サム・ライミ監督の『映画/スペル』でネタバレ戯言。2020年に同名作品がありますが、そっちではなくアリソン・ローマンがババァに絡まれた末に線路に引きずり込まれるほうになります。
笑いあり、グロあり、過剰な演出あり、まさにB級ホラーの王道とも言えるノリはさすが名監督。どうせなら原題の『Drag Me to Hell』を活かし、邦題は『私を地獄へ連れてって♪』でも良かったのではないかと。
スペル
2009年 アメリカ
キャスト:
アリソン・ローマン
ジャスティン・ロング
ローナ・レイヴァー
レジー・リー
デヴィッド・ペイマー
ディリープ・ラオ
ボヤナ・ノヴァコヴィッチ
監督:サム・ライミ
脚本:サム・ライミ、アイヴァン・ライミ
ネタバレ無しのあらすじ
融資担当として銀行に勤めるクリスティン(アリソン・ローマン)は、ある日、老婆からローン延長の申請を受ける。
しかし昇進がかかった大事な時期であったクリスティンは、老婆が困ることは承知の上で申請を却下することに。
すると老婆は跪いて泣き落とし。それを拒絶されれば今度は『恥をかかせたね!!』と逆恨み。挙句の果てにクリスティンに呪いをかけて去って行ってしまう。
さぁ困った、3日以内に呪いをどうにかしないと4日目には地獄に引きずり込まれてしまうぞ。
…とった流れで、スピ系に頼りながら吐いたり吐かれたりする物語。
キャストで戯言
主演はアリソン・ローマン。
少女時代は箱に入れて朝晩眺めたくなるほど可愛かったのですが、歳をとったらなんとも微妙な感じになってしまいましたなぁ。
『映画/ビッグ・フィッシュ』や『映画/マッチスティック・メン』の頃はそりゃもう素晴らしい輝きだったのに…。まぁ今でも十分可愛いほうに入るとは思いますけど。
彼女を最後まで信じ、支え続け、そして最後は鼻水垂らして泣き叫ぶハメになる恋人役はジャスティン・ロング。
少々情けないイケメン彼氏のイメージが強いですが、今回は彼女が信じるもののために10万ドルをポーンと払う男らしさも発揮。しかし最後はやはり・・・(泣)
…と、有名どころはここまで。
銀行の同僚ステュ役のレジー・リーも有名作品にちょいちょい顔を出しているアジア系。私は好きですが知っている人は少ないかも。
そしてさらにマニアックすぎる女優ですが、ボヤナ・ノヴァコビッチが出演していたというのは個人的に嬉しいサプライズでしたなぁ。
『映画/シークレット・パーティー』でキアヌ・リーヴスと共演したこともあるのですが・・・おそらく誰も知らんよね。
どこに出てた、って?老婆で対応した娘(孫?)らしき女性ですよ。
食事中は厳禁!
『銀行で働くクリスティンは、老婆のローン延長申請を冷たく拒絶したため呪いをかけられてしまった』
…という滑り出しから始まるこの映画。
いやいや、こりゃどう見ても老婆の逆恨みじゃないですか。対応としては妥当、むしろそこらへんの銀行員と比べりゃ丁寧なくらいでしょう。
しかしどこにでも『困った客』はいますし、人間相手の商売をやってりゃこういう事もよくあるのでしょうなぁ。とは言え呪いまでかけてくる客はごく稀でしょうけど。
それはさておき。
とにかくこの映画は序盤から
汚いったらありゃしない。
老婆の入れ歯がネチャネチャしたり、口からぶえーっと出してみたり、それを相手の口に入れてみたり、ブチューッとドロドロが漏れてみたり・・・潔癖な方であれば吐き気をもよおすような不快感。私も最初の入れ歯のくだりは「ウオェッ」となりましたわい。
執拗なまでに”口(くち)”にこだわった表現は監督の変態性を強く感じますなぁ。
食事しながら(もしくは食後すぐ)の鑑賞は要注意!
のホラーですので、「ウチで晩メシ喰いながら映画でも見ない?」などと女の子をを誘って流してはいけない作品ですぞ。
まぁ食事のお供にホラーをチョイスするような男はその時点で危ないので、そこは我慢してクソつまらんラブロマンスでも流しておくのが良いでしょうよ。
王道っちゃ王道
全体的にうまくまとまっているシナリオですし、俳優の演技も良い。
しかし前半に強めのジャンプスケアを多用してくるのだけはいただけませんなぁ。賛否両論あると思いますが、わたしゃ過剰なジャンプスケアは否定派ですので。
ジャンプスケアとは?
急に『バーン!!』とやって驚かせる手法(音響だけでなく映像を併用する場合も)。
上質なジャンプスケアは芸術…と評する方もいれば、動物でも驚くような手法は原始的で不愉快…と評する方も。
この『ジャンプスケア』と『汚すぎる』といった点だけ目をつぶれば、ホラーとしてはなかなか面白い作品なのではないかと。
本気なのかギャグなのか迷ってしまうような展開や、ブラックすぎて笑えないユーモア、とことんブッ飛んだ演出など、B級ホラーを突き詰めたような仕上がりは完成度高し。
締めもしっかりと王道の『一件落着・・・と思わせてのバッドエーンド!!』を炸裂させてくれるのもいいですな。ちょっとやりすぎ感はありますけど。
しかしこの”ボタンの取り違え”だけは少々残念。
序盤に彼氏が『コインを白い封筒に入れて封をする』というシーンがしっかり描かれてしまっているため、ボタンを封筒に入れた時点でもう「あー、こりゃあの時のコインと入れ替わるのかー」とバレバレすぎ。もうちょいボカしてくれていたら…と。
まぁそんなところもB級らしいと言えばらしいのですけど。
超個人的な戯言感想
わたしゃ潔癖症で他人との握手も気持ち悪い人ですので、老婆の口から出たものなんてとんでもない。虫は耐性があるので大丈夫ですが、とにかく終始「うえー」という思いで鑑賞させられた映画でございました。
しかし、困難の先には幸せが待っているもの。
終盤に拝める『土砂降りの中、Tシャツもズボンもぴったぴたになった泥まみれのアリソン・ローマン』には激しい興奮を覚えましたなぁ。完全フェチ向けの大サービスショットに、ハァハァしすぎて過呼吸になるとこでしたわい。
「少女時代は可愛かったのに年取って劣化した」とか思っていましたが、彼女はまだまだイケますな。