語版となります。
ここからネタバレを含むよ!!
モヤモヤが残る作品
序盤から不気味な雰囲気を漂わせつつ進む本作。
ドアを2回ノックしてしまい・・・ダニーが正体不明の悪霊にさらわれ・・・クロエの周囲でも不可解な現象が続き・・・ついには彼女自身もさらわれてしまう。
とても怖いというわけではありませんが、それなりにホラーっぽい演出も多く、比較的安心して観ていられる流れです。
中盤あたりにぶち込まれる「ドアをノックしてやってくるのなら…ドア全部撤去しちゃえばええやんか!」という母ジェスの発想には目からウロコが落ちました(笑)
『映画/ジョーズ』で「海から来るなら…山に遊びに行けばええやんか!」、もしくは『映画/エイリアン』で「異星人?だったら宇宙に行かなければええやんか!」的な、映画設定を根本から破壊する斬新な発想です。まぁ効果はなかったんですけど(笑)
しかしドアを燃やす炎に照らされながら寄り添う二人の影は・・・彼女が生み出している「母と赤子の像」を彷彿とさせる美しい映像で…。もはやツッコミを入れてはいけない空気が漂っていました(汗)
ああ、これは母娘の愛の話なんだな…と。
途中からサスペンスへ急ハンドル…
超常現象をきっかけに、母と娘の間にあった溝が埋まっていき…という話なのかと思いきや、途中から急にサスペンス路線で『真犯人捜し』が始まってしまいます。
ところがこの『真犯人探し』がまた残念というか、駆け足すぎるというか…。
「真犯人は刑事ボードマンだった!!」へ持っていく流れがあまりにもサラッとしすぎていて、明らかにミスリードの臭いがプンプン。
そして最終的に「刑事ボードマンは真犯人ではなかった!!」となるのですが、そう判断する理由もクロエの証言だけというあっさり感。とりあえず「これが伏線だった」のような雰囲気でちょいちょい回想を挟んではいるのですが、決して伏線とは言えないような「ただの回想」でしかなく…。
『なぜボードマンを犯人と断定したのか』そして『なぜ彼は犯人ではないと判断したのか』の部分がユルユルすぎて、どんでん返しと感じる事もできませんでした。。。
ぶん投げエンド
最終的に「ティラが真犯人でした」のような流れで締められるですが、このへんも駆け足すぎるうえにブツ切りな終わり方なので…ちょっぴり消化不良感が残ります。
結局のところマイケルをさらったのは誰?という部分は、やっぱりメアリーなんですよね。
そして彼女が自殺することによって、他へと手先の役割が移行し…それがティラである、と。
しかし旦那さんを殺害した理由や、ジェスの胸に烙印が刻まれた理由などに関しては、やはりモヤモヤが残ります。
『他の人間に邪悪な行いをさせる事で身代わりとし…」という設定から、無実であるボードマンを生贄としてしまったジェスの行動が邪悪である…という事で、新たな手先として選ばれてしまたのだろうか…というのが私の超個人的な解釈です。
この「邪悪の手先」と「悪魔(ババ・ヤーガ)」がハッキリと描き分けされていないために、メアリーの亡霊に襲われているのか、悪魔に襲われているのか・・・という部分がどうもすっきりしません。
『悪魔の手先って同時に複数存在するものなの?』
『ジェスに烙印が刻まれたなら、ティラは?』
『ジェス役のケイティー・サッコフって、ウィレム・デフォーに似てない?』
そんな疑問が解決されないまま迎えるエンディングは、なんとも微妙な空気が漂います。
惜しい…
アレコレ書きましたが、決して『つまらんっ!!』というほどではありませんでした。設定や展開などは悪くないんです。
しかしとにかく尺が足りていない。。。
説明不足な部分と回収されない部分、そして理由付けが薄い部分が多く、全体的にさらーっと表面を撫でるような仕上がりになってしまったのが残念でなりません。
どこか1ヵ所。せめて2ヵ所に焦点を絞って描いて欲しかったなぁ…というのが私の個人的な感想です。
『母と娘の絆』、『亡霊ホラー』の2つでしっかり作りこめばもっと面白い作品になったような気もするのですが・・・まぁ素人の戯言です。
ちなみにこの映画、ゲーム化もされているらしいですよ。
ゲームを原作として作られた映画だと勘違いしている方もいるようですが、映画のほうが先になります。
PlayStation 4、 Xbox One、 Nintendo Switch、 Microsoft Windows、全てダウンロード版としてリリースされていますので、興味のある方はどうぞ。
かなりいろんな部分を端折られた作りになっているらしく『館を捜索してさらわれた娘を探せ!』みたいな内容らしいですよ。
私はプレイしていませんので、楽しいかどうかはわかりませんが。。。