映画『ディアトロフ・インシデント』盛りすぎだけど美味い!(ネタバレ含)

※当記事はあらすじ・ネタバレ・感想を含みます。未鑑賞の方はご注意下さい。

これは実話である…というありがちなテロップから始まる『映画/ディアトロフ・インシデント』

しかし実話なのはその直後に紹介されるウラル山脈北部で男女9名が死亡したという謎の事件、通称ディアトロフ峠事件まで。そこから先は、事件をもとに作られた完全フィクションですので騙されちゃダメだよ。

モキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)タッチで描かれる、いわゆるPOV映画なのですが・・・『POVだ』と思って鑑賞すると不自然なカットばかりですので、普通に『カメラワークが見づらい映画』と思って鑑賞するのが良いかと…(笑)

ディアトロフ・インシデント


2013年 アメリカ・イギリス・ロシア

主なキャスト:

ホリー・ゴス
マット・ストーキー
ルーク・オルブライト
ライアン・ホーリー
ジェマ・アトキンソン

監督:レニー・ハーリン
脚本:ヴィクラム・ウィート

ネタバレ無しのあらすじ

1959年、旧ソ連ウラル山脈にて雪山登山をしていた男女9人が不可解な死を遂げるという事件が発生。

それは後に一行のリーダーの名から『ディアトロフ峠事件』と呼ばれ、現在に至るまで真相は解明されていない…。

…そして現在。

大学から『ディアトロフ峠事件における心理学的観点からの真相究明』という課題を与えられたホリー(ホリー・ゴス)は、自分を含め5人のメンバーを集め事件が起こった遭難現場を目指す。

しかし徐々に不可解な現象が続き、その先には想像を超えるような真実が待っていた…。

・・・といった内容の作品。

ディアトロフ峠事件

かなり有名ですので、そっち系のネタが好きな人であればご存じの方も多いであろう『ディアトロフ峠事件』

映画冒頭でもさらーっと説明してくれますが、この事件を全く知らずに鑑賞すると面白さが半減しますので・・・さらにざっくり、面倒な屁理屈が嫌いな方のために箇条書きでご紹介しておきます。

特に映画内で絡んでくる重要なポイントは線引きしておきます。

  • 1959年。当時のソ連ウラル山脈北部で発生した遭難事故。
  • メンバーのほとんどが20代前半と若いものの、全員がそれなりに経験者。
  • 10名が参加していたが、そのうち1人が登山開始直後に離脱。死者は9名。
  • 出発から約1ヵ月後、捜索隊により遺体が発見される。
  • 遺体の状況は非常に不可解。舌が無くなっている者、放射線により被爆していた者も。
  • 軍が関与している、宇宙人、イエティ、原住民による攻撃…etc、様々な憶測を呼ぶも、真相は解明されていない。

現在もあーだこーだと議論が繰り広げられてはいますが、各々が『自己解釈』を主張しているだけで真実には至っていません。

追記)2019年2月にロシア政府は『雪崩や暴風などによる自然現象が原因』と見解を示しました。

面倒な人は『なんか雪山で登山者9人が死んだらしいよ!しかも死に方がおかしかったんだってさ!』というのが頭に入っていれば十分です。

ここからネタバレを含むよ!

前半はややリアル系

心理学がどうのこうのといった話の流れから、ディアトロフ峠事件の現場へ向かう事になった一行。

POV系の映画はリアル感を出すために見づらい映像が多かったりしますが、本作は比較的見やすいです。…というかむしろ、POVとするには不自然すぎるアングルや演出がありすぎて萎えるほど(笑)

これ、無理にモキュメンタリーっぽくせずに普通に作ったほうが良かったのでは…。

まぁ音声担当のデニースが美人なので、彼女がマイクを掲げている姿はセクシーで良いんですけどね。

一行が雪山に向かい、初日のテント設営あたりまではごく普通にリアル系のお話ですので、ゴリゴリの超常現象系スリラーを期待した方には『ダルい…』と感じるかもしれません。

中盤は…

さぁさぁ、物語中盤に入ると徐々に不穏な空気が流れてきますよー。

まずは『朝起きたら、謎の足跡が!!』から始まり、『気象塔の中に人間の舌が!!』と続いた先に『GPSが効かん!高性能コンパスもダメだっ!』とわかりやすい展開。

もう帰ろう、いや帰れない、やだよ帰ろう…そんなグダグダの果てに「とりあえず今夜はここに泊まろう」という結論に至るのですが…

なぜかその夜、美人のデニースは女たらしのアンディとセッ〇ス。さらにホリーまでJPを誘っておっ始めようとする始末。おおい、どうしたあんたら。

後半は別映画のような猛ラッシュ!

