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今回は古めの『映画/裏切り者』でネタバレ戯言。同名や似たタイトルの作品が多々ありますが、2000年作品・マーク・ウォールバーグとホアキン・フェニックスのヤツですな。

俳優&監督&パッケージの雰囲気で『映画/アンダーカヴァー』と紛らわしいのがポイント。ちなみに実話が基となっているそうな。

裏切り者


2000年 アメリカ

キャスト:
マーク・ウォールバーグ
ホアキン・フェニックス
シャーリーズ・セロン
ジェームズ・カーン
エレン・バースティン
フェイ・ダナウェイ

監督:ジェームズ・グレイ
脚本:ジェームズ・グレイ、マット・リーヴス

ネタバレ無しのあらすじ

ニューヨーク、クイーンズ区。

自動車泥棒の罪で服役していたレオ(マーク・ウォールバーグ)は、苦労をかけた母のためにも真っ当に生きようと心に決めていた。

仕事を世話してくれるという叔父(ジェームズ・カーン)にまずは進学する事を勧められるも、一日も早く自立したいレオは同社に勤務する悪友ウィリー(ホアキン・フェニックス)と共に現場で働くことを希望。しかしそれは裏工作の汚れ仕事だった。

ある日、ライバル企業の信用を落とすため操車場にやってきたレオらは、なりゆきから殺人の罪を犯してしまい…。

・・・といった流れで派手さはないが骨太な・・・おっとシャーリーズ・セロンも出てたっけ、な物語。

注)予告編動画は外国語版(字幕無し)

キャストで戯言

ダブル主演はマーク・ウォールバーグホアキン・フェニックス

そしてジェームズ・グレイ監督とくれば、どうしても『映画/アンダーカヴァー』とカブってしまいますな。あっちのほうが有名ですし(製作はこっちがだいぶ前)。

しかしこっちのマーク・ウォールバーグは一味違う。

何が違うって、喋りは基本ボソボソと控え目、暗がりからコソコソと覗き見をし、悪いヤツらに巻き込まれ、いざとなるとイモ引いて逃げる。要するにちょっとヘタレなマーク・ウォールバーグ(最後は頑張るけど)。

これがなんというか…彼のリアル性格や現在の役柄からは大きくかけ離れており、なんとも違和感…。身体も無駄にゴツいし…。

もうちょい線の細い俳優のほうが良かったのではないだろうか、とも思いますが、まぁ良いでしょう。しっかりとイイ演技していましたし。

そしてホアキン・フェニックス。

こっちのほうは『ちょいワル』『でもイイところもある』『しかしその中途半端さで失敗する』という、彼がよくやらされる役柄で安定感抜群。

兄貴(リヴァー・フェニックス)とは全然似ていないと思っていましたが、若くて痩せているとそっくりな顔をするんですなぁ。

以上でいいですか?え、やっぱり触れなきゃダメ?

はいはい、ホアキンの恋人役、ヒロインポジションはシャーリーズ・セロンですよー。

今回も一瞬ですが「えいやっ!!」と脱いでくれますので、彼女目当てで鑑賞した方も満足でしょう、はい。

このテンションの低さでお分かりでしょうが、私はクソ生意気な顔が好きではありません。そりゃ二階から投げ落としたくもなりますわ。

実話

本作はなにげに『実話ベース』という事になっておりまして。

なんでも監督ジェームズ・グレイ自身が実際に体験した出来事を映画化しているとのこと。

普通に考えりゃレオ(マーク・ウォールバーグ)が監督なのかな…と思いますが、その件に関して全く情報がなかったので詳細は不明。

もちろん「パーティに参加していた、誰かもわからん人物が僕でした!」てな事はないでしょうけど。

どこまでが実話で、どこからが映画的な脚色なのかも不明です。

本人の口から語られる武勇伝ほど信用ならないものはないので、とりあえず話半分程度に信じておくのが良いかと。

派手さ無し・深さあり

『罪をかぶって服役していた男が~』的なあらすじ解説をしているところが多々あるため、ゴリゴリのクライムアクションを期待してしまいそうですが、本作にゴリゴリのアクションは無し。絵ヅラ的な派手さも一部のみ。

というかそもそも『他人の罪をかぶって服役』したわけではなく、単に『逮捕された時に共犯者の名を出さなかった』というだけですから。まったく、あらすじ書いている人はちゃんと映画見てるんかね。

『裏切り者』というタイトルにしても、単に寝返るだけの単純な『裏切り』ではなく、保身のための裏切りもあれば覚悟の裏切りもある。

裏切りたくないけど裏切る、裏切らなければダメだが裏切れない、裏切ったの?裏切ってないの?やっぱり裏切るんだね?…と、多種多様な裏切りのオンパレード。まさに裏切り百貨店。

重く骨太なストーリーで人間模様に焦点を当てた仕上がりですので、小難しいことが苦手で表面的な面白さを求めている人には向かん作品かもしれませんなぁ。逆に言えば、派手なだけで薄っぺらい犯罪モノでは満足できないようなガチ映画マニアにとっては、ヨダレが出るほど面白い作品だと思いますが。

つい変な期待をしてしまうタイトルとパッケージ、キャスティングのせいで、肩透かしを食らった鑑賞者からは低評価が増えてしまっていますが、これならタイトルは『The Yards』のまま『操車場』のほうが派手で薄っぺらい作品を好む人に勘違いされることも少なかったのでは?と思うのですが・・・どうでしょう。

超個人的な戯言感想

…というわけで、個人的には良い意味で予想外。実に面白い作品でございました。

マーク・ウォールバーグをよく知らない頃に観たかったなぁ…という想いもありますが、ある意味彼の演技の幅の広さも味わえましたし。

うつむきながらボソボソと喋り、暴言を吐かず、他人を攻めず、ムキにならないウォールバーグ。今ではなかなか見れない姿ですな。