映画「ヒステリア」知られざるアレの誕生秘話

嘘のような実話を元にした「映画/ヒステリア」、皆様ご存じ「バイブレーター」が生まれるまでのお話です。

それだけ聞くと、うひょひょなスケベ爺ぃが若い女にアレコレ試しながら開発してそうな雰囲気がありますが・・・決してそうではない。「人を救いたい」という熱い思いから生まれた、感動のグッズなのですよ。アレは。

ヒステリア
(原題:Hysteria)


2011年 イギリス・ドイツ・フランス・ルクセンブルク合作

主なキャスト:

ヒュー・ダンシー
マギー・ギレンホール
ジョナサン・プライス
フェリシティ・ジョーンズ
ルパート・エヴェレット

監督:ターニャ・ウェクスラー
脚本:スティーヴン・ダイヤー、ジョナ・リサ・ダイヤー

ネタバレ無しのあらすじ

1890年、英国ヴィクトリア王朝の最盛期。巷では「ヒステリー」と呼ばれる女性特有の病気(と当時はされていた)が蔓延していた。

そんな中、医学に対して先進的な考え方を持つがゆえに職を転々としていた青年医師モーティマー(ヒュー・ダンシー)は、ヒステリー治療の第一人者と称されるダリンプル医師(ジョナサン・プライス)の元を訪れる。

ダリンプル医師は画期的な「マッサージ療法」と呼ばれる独自の医療行為によって女性を治療しており、美青年であるモーティマーが助手を務めることでクリニックはますます大盛況に。

しかし、連日あまりにも腕を酷使したために腱鞘炎になってしまったモーティマーは、治療ができなくなってしまい、役立たたずとしてクリニックをクビになってしまう・・・。

失意に沈むモーティマーだったが、親友であり裕福な発明家でもあるエドモント(ルパート・エヴァレット)の協力によって電動のマッサージ機を発明する。ついに世界初の「バイブレーター」の誕生である・・・・。

・・・と同時に、ダリンプルの長女シャーロット(マギー・ギレンホール)は女性解放運動を頑張ってましたよ。

・・・といった内容の作品。

調査ご協力のお願い

女性のみなさん、バイブレーターはお持ちですか?いやいや、誤解しないでください!

この映画でモーティマーが溢れる情熱と献身の心で発明した究極の医療器具が、いったいどの程度普及しているのか…彼の思いは現代社会に伝わっているのか…それを学術的な視点で考察したいだけです!本当です!さぁ教えてくださいっ!何本持ってますか!?週に何回使用していますか!?どんなふうに使ってますかっっ!!??

・・・・と、このくらいにしておかないと女性の方にドン引かれそうなのでやめておきます。もう遅いかもしれませんけど…。

そんな感じで…今では「バイブレーター」と言えば「秘密の器具」というのが一般的な常識。

しかしさっきの私の質問を、この映画の時代のイギリスでご婦人に投げかけたとしたら・・・現代ほど白い目で見られる事はないでしょう。なんといっても「医療器具」なのですから。

この「映画/ヒステリア」は、そんな「バイブレーター開発」にかけた熱い男の物語です。そして女性解放というテーマも重要なテーマとなっています。

ここからネタバレを含むよ!!

決して下品ではない

ダリンプル医師が用いる「マッサージ療法」とは・・・医師の「指」によって患者をマッサージすることによって快感を促し、絶頂によって一時的な解放感を与える事・・・となります。

えーと、下品な表現はちょっとためらわれますが・・つまりそういう事です。

困ったなぁ。下ネタ系でバカな事を言うのは大好きなんですが、「ノーマルなテーマを下ネタに例える」ってのが面白いのであって、テーマがすでにそっち系だとどうイジってよいのやら・・・。

とにかくそのような作業で1日に何十人も治療していたのですから、そりゃあ腱鞘炎にもなります。

まるで女性に縁のない男性であれば「腱鞘炎になるほどイジれるなんて羨ましいなぁ・・」などと思っちゃいそうですが、相手はモンスターみたいなご婦人ですよ?

