ローリングストーンズの主題歌が魅力的な『映画/悪魔を憐れむ歌』でネタバレ戯言。デンゼル・ワシントン主演のオカルト系サスペンスですな。
謎解き要素もあり、面白いっちゃー面白いのですが・・・・とにかくアレもコレも語りすぎ見せすぎ。実にもったいない。
悪魔を憐れむ歌
1998年 アメリカ
キャスト:
デンゼル・ワシントン
ジョン・グッドマン
ドナルド・サザーランド
イライアス・コティーズ
エンベス・デイヴィッツ
ジェームズ・ガンドルフィーニ
監督:グレゴリー・ホブリット
脚本:ニコラス・カザン
あらすじ
ジョン・ホブズ刑事(デンゼル・ワシントン)によって逮捕された連続殺人犯エドガー・リース(イライアス・コティーズ)は、死刑判決となり執行を待つ身となっていた。
収監中に彼と面会したホブズは、意味ありげな握手と共に謎の言葉を投げかけられる。
その後刑は滞りなく執行され、リースは絶命。しかし直後から彼の犯行を模倣した連続殺人事件が発生し、その容疑はホブズへと向いていくのだった。
・・・といった流れでローリング・ストーンズの『タイム・イズ・オン・マイ・サイド』を口ずさむ作品。
キャストで戯言
主演はデンゼル・ワシントン。
人種差別が根強く残る時代から従来の黒人キャラクターとは異なる人物像を巧みに表現し、数々の賞を受賞した名俳優ですな。どうでも良いですが前髪の生え際がまっすぐすぎません?この人。
彼の周囲にも映画通には名の知れた名俳優がごそっと配置。それにしても今見るとみんな若い!
上司役のドナルド・サザーランド(キーファー・サザーランドの親父)はほっそりとしてヒゲもなく、連続殺人犯リースを演じるイライアス・コティーズも若々しくて素敵。しかし頭髪はこの頃から怪しかったのね、この人。
「ピザは命の源。ピザがなきゃ俺の人生は無いも同然だ」の名言が良く似合う相棒ジョーンジー役のジョン・グッドマンは・・・・あれ?今とあまり変わらない気が。まぁデブは歳取らないと言いますからな。
ついでに51歳の若さでこの世を去ってしまったジェームズ・ガンドルフィーニも同僚として出演しております。
…と、女優も忘れずに。
ほぼほぼ紅一点のエンベス・デイヴィッツは『映画/シンドラーのリスト』はじめ、それなりに有名作にもちょろちょろ出演しているようですが・・・わたしゃよく知りません。
オカルト系クライムサスペンス
リースが残したクイズと謎の言葉、死者の胸に刻まれた数字と文字等、謎解き要素を匂わせてはいるものの、全体的にリアル感は希薄。
話のメインは
接触する事で他者に乗り移ることができる
という、アザゼルのオカルト的な怖さにあるわけですな。
↑
コレは怖くないアザゼル
しかしこの能力の説明や見せ方がこれまた残念で、
- 直接接触することで乗り移れるが、なぜかホブズには乗り移ることができない
(最後まで理由の説明は無し) - 宿主が死ぬと霊体となって次の対象を探す
(これを冒頭に映像表現で見せてしまうのもどうかと) - 霊体となっている間は500キュビト(約250m)程度しか生きられない
- 人間以外にも乗り移ることができる
という中で特に『人間以外にも乗り移ることができる』を早々に猫で披露してしまっており、最終的にホブズが命を懸けた作戦も「いやいや、山には小動物とかいるだろ」と茶番にしかならず。
さらに最後の最後で「無上の喜びは・・ホブズおまえになることだ」とか言い出すアザゼルには、
だったら死刑執行の時に入っとけよ!!
…と(笑)
設定は悪くないしストーリーも悪くない。しかしとにかくタネの見せ方や話の持っていき方が残念すぎる。序盤から入るナレーションも明らかに『信頼できない語り手』のパターンなのがバレバレ。しかも喋りすぎでイモ臭い。
冒頭のナレーションの『死にかけた時の話~』というセリフや、作中の乗り移りで『猫にも入れる』の演出はラストへの伏線のつもりなのでしょうが、これでは伏線というよりも単なるオチのネタばらし。
結果、最初から最後までずーっと先の先が読める話を見せられる残念な展開に…。
もったいない、実にもったいない。
せっかくデンゼル・ワシントンやジョン・グッドマン、冒頭のイライアス・コティーズなどが素晴らしい演技を披露し、物語の本筋は決してつまらなくはないのに、その見せ方があまりにもヘタクソすぎるんですもの。
ナレーションをベラベラと余計に入れる手法といい、なんでもかんでもバラさずにはいられないタイプの人なんですかねぇ・・この監督。時々いるよね、サプライズをサプライズにできない人とか。
主題歌とエンディングテーマ
オマケでお歌のお話。
本作の主題歌(劇中歌)であり、アザゼルに乗り移られた人間が口ずさんでいるのは『タイム・イズ・オン・マイ・サイド』という曲。
ローリングストーンズで知られていますが、実はそっちはカバー。元は別らしいですぞ。
(下の動画はローリングストーンズ版)
元は別とはいえ世間では『ローリングストーンズの曲』として認知されているため、エンディング曲もローリングストーンズ。
タイトルは『Sympathy For The Devil』で、訳は『悪魔を憐れむ歌』
そう、このエンディング曲のタイトルが邦題になっているわけですな。ちなみに映画の原題は『Fallen』で意味は『落ちた・落下した・倒れた・堕ちた』という意味合いだそうな。
超個人的な戯言感想
…というわけで。
名俳優が多数出演、話の本筋はそれほど悪くはなく、それなりに楽しむことはできた『映画/悪魔を憐れむ歌』
しかしオチが「・・・だろうね」となってしまうのは手痛く、そこまでの流れもそれを補って余りあるとは言い難い。鑑賞後に「面白かったー!」とまではなりませんでしたなぁ。
これが余計なネタばらし無しで展開していれば・・・と惜しい気分が残る作品でした。
さらに超個人的な希望を言えば、もうちょいイライアス・コティーズを見たかったなぁ、なんて・・・。