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世間では評価も感想もイマイチな『映画/エンバー 失われた光の物語』でネタバレ戯言。たしかにシアーシャ・ローナン主演ということ以外に「これだ!」というウリはなく、ストーリー展開もアレな感じで・・・。

これでは日本劇場公開が見送られたというのも納得ですな…。

エンバー 失われた光の物語


2008年 アメリカ

キャスト:
シアーシャ・ローナン
ハリー・トレッダウェイ
ビル・マーレイ
ティム・ロビンス
マーティン・ランドー
トビー・ジョーンズ
マリアンヌ・ジャン・バプティスト
メアリー・ケイ・プレイス
マッケンジー・クルック

監督:ギル・キーナン
脚本:キャロライン・トンプソン

原作はジェニー・デュープロの同名小説

ネタバレ無しのあらすじ

人類が地上で生き続けることができなくなった世界。

選ばれた人々は地下に都市を建設し、いつか再び地上で暮らせる日が来た時に備えて『秘密の箱』に地上への脱出方法を残した。

箱は地下都市の市長に代々受け継がれていくが、153年経過後の七代目市長・メイフィールドの急逝により、引き継がれることなく倉庫の隅で埃をかぶることになってしまう。

それから47年。

200年という耐用年数を超えた地下都市の発電機は寿命を迎え、人々はいつか訪れるであろう終わりに不安を感じながら暮らしていた。

そんな中、新たに成人の儀式を迎えメッセンジャーの職務に就いたリーナ(シアーシャ・ローナン)は、家の中から謎の箱を発見。

発電機の終わりを危惧する友人ドゥーン(ハリー・トレッダウェイ)と共に、彼女は都市の秘密へと迫っていくのだが・・・

・・・といった内容でとんとん拍子すぎる展開がちょっとアレな物語。

キャストで戯言

興行収入は大失敗、日本公開も見送られたような本作を手に取った方の8割はこの女目当てでしょう。そう、シアーシャ・ローナンが主演でございます。

みんなホントお好きね、シアーシャ。当ブログでも彼女が主演の記事は人気がありますもの。

『映画/ラブリーボーン』で主演を演じたことでブレイクした彼女ですが、本作その前年である2008年。いわばブレイク前のお宝映画みたいなものですな。しかし少女の頃からやや大きめで良いケツをしていらっしゃる。

そしてシアーシャと共に冒険に出る少年ドゥーンを演じるのはハリー・トレッダウェイ

残念ながら彼はその後大きくブレイクすることはありませんでした。日本では「…誰?」って感じの人も多いでしょうな。

どちらかと言えば彼の双子の兄ルーク・トレッダウェイのほうが映画出演は多いようですが、ぶっちゃけ目クソ鼻クソかと。

そんな二人の若者が狭い世界でわちゃわちゃと走り回るこの物語。脇にはしっかりと大物が据えられており、善人ぶった市長はなんとビル・マーレイ

その補佐にトビー・ジョーンズ。ドゥーンの父ちゃんはティム・ロビンス

寝てばかりいるクセにしっかりキメシーンのある配管じじいはマーティン・ランドーと、古くからの映画通にとっては豪華すぎるメンツが揃っております。

…が、平成後期生まれの若造には、どれもただのオッサンにしか見えないんでしょうなぁ…。

あ、若い人でもわかる俳優がもう1人。『映画/パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズで義眼の海賊ラゲッティを演じたマッケンジー・クルックが変なチョイ役で出演しておりますよ。


完全子供向け映画

人類がなぜ地上で生きられなくなったのかは・・・謎。

なぜ箱の継承が途絶えてしまったのかも・・・謎。

なぜ虫やハナモグラが巨大化しているのかも・・・謎。

とにかくアレとかコレとかに関しては一切描かれず、ただただシアーシャ・ローナンがキラキラした目で走り回る姿を愛でる。それがこの『エンバー 失われた光の物語』という映画。

大人であれば、環境汚染か?生態系の変化か?七代目市長は引き継ぎ前に心臓発作か?などと勝手に物語を補完したくなりますが、この映画はそういうもんではない。

その世界観や建造物を心地よい音楽に合わせて「ほわーっ」と楽しむジュブナイル作品。ぶっちゃけキッズ向けの完全お子様ファンタジーなのですから。

地下都市エンバーからの脱出手段にしたって、もはやテーマパークのアトラクション。あれを「建築家、科学者、技術者などが集まって~」などと言われても、普通の大人ならば「いやいや!おまえら本気でアレで脱出させる気だったんか!?」とツッコミしか出ませんてば(笑)

物語の展開も強引で都合が良く、急展開でところどころ無理矢理。

これを『子供向け作品のようなアラもなく、普通に楽しめる』とか言ってしまう大人は、ちょっと頭がどうかしていると思いますぞ。アラだらけじゃないの。

そもそも、エンバーってドコにあるか理解してます?そう、地下の奥深くですよ?

そこでボートに乗り、急流をどんどん下り、ポーンと放り出されて落下したりしながら・・・

流れ着いた先が・・・地上!?

え?え?どんどん落ちていった先が地上!?

劇中で堂々と「川は1つの向きに流れる」などと言ってましたが、下から上へ流れる川なんてあるわけがない。『川の流れ』を使って地下奥深くから地上へと脱出させようというシステムがそもそも破綻していませんか?どうなのよ、技術者や科学者や建築家の方々よ。

大赤字作品

キャストの項でも触れたように、本作は興行的には大赤字。

5500万ドルという巨額の製作費を投じておきながら、回収できたのは全世界でたったの1800万ドル。

そのため日本での劇場公開も見送りとなっています。

ぶっちゃけ子供向け作品なんて無理矢理感があってなんぼですが、それでもある程度は大人の鑑賞にも耐える内容になっているからこそ『映画』なわけで。

ここまでアレもコレもぶん投げて、さらに肝心の地下都市脱出すら破綻しているような内容では・・・・大赤字も納得ですなぁ。

決して駄作というほどではないのですが、やはり『子供』『雰囲気だけでしか映画を観れない大人』の支持のみでは厳しかったのではないかと。もちろん「シアーシャたんハァハァ・・・」とゲスな目で楽しむ大人も楽しめた事でしょう。私もそこは楽しめました。

ちなみに製作にはあのトム・ハンクスも関わっていますが、出演は一切ありません。

超個人的な戯言感想

…というわけで。

日本では意外に「楽しかった!」という感想が多く、こんなミソクソな事を書いてしまうのもアレかとは思ったのですが・・・だってあまりにもツッコミだらけなんだもの。

もちろん素晴らしい部分や面白かった部分もありますので、決して駄作と批判しているわけではありません。

今ではあまり見なくなった演出ですが、『老人が自らを犠牲にして、若者に未来を託す』という展開も人類のあるべき姿を描いているようで胸が熱くなりました。今は『若者を食いものにして、老人がふんぞり返る時代』ですからねぇ。

しかしこのジジイが「直そうとしてるんじゃよー!」と、全然関係ない場所をハンマーでガンガン叩くだけなのはやっぱりドン引き。表現が適当すぎるってば。

重ねて言いますが、こんな映画つまらん!とは思っていませんので、個人的には可もなく不可もなく。楽しめる人は楽しめるで良いのでは?…といった感想ですな。

ただ「大きなツッコミもなく楽しめた」とまで言っている人には、あんた何を見てたの?と感じますし、「じゃあ今度山のふもとから川下りして、頂上に到達してみなさいよ」と言いたいですけど…。