クリスチャン・ベールの激痩せっぷりに注目が集まった『映画/マシニスト』ですが、鑑賞してみると内容もまた特徴的と言いますか…言葉で表現するのが難しいと言いますか…。
マシニスト
2004年 アメリカ・スペイン
主なキャスト:
クリスチャン・ベール
ジェニファー・ジェイソン・リー
アイタナ・サンチェス=ギヨン
ジョン・シャリアン
マイケル・アイアンサイド
監督:ブラッド・アンダーソン
脚本:スコット・ソーサー
ネタバレ無しのあらすじ
機械工のトレバー(クリスチャン・ベール)は約1年間も不眠に悩まされ、まるで骸骨のように痩せ細った身体をしていた。
真面目に仕事に勤しむ傍ら、なじみの娼婦であるスティービー(ジェニファー・ジェイソン・リー)のもとへと通い、いつもの空港のカフェでウェイトレスのマリア(アイタナ・サンチェス・ギヨン)と僅かな言葉を交わす。
そんな代り映えのない日々を送っていたトレバーだったが、彼の前にアイバン(ジョン・シャリアン)と名乗る男が現れてから人生が急変。不可解な存在であるアイバンに気をとられたトレバーは、同僚のミラー(マイケル・アイアンサイド)に大怪我を負わせる事故を起こしてしまう。
そして自宅の冷蔵庫には身に覚えのないハングマン・ゲームのメモが貼り付けられていた。
彼の周囲に時折現れては生活をかき乱していくアイバン。しかし工場の誰もが「アイバンなんて男はいない」と口を揃える。それと同時に少しづつ進んでいくハングマン・ゲームのメモ。
誰かが自分を陥れようとしていると思い込んだトレバーは、徐々に精神を蝕まれていくのだった…。
・・・・といった内容の作品。
キャストで戯言
役作りのために約4ヵ月の間で30kg近く体重を落としたクリスチャン・ベール。1日にリンゴとツナ缶を1個づつしか摂取しない、という方法で痩せたらしいです(情報元によってちょっと違いあり)。
私も昔から体重の増減が激しい人で、1ヵ月で10kg落とす程度は楽々。去年あたりに3ヵ月で25kg落としたのですが…なぜでしょう。彼のようにガリッガリにはなれませんでした。おかしいなぁ…決して元がデブってるわけじゃないんだけどなぁ…。
クリスチャン・ベール本人はさらに10kg落とすつもりだったそうですが、周囲の反対で断念したとの事。
そしてこのマシニストの撮影終了後、彼は『映画/バットマン・ビギンズ』のために体重を戻さなければならなかったそうです。どうりでビギンズを観たときに「あれれ、クリスチャン・ベールってこんなに痩せてたっけ?どこか身体悪い?」と思ったはずです。まさかこんな理由があったなんて当時は知りませんでした。
そういえば松田優作も役作りのために奥歯を抜いたりしたらしいですが、役者根性ってスゴいですなー。
…さて、クリスチャン・ベール以外は超有名俳優!と呼べるような方は出演していませんが、なかなかマニアックなキャスティングではあります。
腕が大変な事になってしまうミラーはマイケル・アイアンサイド。『映画/トップガン』や『映画/トータル・リコール』(シュワルツェネッガー主演の元祖のほう)、『映画/ターミネーター4』などにも出演している玄人好みのオッサンです。
クリスチャン・ベールが通い詰める娼婦、スティービー役はジェニファー・ジェイソン・リー。すごく美人!というわけでもありませんし、ナイスバディ!というわけでもないのですが、なんかこう…手の届くエロさと言いますか、へんにリアリティのあるセクシーさがあります。
なんか名前聞いたことあるなぁ…と思ったら、『映画/ルームメイト』のヘドラだったんですね、彼女。
ハングマン・ゲームとは?
