『遊星からの物体X』SFホラーのレジェンド映画でネタバレ戯言

今回はかなり古い作品を。SFホラー不朽の名作として名高い『遊星からの物体X』でネタバレ戯言になります。もはや「映画好きでこの作品を知らぬ者はいない」というレベルの超有名作。

気合の入った特殊効果、練り上げられたカメラワークと照明&音響、迫真の演技など評価すべき点は多々ありますが、「犬の演技がスゴい」という点もお忘れなく。いやホント、すごいお犬様ですよコイツは。

遊星からの物体X
(原題:The Thing)


1982年 アメリカ

キャスト:
カート・ラッセル
ウィルフォード・ブリムリー
キース・デヴィッド
ドナルド・モファット

監督:ジョン・カーペンター
脚本:ビル・ランカスター

ネタバレ無しのあらすじ

1982年、南極大陸。

ある日、一匹の犬を追うノルウェー観測隊のヘリがアメリカ南極観測隊・第四基地へとやってくる。

執拗に犬に攻撃を繰り返し錯乱したかのような様子のノルウェー隊員をアメリカ観測隊隊長のギャリー(ドナルド・モファット)は射殺。ノルウェー隊に何が起きたのか真相を突き止めるため、ヘリ操縦士のマクレレディ(カート・ラッセル)らはノルウェー基地へと向かった。

そこで彼が目にしたのは焼け落ちて荒廃した基地。自ら喉を切り裂いた死体、謎の氷塊、異形の焼死体など、理解に苦しむものばかりだった。

果たしてノルウェー基地に何が起きたのか…

・・・といった流れで始まるグロ強めのSFホラー。

CG無し!女っ気無し!

まずこの『映画/遊星からの物体X』を語る上で欠かせないのがクリチャーの表現はCG・VFXは無し。全てSFXによるものという、80年代初頭ならではの特徴。しかしこれが今見ても決してチープではない。

なんでもかんでもCGでポーン!VFXでドーン!が主流の昨今、たしかに非現実的な映像をまるで現実であるかのよう見せる映像は迫力満点なのですが、やはり「作り手の熱」という部分では味気ない気がするのも事実。コツコツと長い時間をかけて製作し、いかにしてリアルに見せるかを創意工夫する。そういった努力は自然と鑑賞者に伝わってくるもので、迫力あるCG映像とはまた違った感動を与えてくれます。

古き良き時代、この手のSF作品では「これを作るのにどれだけ手間がかかったのだろう…」「このシーンはどういう手法で撮影しているのだろう…」と思いを巡らすのも映画鑑賞時の楽しみの一つでした。

そして映画としては大きな特徴がもう1つ。

アメリカ観測基地には12名の隊員がいるものの、なんと全員男。全員オッサン。これがまたムサ苦しいったらありゃしない(笑)

続編(前日譚)である『映画/遊星からの物体X ファーストコンタクト』では女性隊員が2名いましたが、本作はリアル思考なのか別の理由か、開始~終了まで女性は影も形も無し。唯一の女性は冒頭にマクレディが使っているコンピューターチェスの音声のみという…。

これでイケメンだらけならば別の需要も見込めそうなものですが、残念ながらハゲだったりヒゲだったりが12名。まるで華やかさのカケラもない映像が延々繰り広げられます(笑)

ツッコミは有り!

本作はもはやSFホラー映画のレジェンドとも言える作品ですので、どこの評価を見ても褒め言葉だらけ。たしかに素晴らしい作品だと思いますし、後世の映画に与えた影響も大きかったことでしょう。文句の付け所がない名作との評価もよく耳にします。

こうなると右に習えで「素晴らしい」と褒め称え、否定的な意見を言う者に対しては「見る目がない」と見下すのが人間の悪いクセ。ピカソの絵に対して「下手クソ。パースが狂っている」と主張したところで、白い目で見られるだけでしょう。

しかしどんなに世界で認められた名作であっても、疑問を感じる人間にとってはそれは紛れもない事実。

…というわけで、この『遊星からの物体X』も「文句の付け所がない」は言いすぎだろう、と思うわけです。

そもそも未知の生命体のはずなのに、あっちでもこっちでも「物体」に関して詳しすぎません?

なにやらファミコンにも劣るようなコンピューターをポンポン叩けば『同化の確率は75%・社会に到達した場合、2万7千時間後には全世界が同化』って…いったいどんなデータをもとにどういう計算で!?

さらには…

「無数の惑星で無数の生物を同化してきた」
「同化には暗闇で標的との接近が必要」
「体液一滴でも同化は可能」
「血液も生きており、熱から逃げる」

…等々、「根拠は!?ソースは!?」と問い詰めたくなるほど自信満々に公開されていく「物体X」に関するウンチクの嵐。あんたら初めて出会う地球外生命体なのに、どんだけ精通してるのよ…。

遊星からの物体Xの回想

…というわけで、果たしていつ、どこから、なぜ地球にやってきたのか謎の「物体X」。

映画の中では化け物のように描かれていますが、この「物体X」を高度な知的生命体として、「物体X」自身の視点で書かれた短編小説が存在しています。

その名も『遊星からの物体Xの回想』

創元SF文庫より刊行されている短編集「巨星 ピーター・ワッツ傑作選」に収録されていますので、興味の有る方はぜひどうぞ。

私はいまいち興味が沸かなかったので読んでいません。

超個人的な戯言感想

ストーリー展開にはツッコミどころがあるものの、なにせ80年代、やたらと説明ゼリフがあったり都合良すぎる展開があるのが当然の時代ですから。そのあたりはご愛嬌、ということで。

公開から30年以上経過した今見ても、見劣りしない面白さを感じるというだけで十分脅威、まさに歴史に残る名作というところでしょう。

個人的にはメアリー・エリザベス・ウィンステッドが出演しているということもあって続編の映画/遊星からの物体X ファーストコンタクトのほうが好きですが、時代を考慮したうえで「映画作品」として勝負すれば82年版の圧勝かと。

ちなみに『遊星からの物体X』は1951年にもクリスチャン・ナイビー監督により映画化されていますが、さすがに古すぎるので私は鑑賞したことはありません。

なんとなく、あと10年後くらいに再びリメイクが出そうな予感がしますな…。