注!)当記事は『映画/インシディアス第2章』のあらすじ・ネタバレ・考察を含みます。未鑑賞の方はご注意下さい。
今回の1本は…評価の高いホラー作品『映画/インシディアス』の続編、『映画/インシディアス第2章』を引っ張り出してみました。
この手の映画の続編にしては珍しく、ストーリーもしっかり繋がった上で前作の謎を解き明かす表現は素晴らしいの一言。
ややもすると二匹目のドジョウ狙いでハズレになりがちなパターンですが、ここまでしっかりと作られているならば文句はないかな、と。
…だからって、最後のアレは…ちょっと…。
インシディアス第2章
2013年 アメリカ
主なキャスト:
パトリック・ウィルソン
ローズ・バーン
タイ・シンプキンス
バーバラ・ハーシー
リン・シェイ
リー・ワネル
アンガス・サンプソン
スティーヴ・コールター
ジョセリン・ドナヒュー
リンゼイ・セイム
トム・フィッツパトリック
監督:ジェームズ・ワン
脚本:リー・ワネル
ネタバレ無しのあらすじ
前作『インシディアス』にてどうにか危機を乗り切った…ように見えたランバート一家。
ジョシュ(パトリック・ウィルソン)にエリーズ(リン・シェイ)殺害の容疑がかかり、一家はジョシュの母ロレイン(バーバラ・ハーシー)の家へ身を寄せる事に。
しかし周囲に怪現象が発生。ルネ(ローズ・バーン)はジョシュの様子がおかしい事に気付く。
そこにはジョシュの封印された記憶が深く関わっており、さらなる恐怖が家族を襲うのだった…。
・・・といった内容だけれども、まずは前作を観なくちゃどうにもならない作品。
キャストで戯言
監督&脚本も続投ですしキャストも前作から続投。登場人物は前作+α程度、ほぼ同じメンツで話が進みます。
しかし本作のパトリック・ウィルソンは前作以上に気合が入っていて良かったです。彼は悪キャラのほうが魅力的な顔をしますな。
ローズ・バーンは…毛伸びすぎたよね。前作の映像が織り交ぜられると明らかに違和感が…(笑)
そして前作に出演していないご新規さんに注目してみますと…
回想シーンで登場する「若かりし頃のロレイン&エリーズ」の二人、違和感のないキャスティングでイイです。美人ですし。
とても美しい若ロレインはジョセリン・ドナヒュー。『映画/The House of the Devil』で主演を務めたり、他のホラー系にちょろっと出ていたりするようです。私は見た事ありませんけど。
若エリーズを演じるのはリンゼイ・セイム。こちらも知らない女優でしたが、声が婆エリーズにそっくりでびっくり。
ちなみに上のyoutube予告編映像で怖い顔をしている老婆…と思わせつつ実は老爺はトム・フィッツパトリック。彼はこの続編『映画/インシディアス序章』にも出演します。
ここからネタバレを含むよ!!
作品をまたぐ伏線
もはや「1と2はセットで1本」とまで言われている本作。
前作で理由付けされていなかった怪現象や演出などを、それはもう見事に『伏線』として回収していく手際は秀逸。まるで最初から本作の事を考えて作られていたかのようです。
私としては「後付けで上手に繋げた」という印象なのですが、「最初から想定して作られていた」と言われてもおかしくないほど自然な流れ。
前作が謎を多く残す形で終わっていたので、二作目ありきで製作されていた…と思っている方が多いようですが、アレはアレでそういう作りの映画としてしっかり完結していると思うんですけどね…。
前作『映画/インシディアス』が興行的成功を収めたことから続編が企画されたとの事ですので、やはり後付けだとは思うのですが…もしかしたら監督&脚本家としては意識していたのかもしれません。
そういった『前作~本作に繋がる伏線回収』もなかなか素晴らしいのですが、本作内での伏線回収も「おおおー」と声が出るものが多くありました。
個人的には『ピアノの怪現象でルネ(奥さん)が作った曲がヘッタクソに弾かれていたのは、ジョシュが弾いていたから』というのが最もアツかったです。
ハンター、ニンジャ、ベア?
