今回は『最高の鬱映画』『胸糞の極み作品』等々、良い意味でも悪い意味でも鑑賞者に『何か』を残す有名作品、『映画/ミスト』です。
公開直後に鑑賞し、そのあまりのインパクトに大絶賛していたのですが…10年以上経って改めて鑑賞してみると・・・いやぁ、いろいろとエグいなぁ(笑)
しかし私の人生に大きな影響を与えた1本です。
こんなもんに影響されているから、人と相容れない変人になっちゃったんですよね…たぶん。
ミスト
(原題:THE MIST)
2007年 アメリカ
主なキャスト:
トーマス・ジェーン
ローリー・ホールデン
ネイサン・ギャンブル
トビー・ジョーンズ
マーシャ・ゲイ・ハーデン
ウィリアム・サドラー
アンドレ・ブラウアー
ジェフリー・デマン
フランシス・スターンハーゲン
アレクサ・ダヴァロス
サム・ウィットワー
監督:フランク・ダラボン
脚本:フランク・ダラボン
原作はスティーヴン・キングの中編小説『霧』
ネタバレ無しのあらすじ
田舎町の湖畔で家族と暮らすデヴィッド(トーマス・ジェーン)は、激しい嵐の翌日に湖に深い霧がかかっているのを発見する。
息子(ネイサン・ギャンブル)を連れてスーパーマーケットを訪れたデヴィッドだが、嵐の影響で冷蔵庫以外は停電しており、店内は多くの人が集まっていた。
人ごみの中、買い物を続けるデヴィッド達だが…やがて店の前をパトカーや消防車が何台も走り去り、サイレンが鳴り響く。
そこへ血を流しながら走ってくる初老の男性。
彼は人々に『霧の中に何かがいる!』と告げるのだった…。
・・・といった内容の作品。
キャストで戯言
さすがに10年以上前の映画という事や、出演者に若者が少ないという事から…今をときめく超有名俳優は出演していません。
…が、ちょっと年季の入った映画好きにはたまらない、シブい名俳優でガッチガチに固めてあるのが本作の魅力。
主演のトーマス・ジェーンは『映画/ドリーム・キャッチャー』でもスティーヴン・キング原作の映画に出演しており、そこでは『拳銃で電話する』という強烈なインパクトを披露してくれました(笑)
その横にトビー・ジョーンズがいるだけで安心感がありますし、ウィリアム・サドラー、ジェフリー・デマンなど、名脇役のオッサンがよりどりみどり。
残念ながら女性陣はちょっと弱い気がしますが、キッチーなおばちゃん役のマーシャ・ゲイ・ハーデンはアカデミー賞女優の貫禄を見せつけてくれます。
今回は具体的な内容には触れないので、ネタバレはないよ!!
衝撃のラスト
とにかくこの映画を語る上で避けて通れないのが、そのあまりにも衝撃的な結末。
このラストはスティーヴン・キングの小説『霧』とは異なっており、監督・脚本を務めたフランク・ダラボンの手によるもの。
しかしこの結末を聞いたスティーヴン・キングは…
『この結末は衝撃だ。非常に恐ろしい。しかしホラー映画を見に行く人々が、必ずしもポリアンナ・エンディングを望んでいるわけではない』
とコメントして絶賛しています。一説によると「こっちの終わり方のほうが良かった…かも」的な事も漏らしたそうな。
ポリアンナ・エンディングとは?
『ポリアンナエンディング』とはいわゆるハッピーエンドのこと。
「イロイロあったけど…私たち幸せになりました!」「やっぱり最後は正義が勝ちました!」のような、ノーマルさんが好む気分スッキリの終わり方です。
その語源は小説『少女ポリアンナ』から。日本でも『愛少女ポリアンナ物語』としてアニメ化されている、あの女の子の名前からきています。
私が初めてこの映画を見た時、この結末があまりにも心を打ちすぎたために、だれかれ構わずこの映画を薦めまくってしまい・・・
「かなり鬱な気分になった。こういうのをオススメするのはもう勘弁して」
と言われてしまいました(笑)
実家の家族にまで薦めてしまったために、水戸黄門などのベッタベタな勧善懲悪モノが大好きな父は…
「この映画を作ったやつは精神異常だっ!」
と憤慨する始末。
やはりノーマルさんにはちょっと厳しい結末のようです。素晴らしいと思うんだけどなぁ…。
鬼才スティーヴン・キング
スティーヴン・キングの作品はとにかく『人の業』、さらに先の『人類の業』といったところに踏み込むものがチョイチョイあり、この『映画/ミスト』もそういった部分を多く感じます。
キッチーなおばちゃんが喚きたてる言葉は、まさにそのまま『人類の罪』に対するものですし、デヴィッド達グループが倉庫で話し合う際に出てくる『性善説』も、そういった部分に繋がってくる要素です。ちなみに私は『性悪説』支持者です。
とにかく、深く考察していったらキリがないくらい重苦しいテーマが随所に盛り込まれています。
…彼の作品って、基本カオスですよね。1つのジャンルに留まらず、必ず何かしらの「この作品にその要素を入れる!?」っていうものをぶっ込んでくるというか…。
まずは観よう!そしてモヤモヤしよう!
もしまだこの『映画/ミスト』を未鑑賞だという方がいたら、まずは観てください。
・・・と言いたいところなのですが、ベッタベタなハッピーエンド作品が好きなノーマルさんにはオススメしません(笑)
物事を一方向からだけではなく、人が見て見ぬふりをするような側面も受け入れられる方、そういう物の見方を心掛けている方には…強烈オススメの映画です。
心をちょぴっと病んでいる方にもオススメですよ(笑)
ちなみに数多い登場人物の中、唯一の癒しともいえる『若い美人』は比較的早めにドロップアウトしますので・・・
「ホラーにお色気は欠かせないだろっ!!」
…とか公言してしまうような変態野郎は、大人しくB級ホラー映画でも探したほうが幸せになれますよ(笑)