映画『ストックホルム・ペンシルベニア』実の親でも離れりゃ他人…でネタバレ戯言

約20年監禁されていた少女のその後が重すぎる『映画/ストックホルム・ペンシルベニア』でネタバレ戯言。多くの方同様、主演のシアーシャ・ローナン目当てでの鑑賞でしたが、まさかこんな内容だとは…。

そのタイトルから『ストックホルム症候群』をテーマにした作品と言われていますが、これはストックホルム症候群とは少々意味合いが異なる気が…。

ストックホルム・ペンシルベニア


2015年 アメリカ

キャスト:
シアーシャ・ローナン
シンシア・ニクソン
デヴィッド・ウォーショフスキー
ジェイソン・アイザックス

監督:ニコール・ベックウィズ
脚本:ニコール・ベックウィズ

ネタバレ無しのあらすじ

4歳で誘拐され、地下室に監禁されたまま約20年を過ごしたリアン(シアーシャ・ローナン)。

犯人の逮捕により親元に戻ったリアンだが、誘拐以前の記憶が一切無い彼女にとってそこは見知らぬ家。娘の帰宅に喜ぶ両親も見知らぬ他人でしかなく、思い出すのは誘拐犯ベン(ジェイソン・アイザックス)との思い出ばかり。

そんな彼女に対し、母マーシー(シンシア・ニクソン)は必死に絆を取り戻そうとするのだが…

・・・といった内容で、なんとも言えない展開がダラダラ続く作品。

キャストで戯言

主演はみんな大好きシアーシャ・ローナン。しれーっとした顔をしておきながら、いったい何本獲得しているのかわからぬほど数々の賞を総ナメにしている恐ろしき女優でもあります。

その透明感のある美しさにメロメロの諸兄も多いとは思いますが…悲しいかな、本作での彼女はお顔パンパン気味。まぁアレですよ、約20年も狭い部屋に監禁されていたのですから、そりゃ運動不足でブタ…いえ、ふっくらするのも無理はない。彼女ほどの役者ですからおそらく体型も含めての役作りといったところでしょう。…真偽は知りませんけど。

そんな彼女を必死に現実に引き戻そうとする、母親マーシー役はシンシア・ニクソン。「セックス・アンド・ザ・シティ」シリーズのミランダ役で有名だそうですが、私がそんな作品見るはずがないじゃないですか。残念ながら全く知らない女優さんです。

しかしその演技力はシアーシャ・ローナンに負けておらず、彼女ら二人のせいで男性陣は押され気味。せっかくデヴィッド・ウォーショフスキー(父親)、ジェイソン・アイザックス(犯人ベン)と、非常に魅力的なオヤジ俳優が出演しているのに…。

ここからネタバレを含むよ!!

説明無しのいきなり展開

日本では劇場未公開ですし、おそらくDVD化もされていないであろうこの映画。…という事は必然的にAmazonPrimeなどのVODサービスを利用して鑑賞することになるかと。

その手のサービスで映画を観る際、当然パッケージ(もしくはサムネイル画像)は目にしますし、あらすじも読んでから鑑賞となるのが一般的。この『映画/ストックホルム・ペンシルベニア』も、大半の方は「4歳で誘拐され約20年後に開放された女性が、本当の家族や家に馴染めず犯人との暮らしをズルズル引きずる話」と承知した上で鑑賞を開始したかと。私もそうでした。

それゆえ、説明的なセリフや回想シーンもないまま進むストーリーも「そういう事か」と理解できますし、特に疑問は浮かばないはず。ところが全く予備知識を入れずに鑑賞を開始した方は、もう冒頭から「???」となったことでしょう。あまりにも説明不足なんですもの、この映画(汗)

しかしそのほうが本作をより一層楽しめたのでは…とも思うのです。

というか映画はほぼ全て、あらすじも何も一切知らないで観るのが一番面白いと思うのですよ。だから私は鑑賞前にあまりあらすじを読みたくないのですが、やはりそうもいかない。本当ならば「出演俳優と映画ジャンルだけ」で選びたいんですけどねぇ…。

…などと思っていたら、なにやら最近は「映画はストーリー(あらすじ・ネタバレ・結末)を全部調べてから、観る」って人、増えているらしいじゃないですか。…はい??

何事も手探りでやるからこそ面白いし、自分の成長にも繋がる。ゲームと攻略本を一緒に買ってくるようなやり方すらアホだと思う私には受け入れ難い鑑賞方法ですが、まぁ本人がそれで良いならば良いんでしょう。

今の人ってなんでも事前に「知っておきたい」んですよね…。なにかというとすぐググる。知識を「知る」だけで「身につけた」と勘違いしている。まったくクソみたいな時代ですよ…とぼやく私はお年寄りなのでしょうな…しょぼん。

設定と描写

話が脱線したので仕切り直し。

本作は女性監督だけあり、細い心理描写があちこちに散りばめてあるのも見どころ。『戻ってきた娘を部屋に案内し、出ていく際にドアは少し開けておく』という行動など、母親の中ではレイアがまだ4歳のままであることがひしひしと伝わってくるじゃないですか。

レイアに対する父母二人の対応も『親子関係というものに対する男女の価値観の違い』が上手に表現されており、実に面白い。

徐々に母マーシーの一方的な愛が暴走していく様子も引き込まれますし、まるで他人事のような空気を出し続けるレイアも魅力的。これまた説明不足ではあるものの、誘拐犯ベンがレイアに対して見せる表情もたまらない。とにかく俳優の演技は文句の付け所がないわけです。

…が、残念なのは中盤以降の展開がやや冗長に感じるところ。BGMを抑え、生活音を強く表現する手法も良いのですが、そのぶん盛り上がりには欠けてしまう。

ついでに言えば「父グレンは不倫をしている(らしい)」という設定、必要でしたかねぇ…。
(家を出たグレンが滞在している「あちらのお宅」がどういう関係でどういう相手かは明確にされていませんが、おそらくそういう事かと)

この物語の焦点が母マーシーに当たっているのであれば、彼女の孤独と空回り感を表現するのに有効な設定だとは思うのですが・・・レイアに焦点を当てるのならば余計な要素だったような気がします。

超個人的な戯言感想

最終的に、レイアはマーシーとの関係を頭で理解はしつつも、やはり心から絆を感じることができずに家を脱走。自らもベンと同じように「本当の絆」を結べる相手を求め、公園で女児を物色するのでした・・・で物語は終幕に。

おおう、そうきますか。まさか最後にシアーシャ・ローナンが「幼児誘拐犯」になるとは。

【結末について独自の見解・考察を書いていたのですが、諸事情により全て消去しました】

しかしここからどうするんでしょうね、レイアは。

ベンは自宅の地下を利用して監禁していたと思われますが、レイアは家なし。児童をさらったとしても、いったいドコで育てるつもりなんでしょう・・・。