物語の中で恐怖演出以上にインパクトがあるのが、エリーズ邸を探索するタッカーとスペックスが不意にぶち込んでくる『ハンター、ニンジャ、ベアッ』(笑)
こういうオタク臭いところが彼らの人気を高めているのでしょうねぇ。
『ハンターニンジャベア、とは?』
いわゆるジャンケンのようなモノで、「ハンター、ニンジャ、ベアッ!!」の掛け声と共に互いにポーズをとり合い勝敗を決めるもの。
ハンターはベアに勝ち、ベアはニンジャに勝ち、ニンジャはハンターに勝つ。
フェデックス・コーポレーションという会社のCMから流行り始めた…らしいです。
エリーズだと思っていた存在に導かれるまま、廃病院→クレイン邸と探索していくあたりがちょっとダルい気もしますが、彼らが面白いので許せます。ただPOV演出は不要だったんじゃないかなぁ…と。
アメリカでは『前作に比べ、緊張感・恐怖感・サプライズ感が足りない』と評する声が上がっているようですが、私はむしろインパクト重視の恐怖感で押す前作よりも、本作のほうが不気味な恐怖感を感じました。
三匹目のドジョウ
ちょっと微妙な部分はあれど、全体的に見れば実に面白い上質ホラーだと感じた本作。しかし一番最後のアレはもうホント勘弁していただきたかったです。
前作での「え?何があったの!?終わらないの!?」という幕の閉じ方はホラー映画ならば王道とも言える余韻の残し方ですので、あの終わらせ方で『完結!』でも全然良いと思うんです。むしろ好きな終わらせ方です。…まぁ日本人の感性には不向きな終わり方ですけど。
しかし本作の最後のアレは…うーむ。
タイトルクレジットのババーン!など前作を踏襲しているので、そういうノリでの終わらせ方だったのかもしれませんが、どうも「もう1本作ってやるぜ!」と三匹目のドジョウを狙ってる感が透けて見えて嫌でした。
案の定3作目も製作決定となるものの、パトリック・ウィルソンはさらなる続編に否定的。そのせいかどうかわかりませんが、ランバート一家は登場しない『映画/インシディアス序章』として1作目の前日譚が描かれる事となりました。
たしかに、次もジョシュたちが出てくる必要性が感じられませんもんね…。
美味しくいただきました
もともとパトリック・ウィルソン目当てで『映画/インシディアス』を鑑賞し、その流れで本作を観た者としては「果たしてパトリック・ウィルソンが出演していないのに、さらに続編を見る必要があるか?」と感じるとこではあるのですが…。
これも何かの縁と思い、この後続く『映画/インシディアス序章~最後の鍵』も鑑賞させていただきました。その記事は後ほど。
うーむ、最後くらいは戯言で締めたいのですが…何かあったかな…ああ、ありました!
ジョシュ(中身はパーカー・クレイン)から逃れ、車内でロレインと会話するルネが…
『昨夜、彼の目を見た。毎日見てきたけど、昨夜の目はまるで別人だった…』みたいな事を言うじゃないですか。まるで『目を見れば、本当の彼かそうでないかはわかる』といった感じで。
ところが最後の最後、あちらの世界から無事に戻り『僕だよ…』と告げるジョシュを見つめるルネは…
…めっちゃ怪訝な顔で見てるじゃん!!
目を見りゃわかるんじゃなかったのかよっ!それ、明らかに疑ってる顔だろうっ(笑)
子供達がぱぱー!ぱぱー!と抱き着いてもなお、疑いの眼でジョシュを見るルネにはちょっとツッコミたくなりました。
しかしココはアレだったんでしょうね「もしかしたらこれも本当のジョシュではないのでは…」とこちら側(鑑賞者側)にドキドキさせる演出の一つだったのでしょう。その後にピアノの件を出すあたりも上手いなと思います。
ホント、ここで終わらせてくれれば良かったんだけどなぁ…。