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メガネ魔法小僧、ダニエル・ラドクリフの頭に角が生える『映画/ホーンズ 容疑者と告白の角』での戯言。真犯人等のネタバレを含むので未鑑賞の方はご注意下さい。

ホーンズ 容疑者と告白の角


2013年 アメリカ・カナダ

キャスト:
ダニエル・ラドクリフ
ジュノー・テンプル
マックス・ミンゲラ
ジョー・アンダーソン
ケリ・ガーナー
ヘザー・グラハム
ジェームズ・レマー
キャスリーン・クインラン
デヴィッド・モース
サブリナ・カーペンター

監督:アレクサンドル・アジャ
脚本:キース・ブーニン

原作はジョー・ヒルの小説『Horns』

ネタバレ無しのあらすじ

最愛の恋人メリン(ジュノー・テンプル)殺害の容疑者とされ、怒りと絶望の日々を送るイグ(ダニエル・ラドクリフ)。ある朝気づくと彼の頭にはまるで悪魔のような角が生えていた。

突然の出来事に困惑するイグだったが、やがて角には対面した相手の本性を暴く力があると気づく。

人々の醜い本性に晒されながら、彼はこの『告白の角』を使って真犯人を突き止めようとするのだが…。

キャストで戯言

主演は元・メガネ魔法使いのダニエル・ラドクリフ

本作はハリーポッターシリーズ終了の翌々年公開の作品ですので、ポッターのイメージから脱却を図り始めた頃…というわけですな。

彼はこの後、『オナラで推進する死体』の役や『死んだはずの天才エンジニア』の役をこなし、見事メガネ小僧のイメージを払拭…したかどうかは定かではありませんが、とりあえず私の中ではハリー・ポッターのイメージは消えました。

そして恋人役に赤毛が可愛いジュノー・テンプル

バッキバキに派手なイメージではなく、庶民的なルックスで手が届きそうな美人…てな雰囲気が良いですな。まぁ現実的にはまるで届きませんけど。

メインのこの二人以外にも名の通った俳優は何人も出演していますが、個人的に最も気になったのはデヴィッド・モース。恋人メリンの父親役です。彼もずいぶん年を取りました。

この人を起用されるとそれだけで怪しく見えてしまうため、登場時に「父親が真犯人か!」と思った方も多いかと(笑)

ついでに…

ダイナーのウェイトレス役のヘザー・グレアム(グラハム)も出演作品が多く、好きな人は大好きなセクシー女優ですが、わたしゃ好みじゃないのでピクリとも反応しません。


ごちゃ混ぜファンタジー

さてさて…。そもそも「ある日、頭に角が生えた」という設定からして困惑モノですが、映画全体と通してみてもどこにツッコんで良いのかわからないような本作。

例えて言うならば…

友情と恋愛をファンタジーで煮込んで、悪魔と神話と混ぜてコメディにくるんで冷蔵庫で一晩寝かせ、悲しい恋の風味が出てきたら皿に乗せて窓の外にぶん投げた料理みたいな映画です。

舞台劇で『角が生えた男』と言えば『妻を寝取られた男』を指す表現であったり、『イグ』という名はクトゥルフ神話に出てくる『蛇神の名』であったり、深く考察すれば面白そうな要素は多々あるのですが・・・いかんせんカオス感が強すぎて細かい部分を掘り下げる気になれない。

出演者も無駄に体当たりな演技(唐突にハードな濡れ場シーン・パトカー内で男同士のキス・他)を連発してくるため、その勢いについていけるかどうかが本作を楽しめるかどうかの分かれ目かと。

ダメな人は早々に離脱したくなるような映画ですが、そこさえ乗り越えれば映画開始~90分間はそれなりに楽しめることでしょう。しかし最後の最後、ラスト30分でさらに置いてけぼりにするような展開をぶっこんでくるという…

ラスト30分のカオス

とりあえずツノの設定を受け入れ、変なコメディ要素を受け入れ、安いVFXを受け入れ、ダニエル・ラドクリフの胸毛も受け入れた末にたどり着く終盤の展開。

『ラスト30分、それまで敵対していた人物が手のひらを返したように味方になる』ってのはよくあるツッコミパターンですが、本作も気持ち悪いほどに周囲のキャラの性格が変化。特にメリンの父親に至っては「あんた病院行ったほうがいいよ」と言いたくなるほどのブレっぷり。

さらにメリンが最後に残していた手紙を発見してみれば、まさかのモールス符号という…(汗)

いやいや!モースル符号で書くには、あまりにも長くて複雑な内容だろ!?普通に文字で書けよ!!

…とツッコまざるを得ないじゃないですか。

そして最後の最後、なんとも都合よくメリン殺害現場に集まったイグ含む幼馴染の4人。唐突にファンタジー要素を爆発させ、もはやダニエル・ラドクリフなのか誰なのかわからないキャラになって大暴れを始めたかと思えば、真犯人のリーはこれでもかというほどのゲスっぷりを発揮。

なんともグダグダな最終決戦を繰り広げた末に、生き残ったのは兄テリーのみという…。これ、彼はこの後どう説明するのでしょう。

なにせ自分以外に現場に残されているのは

『頭をフッ飛ばされた警官の死体』
『国選弁護士の変死体』
『よくわからない炭化した人型(角あり)』ですからね。

「えーと、リーが真犯人で、エリックを殺して、実はイグは死んでなくて!それでイグが羽生えて、羽燃えて、悪魔になって、リーを蛇で殺して、自分も死んじゃったんです!この石だか炭だかわからない黒い物体がイグです!!」

などと供述したところで、この人はつい先日ドラッグの過剰摂取で病院に運び込まれたばかりの人間ですよ。

おまえ、また薬やったんか(怒)

…と責められるのが目に見えてるじゃないですか(笑)

超個人的な戯言感想

本作の監督は『映画/ハイテンション』や『映画/ヒルズ・ハブ・アイズ』で有名なヤベェやつ、アレクサンドル・アジャ。そして原作者のジョー・ヒルはあの超有名作家スティーヴン・キングの息子。

それだけ聞けば、そりゃもうヤバい作品が出来上がってしまいそうですが、意外に無難にまとまっていた『映画/ホーンズ 容疑者と告白の角』。エモい恋愛要素もなかなか悪くなかったです。

…が、個人的にどうしても納得できない部分が一点。

メリンがとった『相手の将来を考え、不幸にさせないために自分の事を嫌いになってもらう』という行動。これってあまりにも自己満足で身勝手な行為だと思いません?

その境遇が幸か不幸かは本人が決める事であって、例えパートナーであろうとも第三者にそれを決めつける権利はありません。自分の価値観はあくまで自分(と共感してくれる相手)だけの基準であって、全ての人間に押し付けるのは筋違い。

『悲しいのは今だけ。きっと私と一緒にいることを選んだよりも幸せになれる』なんて、何をわかったつもりになってるんだこの勘違い女は…ってなもんですよ。

…というわけで、『メリンは決して裏切っていなかった。イグを愛していたからこその行動だったんだ!』と感動する事はできず、『おまえのバカみたいな自己満足が招いた悲劇じゃないか!!』と、最後の最後でメリンに失望して終わったのが残念でなりません。可愛かったのに。

まぁ恋人や夫婦だけに限らず親子関係でも言える事ですが、『相手を愛している』からといって『自分の価値基準を強要する』に繋げちゃいけませんなぁ。