配信サイトのあらすじや予告編から「こんな感じの映画なんだろうな…」と予想したものの、実際に観てみたら「こんな映画だったのか!?」という作品は多々ありますが…。この『映画/シークレット・パーティ』もまさにそういった1本です。
キアヌ・リーブス主演というところで食いついた方も多いと思いますが、こちらの予想の斜め下をするーっとすり抜けていくような・・なんとも言えない味わいのある映画になっています。
シークレット・パーティー
(原題:Generation Um…)
2012年 アメリカ
主なキャスト:
キアヌ・リーブス
ボヤナ・ノヴァコビッチ
アデレイド・クレメンス
監督:マーク・L・マン
脚本:マーク・L・マン
ネタバレ無しのあらすじ
ニューヨーク。
二人のコールガール、ヴァイオレット(ボヤナ・ノヴァコビッチ)とミア(アデレイド・クレメンス)のドライバーを務めていたジョン(キアヌ・リーブス)は、ビデオカメラを盗んで街の撮影を始める。
さらなる被写体を求めヴァイオレットとミアの元を訪れたジョン。
始めは戸惑っていたものの、やがて二人は自分たちの過去や想いを語り始める…。
・・・といった内容の作品。
キャストで戯言
おそらくこの作品を選んだ理由が「キアヌ・リーブスが出ているから」という方は多いかと。もう不動の有名俳優ですからなぁ、いろんな意味で。
もちろん私もキアヌは知っていますし、彼の作品は何本か観ていますが・・・相変わらず変な趣味嗜好のためマトリックスもジョン・ウィックもシリーズ通して未鑑賞。内容すら知りません。
そんなわけで、この映画を選んだ大きな理由はボヤナ・ノヴァコビッチが出ているから。
わたしゃ『映画/ザ・ハロウ 浸食』で彼女の魅力にハマったのですが、本作品の彼女はかなりインパクトがありましたなぁ。こんなキャラも演じるとは…。
予想を裏切る作品
キアヌ・リーブス主演ですが、もちろんアクション映画ではありませんし、ヒーロー映画でもありません。
そして予告や設定などから想像するような官能的な作品でもありません。残念ながら露骨なエロはほぼ無し。
エンターテイメント性を楽しむような作品でもありませんし、さらに言えばストーリーを楽しむような映画でもありません。
ただただ、そこにある『リアル』を観る。そんな映画だったりするわけです。
それゆえ、よくある映画のつもりで選んでしまうと「意味がわからない」「つまらない」そういった感想になる方も多いかと。
私も最初は『キアヌ・リーブス+美女』という組み合わせから、もっとベタな感じのサスペンスかと思っていましたし。
とりあえず『見る人を選ぶ映画』の部類に入る作品と言えるでしょう。たぶん。
映画としては異質
もう序盤から『なんだこりゃ感』が漂うこの作品。
フィルムカメラのような映像で”なんでもない街の日常”がだらーっと描かれ続ける(実際にフィルムを使用しているのか、全てデジタル処理なのかは不明)。
黙々とカップケーキを食うキアヌ・リーブス。
なんかモヤモヤしているキアヌ・リーブス。
ビデオカメラを盗み、無駄に長い手足をぶんぶんさせて逃げるキアヌ・リーブス。
一見キアヌ・リーブスの無駄遣いに感じるような映像を、フィルムタッチでだらーっと流し続けるだけ。
一応映画としての起承転結はあるものの、その境は非常に曖昧で、最初から最後までほぼ一定のテンションで見続けるような構成となっております。
時系列が複雑に前後しますが、明確に『現在』と『回想』分けているわけでもない。
そもそも「ストーリーを追う」という行為すら、この映画にはそぐわないのでは、と。
散りばめられた断片を覗き、そこに何があるのかを感じるような・・・なんとも観念的な作品ですなぁ。
こりゃ出演している俳優も大変。
娯楽作品のようなわかりやすい演技ではなく、目や空気で表現するような高い演技力を求めらており、その点キアヌはかなり良いのではないかと。さすが、オフになると無駄太りしているだけありますなぁ。
余韻残るラスト
ホテルでの仕事を終えて車に戻り、帰路につく三人。そしてそのまま物語は終幕。
この最後の三人のシーンもほぼ会話らしい会話はありませんが、その空気から多くの事が伝わってくるような印象的なラストですなぁ。
なんとも絶妙な匙加減と言いますか。
ややもすると「虚しい」「やりきれない」といった感想で終わってしまいそうな作品なのですが、そういった後味の悪さギリギリのところで踏みとどまってくれているような。
その後、エンドクレジットと共に流れる『三人+従弟』の映像も素晴らしい。
鑑賞者には救いとなり、ジョンという人間への理解を深めることのできる映像。
この最後の彼の姿を見ると、本編中でビデオカメラに向かって何度も「俺は…」と詰まっていた先にあった言葉。
「俺は…魚の釣り方を知らない」
という彼の言葉が、とても胸に刺さってきますなぁ。
自分と向き合う
それまで代わり映えのしない生活にモヤモヤしたものを抱いていたジョンが、不意に手に入った『ビデオカメラ』という存在によって自分を改めて知り、自分と向き合う。
そして同様に二人の女性にとっても、自分と向き合う機会になる。
そこらへんがこの映画は実に秀逸。
しかし、だからといって「彼らは本当の自分と向き合い、新たな人生をスタートさせるのでした」といったベタな流れではないところも良い。
ほんの一時の事かもしれませんし、また今までと同じような日常が続くかもしれません。でもそれで良いのだと感じます。
この『映画/シークレット・パーティー』は決してエンターテイメント作品などではなく、リアルな人生を覗き見るような…不思議な感覚の映画でした。
超個人的な戯言感想
あらやだ、なんでしょう。今回はぜんぜんふざけた事を書いてないじゃないですか。
せっかくおっぱいも尻も出てくる映画なのに、それすら一言も触れないとはこれ如何に。
そのくらい、ふざけてはいけない雰囲気が漂う味わい深い映画だったんですなぁ。
しかし話に引き込まれる前までは、
おおっ!!ボヤナ・ノヴァコビッチがムチムチだっ!!こんな尻だったのかっ!?
と大興奮。もう終始たるんだ尻をぷるんぷるんさせてくれる彼女に釘付けですよ。ちょっとだらしないほうが尻はたまらん。
残念ながら生おっぱいはミア(アデレイド・クレメンス)のほうが担当してしまいましたが、私は極度の尻フェチなので十分満足でしたなぁ。
それにしてもこの映画、どこのジャンルに分ければ良いと思います?
ミステリー…ではないし、サスペンスでもない。私はヒューマンドラマだと思うのですが、そう表現するとちょっと違う気もしますし…うーむ、悩む1本ですな。