今回は『映画/LUCY ルーシー』でネタバレ&戯言解説。人気女優スカーレット・ヨハンソン主演の脳ミソ覚醒SFアクション映画になります。
人間は普段、脳の10%しか使っていない…といった話を耳にしたことはありませんか?
じゃあそれを20%使ったら何ができるの?もし100%フルに使ったらどうなっちゃうの?…そんな疑問を持った方も多いことでしょう。さぁさぁ、その答えはココにありますぞ。
LUCY/ルーシー
2014年 フランス
主なキャスト:
スカーレット・ヨハンソン
モーガン・フリーマン
チャン・ミンシク
アムール・ワケド
監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン
ネタバレ無しのあらすじ
台北でマフィアの闇取引に巻き込まれてしまったルーシー(スカーレット・ヨハンソン)は、腹部にCPH4という新型麻薬の入った袋を埋め込まれ、運び屋として国外へ出る事を強要される。
しかしあっという間に別のマフィア組織に監禁されてしまい、暴行(アダルトな意味ではなく)を受けたルーシーは腹部に入っている袋が破損。大量の麻薬が体内に漏れ、脳が覚醒してしまう。
どうして麻薬で脳が覚醒?とかは置いといて…とにかく普段10%しか使っていない脳を20%、30%と使えるようになっていくルーシー。
それはもうスゴい事ができるようになり、脳科学の権威であるノーマン博士(モーガン・フリーマン)もびっくりのルーシー無双状態。
このまま100%までいったらどうなっちゃうの!?
・・・といった内容の作品。
本当に人間は脳の10%しか使っていない?
あなたも私も、もれなく頭の中に入っているであろう『脳』
内臓ならば切腹して「おー、これが俺の腸かー」などと直接確認する事もできますが、脳だけは無理。せいぜいCTなどで「うん、入ってるっぽい」と感じるくらいです。
まだまだ医学的にも謎の多い『脳』ですが、本当に普段10%以下しか使っていないのでしょうか。
この説に対し、バリー・ベイヤーズテンという神経科学者は「それは嘘。ただの都市伝説」と完全否定したうえで、以下の7つをその証拠として提示しています。
注!)原文に忠実では小難しいので、ざっくり感でまとめています。
- 本当に10%しか使ってないなら、それ以外の部分が損傷しても問題ないはず。でも脳のどこか一部がやられただけでも何かしらの影響が出る。
- 脳をスキャンして観察すると、どこか一部が活発だったりはするものの、常に脳全体を使っている。
- 脳の活動はめっちゃエネルギーを使用する。そんな燃費の悪い器官が90%近くも使っていないのであれば、進化の過程でどうにかなっているはず。
- PETやMRIで観察すると、眠っている間でも脳の全ての部分になんらかの活動がある。完全に停止するのは深刻なダメージを受けた部位のみ。
- 脳は各部位ごとに機能が分かれているが、なんの機能も持たない部位は現在まで見つかっていない。
- 科学技術の進歩で単一の脳細胞の活動までモニターできるようになったのだから、使ってない部分があるならわかるはず。
- 使用されていない脳細胞は変性する傾向性があるので、90%も使っていないならば大人の脳は変性だらけになるはず
どうですか、ざっくり書いてもすごく面倒臭いでしょう_
しかしこの人の理屈、なんかおかしくありません?要するに彼は『人間はいつも脳全体を使ってるんだぞ』という事を言いたいようなのですが…。
私は世間でいうところの「人間の脳は10%以下しか使っていない説」のというのは、『脳の一部分(10%)の部位しか使っていない』ではなくて、『脳全体は使っているけど、10%程度の能力しか使っていない』という事だと思っていましたので、この理屈ではイマイチ腑に落ちないというか…。なにを言ってるんだこの人といった感が…。
ちょっと変な例えで言えば・・・車のエンジン性能を10%しか使っていない(フル回転させれば時速300kmで走れるけど、普段は30kmで走っている)というのと、エンジンの10%の部分しか使っていない、とは全く違うと思うんですよね。そりゃエンジンの90%を取り外してしまったら30kmどころか、ただの鉄くずですよ。
脳だけに限らずあらゆる事柄に関して思う事ですが、なんでもかんでも「はい、論破しました」とやりたがる人って、視野の狭い独りよがりにしか聞こえないんですよね…。
まぁ私は脳科学者でも神経科学者でもありませんので何を言っても戯言でしかありませんし、小難しい反論をされても屁しか返せません。
そう思う人はそれで良し。そう思わない人は思わなくても良し。それでいいんじゃないかと。
90分しかないんだ!急げっ!!
