『ドリームキャッチャー』命懸けだからこそ、つまようじ!ネタバレ戯言

注!)当記事は『映画/ドリームキャッチャー』のあらすじ・ネタバレ・感想を含みます。未鑑賞の方はご注意下さい。

大御所スティーヴン・キング原作という事で知名度も高い「映画/ドリームキャッチャー」、しかしそれと同時に本作は「キテレツ映画」としても非常に有名。初見の方の大半は「え?そういう映画!?」と鑑賞中に何度も感じることでしょう。

ホラー&超能力&友情&宇宙人(+α)という全部乗せラーメンのような映画に世間での評価も真っ二つ。「ひどいB級作品」と評される事も多いですが、熱烈なファンも多く存在しています。

ドリームキャッチャー
(原題:Dream Catcher)

2003年 アメリカ

主なキャスト:

トーマス・ジェーン
ダミアン・ルイス
ティモシー・オリファント
ジェイソン・リー
ドニー・ウォールバーグ
モーガン・フリーマン
トム・サイズモア

監督:ローレンス・カスダン
脚本:ウィリアム・ゴールドマン、ローレンス・カスダン

原作はスティーヴン・キングの同名小説

ネタバレ無しのあらすじ

少年時代に知的障害のある少年、通称ダディッツ(ドニー・ウォールバーグ)を助けた事から、不思議な能力を持つようになった4人の男達。

その20年後、毎年恒例になっている山小屋で過ごす彼らだが、徐々に異様な空気に包まれていく・・・。

何が異様なの?あらすじこれだけ?と言われても、もうどこまでを「あらすじ」として良いのか・・・それすらも悩むような展開に、見ている側も困惑。書いている私も困惑。

・・・といった内容の作品。

まずはネタバレとまではいかない、作中での大事な予備知識を紹介するよ!!

知って得する予備知識

2003年公開と古い作品ですが、とりあえず作品中に登場する「これを知っていると、ちょっとお得」といったキーワードをネタバレない程度にご紹介しておきます。

スクービィー・ドゥー

スクービー・ドゥ

あちらでは一般常識レベルにメジャーですが、日本ではほぼほぼ無名に近い1969年制作のアメリカ長寿アニメ作品。「弱虫クルッパー」というタイトルでテレビ放送もされていましたが、やはり知っている人はごく僅か。

弱虫犬のスクービィー・ドゥーが、飼い主を含む4人組と行動しつつミステリー事件を解決していく…といったストーリーになっており、この「スクービィー・ドゥーと4人の少年少女」が、「ダディッツと4人の仲間」に係っているんですね。

「スクービィー・ドゥー、お仕事だよ」というアニメの中で使用されているセリフを用いて、ダディッツが自分を奮い立たせようとしている姿は号泣モンですな。

SSDD

作品中に何度も使われる「SSDD」は「Same Shit Different Day」の略。直訳すると「日は違っても同じクソ」。

意訳すると「いつもと変わらずクソみたいな毎日」といったニュアンスでしょうか。

それ以外に「No Bounce, No Play」という単語も何度か出てきます。

初めてダディッツに出会った日に壁に書かれていた言葉でもあり、「ボール遊び禁止」転じて「ここで遊ぶな」といった意味なのですが、「どうしようもない」というニュアンスのスラングとして使用されるセリフです。

ブルー・バイユー

ロイ・オービンソンの1963年のヒット曲「Blue Bayou」は、故郷のブルーバイユー(アメリカ南部、ミシシッピー川の入り江付近の呼び名)に恋人を残してきた人間の郷愁を歌った名曲。

故郷から離れて貧しい暮らしを続けながら、いつか帰る日を願う。そんな詩がこの作品中でも「現状の貧しさ」と「満たされていない日々の中、心のどこかであの日に帰りたいと願う・・」といった願望を表現しているのかもしれません。

ちなみにディズニーランドのアドベンチャーランド内にも「ブルーバイユー・レストラン」という飲食施設がありますが、あっちはメシ食ってる最中に「アトラクション・カリブの海賊」の船が通っていったりと・・・郷愁もクソもない雰囲気です。


ここからはネタバレを含むよ!!

心のフロー

私は本作の第ファンですので、もう合計で何回鑑賞したことか…。

しかしもちろん初見時は手探り状態。事前に知っていた事といえば『作品タイトル』『ティモシー・オリファントが出演している』という事だけ。スティーヴン・キングが原作という事すら知らない状態での鑑賞です。

…となるとやはり、鑑賞中に数回「そっち!?」となるんですよね…。

序盤~
なるほど。「人とは違う力を持っているが故の葛藤」などを描く、SFチックなドラマですか・・・
山小屋~
4人・・友情・・・なるほど!「大人版スタンド・バイ・ミー」か!
不思議な登場人物(ダディッツ)と、不思議な力。ファンタジー系の友情ドラマですか・・・
オナラおじさん~
ん?まさかのクリーチャーホラー系!?
そっち系の映画だったの!?
ジョーンジーがヤバい
え?宇宙人?・・・もう何が何やら・・・
モーガン・フリーマン大暴れ
(このあたりから考える事をやめ、流れに身を任せて鑑賞・・・)
~ラスト
ダディッツのお母さんが彼を見送る姿に号泣しすぎて、その後の展開がぜんぜん入ってこない。
頭に焼き付いているのは「拳銃で電話(ものすごい真剣なノリで)」「モーガン・フリーマンのガチすぎる迫力」