治療中の婦人
© 2012 Sony Pictures Classics

しかし映画中でのこの「治療行為」、やってる事は女性のアレを指でイジッてるわけですが…決して見ていていやらしくない。かといって不自然でもない。とてもスマートでユーモラスに展開しています。

このへんは「さすが女性監督だなぁ」といった感じ。これを男が作っちゃうと、どうしてもゲスだったり味気なかったり・・・変に意識してしまいますから。

女性解放運動

そしてこの映画は「バイブレーター誕生秘話」だけというわけではなく「女性解放運動」も大きなテーマです。

まだ女性という存在が平等とは言えなかった時代。ヒステリーという病気にしても、ひどく乱暴で傲慢な括りで扱われていました。

たしかに女性は感情的になる事が多く、現代でも「ちょっとそれはどうなのよ」という行為が多々見受けられますが・・・それを「病気」とし、症状のひどい者は施設へ送り込み、「治療」という名の非人道的な行為を繰り返す。。。

そんな抑圧された女性を「医療」によって解放しようとしたモーティマー。そして「活動」することで解放しようとしたシャーロット。

その二人が最終的に惹かれあう。なかなか味わい深い物語です。

私個人としては、男勝りでクソ生意気なうえに、あんなブ・・・えーと、ファニーな顔立ちのシャーロット(マギー・ギレンホール)よりも、小っちゃくて可愛いエミリー(フェリシティ・ジョーンズ)のほうが5000倍良いだろう!と思うのですが・・・そこは好みですからね。蓼食う虫も好き好きと言いますし。

マギー・ギレンホール
© 2012 Sony Pictures Classics

そのマギー・ギレンホール、ドニーダーコで初めて見た時は「おお、可愛いっ」と思ったのですが・・・なんでこんな事になってしまったのでしょう。

「映画/バットマンシリーズ」ではレイチェル役のケイティ・ホームズから彼女に変更になった際に、さんざん「悲報」と言われたり「可愛くないほうのレイチェル」などと呼ばれたり・・・(悲)

男女平等

これを言うと女性から反感を買いそうなのですが・・・私は声高に「男女平等」を訴える女性に対して、不快感を持っています。彼女達がいう「男女平等」は、平等ではなく「女性優遇」。「男が偉そうにするな。女のほうが偉いんだ」では、平等でもなんでもない。

都合の良い時だけ「女だから」とするクセに、男から言われれば「セクハラ」呼ばわり。そんなやり方では主張を聞き入れてもらえないのも仕方がないと思うのです。

この映画でのシャーロットという役柄も、そんな「平等をはき違えた女性」のエゴで描かれてしまっていたら、ただの偉そうな勘違い女になってしまっていたでしょう。しかし、そうはなっていない。彼女も含め、この「映画/ヒステリア」に登場する女性達は誰もが輝いていました。

ターニャ・ウェクスラー監督の「女性解放」というテーマへの向き合い方が、とてもまっすぐで誠実なのでしょう。私は基本的にシャーロットのようなタイプの女性は好きではないのですが、ラストのシーンを見て「まぁこんな感じも悪くないかもな」と思えました。

監督
© 2012 Sony Pictures Classics

エンドロールはオマケ付き

ちなみにエンドロールで流れる「バイブレーターの歴史」もなかなか面白いですよ。

初期の頃はまるで「工業機械」のようで「おいおい、コレをアレにあてて使うの!?」と思いそうなイカツい外見です。

1970年代で「日立のマジックワンド」が登場し、「おお!これはっ!」と(笑)

こんな感じのヤツですね。同製品はもう販売されていないようなので、これは別メーカーのものです。

しかし・・・現在でもこの商品は肩などをマッサージするための「健康グッズ」なのですが、なぜか大人の道具に見えてしまうのは私の感覚がいやらしいからでしょうか。。。

なにはともあれ、単純に「現在はそっち系として有名なバイブレーターの起源」として見ても面白いですし「ヒステリーは病気とされていた」という事を知らなければ勉強にもなります。「女性解放」に関しても、男女問わず受け入れやすい描き方をされていると思います。

笑いあり、感動あり、実に面白い映画です。

ぜひ恋人同士やご夫婦でご覧になってみて下さい。お子様は・・ちょっと先に寝せておいたほうが良いかも。「これはどういうこと?」と質問されても返答に困る描写が多々ありますから(笑)