生き残って欲しかったデニースが可哀そうな最後を遂げてしまい、悲しみに暮れるこちらをよそに…このあたりから物語はどんどんヒートアップ。軍(政府)の陰謀説的な流れになったその先に待っていたのは、怒涛のカオス展開です。

なんとここで『フィラデルフィア計画』のネタを盛り込んできます(笑)

フィラデルフィア計画とは…

1943年、アメリカ
ペンシルバニア州フィラデルフィアに停泊していた軍艦エルドリッジを使用し『磁場発生装置を使用して船体をレーダーに映らないようにする』という目的で行われた実験(とされている)。

実験開始直後にエルドリッジはレーダーから反応を消したが、さらに物理的に消失。2500km離れたノーフォークに瞬間移動し、その数分後に元の場所に戻ってきた(とされている)。

船内にいた乗組員は『発火した・船体に身体がめりこんだ・瞬間冷凍した』などなど、不可解な現象により16名が死亡。一命をとりとめた6名は精神に異常をきたした(とされている)。

さらには『謎の生命体』が出現し、もうなにがなにやら。

POVならではの見づらいカメラワークと、暗くてよくわからない映像、しかしやっぱりPOVとするには不自然すぎる撮り方で…もうぐっちゃぐちゃ。

鎖をブン回して戦おうとするホリーの姿だけがやけに印象的でした(笑)

そして最後の種明かし…というか、伏線回収のラッシュです。

このあたりのジェンセンは、それはもう不自然なくらいにペラペラと説明セリフを連発し…

「テレポートだ。それなら説明がつく!」「マンツィ族の壁画だ!」と、典型的な『物語のつじつまを合わせるためのキャラ』になり果てていました(笑)

さらに「ポイントプレザントのモスマンも…」とかまで言い始める始末。もう黙ったほうがいいよ、キミ。

ポイントプレザントのモスマンとは…

1960年代アメリカ、ウェストバージニア州ポイント・プレザント一帯にて世間を騒がせたUMA(未確認動物)
鳥類説・エイリアンのペット説・先住民族の呪い説など…さまざまな説があるが、真相は不明。都市伝説の一種。

ようするに『世界中の全ての謎の現象の答えは、ココにある!!』って事が言いたいらしいです。盛り込みすぎです(笑)

ラストは意外に衝撃的

この最後のオチ、個人的にはかなり好きでした。

『強く思い描いて入れば、そこに行ける!』というジェンセンの謎の確信はもうツッコミませんし、いざ未知の光に飛び込もうとしているクセに見上げ自撮りしている点にもツッコミません。

『入り口の外の雪山を思い描こう!そこなら明確に覚えている!』という部分も…

あんたら今、その恰好で目の前の雪山に出たとして…どうにかなると思ってんの!?

と激しくツッコミたいのですが、そこも我慢しましょう。

その後に続く…

すぐ外の雪山に瞬間移動する事には成功したが、それは約50年前。まさにディアトロフ峠事件の捜索が行われている最中だった!!!

…というのが非常に面白かったです。

捜索隊に加わっていたお婆ちゃんが見たという『11人の遺体』は、彼ら2人の事だったんですね。

そしてジェンセン君がしっかり伏線を張っていた『フィラデルフィア計画に参加していた乗組員の中には、突然変異した者もいた』というセリフや、施設内で見つけた自分たちのビデオカメラ、襲ってきた謎の生命体、それらを一気に回収する素晴らしいオチです。

ツッコミどころはアレコレありますけど(笑)

美味しいものは余計な事せずに食べましょう

さてさて…

評価も感想も人それぞれ、いろいろあると思いますが…私としてはとても面白い映画と感じました。3回鑑賞しています。

しかしやはり、なんでもかんでも盛り込みすぎて収拾がつくなくなっている…という印象はあります。

骨幹となる部分はとても良いですし、結末も素晴らしいんですよホント。

例えて言うならば…

うまそうな素材をしっかり美味しく調理できたのに…さらに食材やら調味料やらをドンドン混ぜすぎて、なにがなんだかわからない料理になってしまった。

といった印象です(笑)

私は嫌いじゃないですけどね、こういう『全部乗せラーメン』のようなカオス感。登場人物もいろんな意味でキャラが立っていますし。

都市伝説系が好きで、ぶっ飛んだSFが好きな方であれば楽しめる映画なのではないかと。

ちなみに本映画の監督レニー・ハーリンは、昭和生まれの映画好きならば知らない人はいないであろう『映画/クリフハンガー』や『映画/ダイ・ハード2』も手掛けた監督なのですが…メジャー作品に縁がない私はどちらも見ていません(笑)

ディアトロフ峠事件に興味を持ったなら、こんなのもあるぞ!!