・・・・こんな流れで。

とにかく振り回されっぱなしの約140分でしたが、不思議と「なんじゃこりゃ感」はありませんでした。

つまようじ

つまようじ

中盤、トイレでビーヴァーが楊枝を散らばしてしまい、ひたすらそれを取ろうとするシーンがあるのですが・・・

ここ、意外に「なんであんなに必死に取ろうとするのかわからない」という方が多く、果ては「なんでトイレにつまようじが?」という感想まであったので…いちおう補足しておきます。

あれはビーヴァーが持ち歩いているもので、彼の「精神安定剤」のようなもの。ヘビースモーカーのタバコのようなもの。くわえる事で心が落ち着くアイテムです。

ちょっと病的なクセですが似たような事ってありますよね。子供の頃から使っているタオルケットに触っていないと眠れない・・・とか、そういう系ですな。

そんなクセを理解できない人からすると「なんであの場面で、命がけでつまようじ拾うのよっ!!」と感じるかもしれませんが、むしろ命がかかっている大事な場面だからこそ、つまようじが必要なんです。

原作小説でビーヴァーは母親に「あんたはいつか爪楊枝に殺されるよ」と言われていましたが、まさにその通りになったというわけですな。

ダディッツ

知的障害者(私は「害」という漢字を排除しようとする運動には否定的です)に対しての感覚は人それぞれだと思いますが・・・私は物心ついた時から重い障害を持つ姉と共に暮らしてきたので、偏見はもちろん特別だという意識もありません。そういう個性のある人…といった感じです。

耳がデカい人、人の話を聞かない人、喋り方が気持ち悪い人、そういった「人それぞれの特徴の1つ」だと思っています。

むしろ腫れ物を触るように扱い、なにかにつけてすぐに「障害者差別だっ!」と騒ぐほうがむしろ差別でしょう。

そんな私としては、少年時代の彼らがダディッツを守ろうとする姿は号泣ですよ。ありきたりな綺麗ごとのようですが、ダディッツを普通に「そういう友達」として受入れてくれているのが非常に嬉しく、最後までその姿勢が変わらない事が心地よかったです。

上記フローでも書きましたが、ダディッツの母の姿も感情移入してしまって…もう号泣なんてもんじゃない。本当に彼の事を想い、愛しているんだな・・と。

・・・で、母さんはどっちなんでしょう。宇宙人?人間?

いや、宇宙人はジョーンジーの時のように「中に入って乗っ取る」という事で、人間の姿がで行動するのだから・・・ダディッツもそうなのでしょう。・・とすると母さんは普通に人間ですか。

ちなみにスティーヴン・キングの原作小説では、ダディッツは変身しません(笑)

カーティス大佐

ここ、モーガン・フリーマンを使う必要ありましたかね?ちょっとインパクトがありすぎて、せっかくの不思議感をブチ壊している気もするのですが・・・。

個人的には、こういった独特な空気を持つ映画には「あまりにもメジャーで個性が強い俳優」は使って欲しくないなぁ・・・と。

どうも異物感が漂うんですよね。

しかも彼にしては珍しいキレッキレの暴れっぷりですし。単純に「悪役」と括るのは違うと私は思いますが、それでも頭はちょっとイッているご様子。

適当に流し見ているとさほど気になりませんでしたが、ラストに彼がヘリで追いかけていくのは「隔離エリア内から出た異星人を排除するめ」ではなく「自分を欺いた部下を殺すため」なんですよね…(笑)

俳優が素晴らしい

やはり何度観ても感じるのは「俳優陣の名演(一部怪演)が素晴らしいなぁ・・」です。

ジョーンジー(ダミアン・ルイス)は・・・首くるくるっからの、あの表情。そして宇宙人が入っている時のあの表情。とにかく表情。ヤバいです。

ヘンリー(トーマス・ジェーン)は『映画/ミスト』でもスティーヴン・キング作品に出演しています。この作品も衝撃的な内容ですが、しっかり深みのある演技と表情を披露してくれました。そんな彼の最高の見せ場はやっぱり「拳銃で電話」でしょう。こちらが心配になってくるくらいの本気っぷりは見ているこっちがドン引きしてしまいそうです(笑)

ところでダディッツ(ドニー・ウォールバーグ)って、ソウシリーズのマシューズだったんですね。後から知るまで気づきませんでした。そしてマーク・ウォールバーグの兄だという事も、かなり後で知りました。

それ以外も、端役に至るまで全ての俳優が魅力的な映画でした。ただしモーガン・フリーマンは除きます。いや、ダメってわけではないんですよ。なんか・・・味が濃すぎるというか・・・。

あとがき

ちなみに「DVD特別版」は特典映像が付いており、別エンディングも収録されていますよ。

それについても書きたいのですが・・・まだ観ていない方のために、そちらの内容はお楽しみとしておきます。「購入者用の特典」ですしね。

最後に一言・・

タイトルの「ドリームキャッチャー」・・・あまり関係ないよね・・・。