この『映画/LUCYルーシー』の上映時間は89分。オープニングとちょっと長めのエンドクレジットを除けば実質80分程度しかありません。
それゆえに展開の早いこと早いこと。余計な部分は気持ち良いくらい省いているうえに、それは必要じゃないか?と思う部分まで省かれています(笑)
なんでそうなったかを多くは語らない展開に加え、次々に現れる物分かりが良すぎるくらいに都合良く対応してくれる登場人物。しかしこれがテンポの良さにも繋がっており、ダレる事なく一気に終盤まで鑑賞する事ができました。なぜかカーアクションの部分だけはものすごく力が入っていますけど…。
脳、スゴい
『人間は脳の10%しか使っていないのか?』に関して医科学な方向の話を引っ張ってきたりしましたが、本作品はそんな現実的な話ではなく、思いっきりSF方向に振り切ったブッ飛び設定。
脳のリミッターを解除していくと、漫画みたいな超能力が発揮できる!!!
という、子供(と、一部の大人)には大喜びの展開です。科学も物理学もクソもありません。
俺もこんな能力を身に着けたい!!脳味噌リミッター解除したいっ!!と思った中二脳の方も多かった事でしょう。ええ、私も小学校の頃から授業中に念力で消しゴムを浮かせようと必死になっていたタイプですので、羨ましいったらありゃしない。
冷静で現実主義の方には『脳の力を開放すれば、果たして本当にこんな事ができるのか?』といった疑問を感じるでしょうが、それは野暮というものです。あくまでも空想だからこそ楽しいんですよ、SFは。
しかしそんな漫画チックな超能力展開もパーセンテージが上がっていくにつれてなにやら雲行きが怪しくなり…ノーマン博士のもと、さらに大量のCPH4を摂取したルーシーは口から拡散メガ粒子砲を放って70%。そこからは「ん?んんん??」の流れに。
これでもかとVFXを駆使して繰り広げられる、もはや何を表現しているのか説明するのも大変な方向に飛び立っていった末に…ルーシーはやたらデカいUSBメモリを残していきます(笑)え?USB!?
攻殻機動隊っぽい?
最終的にルーシーは肉体という概念を捨て、情報生命体となった…と解釈しても良いのでしょうか。
このあたりも含めてストーリーが『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』を彷彿とさせる…という意見が多かったようですが、脚本&監督であるリュック・ベッソンも『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は好きな作品であり、無意識に影響を受けた可能性があるとコメントしています。
ところがまさか本作から3年後、ハリウッドで攻殻機動隊が実写化され、スカーレット・ヨハンソンが主演を務める事となるとは…。
しかし残念なことにこの『映画/ゴースト・イン・ザ・シェル』のスカーレット・ヨハンソンは本作よりもかなりムッチムチの体型になってしまっており、スタイリッシュさに欠けるんですよね…。
この『LUCY/ルーシー』の頃の体型であれば魅力的だったのではと思ったりもしますが、そもそも内容もキャストもちょっとアレな実写化でしたし、ヨハンソンが痩せたくらいではどうにもならないような気もします(笑)
なにはともあれこの『映画/LUCY ルーシー』、最後のなんだこりゃ展開を除けばテンポも良く面白い映画でした。
コレはあまり深い事を考えずに見たほうが良い作品ですな。
誰か私の腹にもCPH4を埋め込んでくれませんかねぇ…。