作品中でトレバーが発見する身に覚えのないメモ。
なにやらヘンな図形のようなものの下に、アンダーラインがいくつか引いてあります。
これは『ハングマン・ゲーム』と呼ばれる遊びで、あちらでは大人から子供まで知らない人はいないメジャーな遊びとのこと。しかし日本人には全く馴染みがありませんので、ただの「謎の暗号のメモ」にしか見えません。
ここで『え?なんで冷蔵庫にハングマン・ゲーム?下に入る単語は何?』と思えるかどうかで、ちょっと印象が変わってくると思います。私ですか?もちろん初見時は全く知りませんでした(笑)
みんなもやってみよう!
『ハング・マンゲーム』
- 「出題者」と「回答者」に分かれる
- 「出題者」は任意の単語を考え、その文字数分のアンダーラインを引く。その上に絞首台を描く
- 「回答者」は文字数から単語を推測し、含まれていると思うアルファベット1文字を宣言する
- 「出題者」はその文字が単語に含まれている場合、アンダーラインの該当する場所に書き入れる(同一のアルファベットが複数含まれている場合は全て書き入れる)
含まれていなかった場合、絞首台に吊るされる人を一画描き足す - これを繰り返し、単語が全て明らかになれば「回答者」の勝ち。吊るされる人が完成すれば「出題者」の勝ち
ここからネタバレを含むよ!!
現実と非現実が交じり合う
なにやら『難解』と言われたりもする本作ですが、難解…とは少々ニュアンスが違うような気も。
決して難しすぎたり説明不足だったりするわけではなく、伏線もしっかり回収してくれますし、最後まで鑑賞すれば謎が残る部分もほぼありません。
ただ、深く掘り下げようと思えばどんどん掘れそうな要素を織り込んでいる…というところが『難解』と言われてしまう理由にもなっているのでしょうか…。
終始『現実』と『幻覚(妄想・想像)』が交じり合った形で物語が展開されるので、もしかしたら苦手な方にはその境目がわかりづらいのかもしれません。
ざっくりフロー
この作品で重要なキーワードとなる『罪と罰』
有名な文豪ドストエフスキーの代表作タイトルでもある事は皆様もご存じのはず。そして作品中でトレバーが『白痴』を読むシーンもあります。(白痴もドストエフスキーの小説)
ドストエフスキーを持ってこられると嫌でも小難しい話になってしまいますし、各個人の思想や価値観の話に踏み込まなければならないので、面倒臭いし小難しいし反論は喰らうしで良い事がありません。
とりあえずドストエフスキーは置いておきましょう。置いといたうえで、ざっくりと事の顛末を言ってしまえば…
トレバーは過去に子供を轢き逃げ。その罪悪感で不眠に。
そして不眠が続いて精神がヤバい事になった。
という話です。
本当はざっくりではなく、ものすごく長文で伏線とその意味、回収個所について書き綴ってみたのですが・・・あまりにもわけがわからない事になってしまったので全部消しました。
シガーライガー、車のナンバーの逆読み、トレバーの名字と名前の順番、遊園地、それら全ての考察が右クリック&削除で簡単に消滅です。私の1時間半が無駄になりました。。。
考察は断念
本気で『映画/マシニスト』の考察とネタバレを読みたかった方、申し訳ありません。非常に考察しがいのある作品なので私も本気で書いてみたのですが…もはや戯言の域を超えてしまいましたので、今回は『ハングドマン・ゲーム』とはなんぞや?くらいでご勘弁下さい。
現実世界と精神世界が同時に展開していく映画は数多くありますが、本作はその境目をぼかすことで不思議な空気を出している作品です。
合計4回鑑賞しましたが、見るたびに新たな発見がありました。とても細かい部分まで小ネタを入れてきているんですよね、この作品は。
万人にオススメできる作品ではありませんし、酷評が多いのも承知しておりますが…嫌いではありませんでした。
ところで…
私も経験ありますが、眠らないというだけでホント驚くくらい痩せるんですよね、人間って。。。。