『パーティで女の子に話しかけるには』カオスな映画のネタバレ戯言解説

今日の1本は解説不能なカオス感が渦巻く『映画/パーティで女の子に話しかけるには』を。非常に魅力的なキャストで非常に困惑する展開を繰り広げてくる怪作品ですので、少々観る人を選ぶ感もありますが…不思議と心地よい疲労感が残る映画です。

こちらの感覚を打ち砕く異文化には思わず「デ…デカルチャー…」と漏れてしまう事請け合いですぞ。

パーティで女の子に話しかけるには


2017年 イギリス・アメリカ

主なキャスト:

エル・ファニング
アレックス・シャープ
ニコール・キッドマン
ルース・ウィルソン
マット・ルーカス

監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル、フィリッパ・ゴズレット

原作はニール・ゲイマンのSF短編小説集『壊れやすいもの』に収録。

公式サイト:『パーティで女の子に話しかけるには』

ネタバレ無しのあらすじ

1977年ロンドン。

パンクに夢中な少年エン(アレックス・シャープ)は、ちょっと冴えないルックスとイモ臭いキャラで女の子には縁がないものの…友人ヴィックとジョンと共に同人誌を製作しつつパンクロックを楽しんでいた。

とある夜、音楽に導かれて大きな空き家を訪れたエン達が目撃したのは、不思議な衣装を身にまとい不思議な動きで踊る謎の集団。

その中の一人、ザンという名の少女(エル・ファニング)と知り合ったエンは「パンクを見せて欲しい」という彼女を連れ屋敷を後にする。

果たして彼女たちは何者なのだろうか?

・・・・といった内容の作品。

キャストで戯言

本作の主人公エンを演じるアレックス・シャープはほぼ無名。出演作も少なく、私も全く知らぬ俳優だったのですが…なかなか良い表情をしますなぁ。

しかしやはりメインと言えるのは謎の少女ザン役、エル・ファニング。名子役として名を馳せ、今も女優として最前線で活躍するダコタ・ファニングの妹ですな。個人的には姉ちゃんよりも愛嬌がある顔なので好きです。

それ以外に知っている俳優は出てこない…と思いきや、いるじゃないですか。大物女優ニコール・キッドマンが。

まるで101匹わんちゃんの誰かみたいな風貌ではあるものの、最初にチラッと見えたシーンだけで「うおっ!ニコール・キッドマンがいたっ!」とひと目で気付けるのが彼女のスゴさでもあります。存在感ありすぎ。

しかしこの人、いったい何をやらされているのですかね。

全体的に謎多き作品ですが、ここにニコール・キッドマンを使う意味が最も謎です(笑)


ここからネタバレを含むよ!!

中盤の山場までは…

その演出がパンキッシュかどうかは置いといて、とりあえず特徴的な滑り出しで始まる本作。

序盤はそれなりに普通の「パンクロックに夢中な冴えない少年(と、それを取り巻く変な人々)」の流れで進むものの…一発目の衝撃は例の屋敷に到着してから。

全く予備知識無しで本作を鑑賞した人は、お目々パチパチの映像が飛び込んでくるわけですよ。なにこの前衛的すぎる輩共は!?なにその攻めすぎな衣装と動きは!?タケモトピアノ?タケモトピアノの人たちなの!?

この困惑シーンとちょっと何言ってるか分からない展開をどうにか乗り越える事ができれば、しばしの休息。

ザンのちょっとアレな言動も「不思議ちゃん」として可愛らしさすら感じる事ができ、一時の甘酸っぱくも心地良い青春ムービーを楽しむ事ができます。

彼女が何故か人気パンクバンド・ディスコーズのゲストボーカルとしてステージに上がることになり、そこでエンまで一緒になってパフォーマンスを繰り広げる流れは「…はい?」と思う部分があるものの、そこはパンクですから。細かい屁理屈をこねる事を拒否した人間達のドラマですので、気にせず受け入れましょう。

しかしこの本作最大の山場とも言える二人のステージこそが、観る者にとっても最大の山場。どうにかここまでついてきた鑑賞者を一気にふるいにかけるようなカオス映像は「意味わからんっ」となるのもやむ無し。

私も思いましたもの。「いったい何を見せられているのだろう…」と(笑)

二人のステージパフォーマンスが終わったならば、あとはもうよくわからない展開の押せ押せラッシュがそれはもう怒涛のごとく。

彼女たちが「どうやら宇宙人か何からしい」という事はわかるものの、もはや文化が違いすぎてその行動を理解することは不可能。

ザンを救えー!の流れで屋敷になだれこむあたりは本気なのかコメディなのか…とにかく両手を前に出してキャーキャー言いながら攻撃してくる青い人達がとても楽しそうな顔で演技しているのが印象的でした(笑)

ニコール・キッドマンも相変わらず何言ってるのかよく分かりません。

とりあえず地球人の感覚でしかモノが見れない私には、予想の斜め上どころかはるか上空を通過していく展開をただただ受け入れるしかありませぬ…。

そんな切ないのか切なくないのか分からないストーリーの果てに、ザンは地球を去ってしまいました。

残されたエンはその後作家として成長したらしく、ザンとの物語を書籍にして出版。そしてサイン会を開いていたところへ、パンクネームを持つ若者たちの一行が。そこには自分と同じ名を持つ少年も。

そう、彼らはザンの子供であり、すなわちエンの子供でもあったのです…。

・・・って、何このグッとくるラストはっ!

エンと名乗る少年だけがザンとエンとの間の子なのか、それとも全ての若者が二人の子なのかはわかりませんが、意味不明な展開で押すタケモトピアノ映画という感想で終わらせようと思っていたところに、こういう胸を打つ展開はやめてちょーだいっ。卑怯よっ。

しかしエン役のアレックス・シャープ、「若い小籔」みたいな見た目のクセに良い演技しますなぁ…。

超個人的な戯言感想

もはや宇宙の文化を身に着けた人でないと全てを理解できないであろう、この映画。

完全に

地球人の常識と感性で見てはダメな映画

です(笑)

なんというか…自分と激しく異なる価値観を持つ相手に対してもっと広い心で接しないといけないなぁ、と感じましたよ。

イギリスとアメリカの関係や政治的な要素などは入れず、もっとシンプルに作ってもよかったのでは…とも感じましたが、なにはともあれ個人的には「有り」の映画でした。

あまりにも困惑の映像が目白押しで、観ていて非常に疲れましたけど。。。