今回は『映画/アブノーマル・ウォッチャー』でネタバレと感想の戯言。うむ、タイトルだけで「わたし変態です。覗きます」と宣言していますな。
こりゃ変態映画大好きとしては避けては通れないと思いきや、なんとも拍子抜けな内容でして…。
アブノーマル・ウォッチャー
(現代:13Cameras)
2015年 アメリカ
主なキャスト:
P・J・マッケイヴ
ネヴィル・アーチャムボルト
サラ・ボールドウィン
監督:ヴィクター・ザーコフ
脚本:ヴィクター・ザーコフ
ネタバレ無しのあらすじ
引っ越し先として郊外の一軒家を見学に来た新婚夫婦、ライアンとクレア。
不潔な大家はいかにも怪しい雰囲気を漂わせており、妊娠中のクレアは不安を感じるもライアンは気しない様子で引っ越し開始。
しかしその家は大家が仕掛けた隠しカメラで家中隅々まで監視されていたのだった・・・。
・・・という内容の作品。いつかこんな大家になりたいもんだ。
大好き、変態
冒頭でも書いた通り、わたしゃ変態が出てくる映画が三度の飯より好き。厳密には『変態』という安直な意味合いではなく、『他の人間とは全く異なる思考・価値観で生きている人間』が大好きなわけです。
どんな映画を観ていても、登場人物の中で最も共感できるのは『明らかに変人』とされている人物ばかり。
『映画/P2』を観れば「いけいけトム!」と犯人の味方をしたくなり、『映画/スリーピングタイト』ではヤバいくらいの変態っぷりを見せつけるセサルに感動。『映画/ムカデ人間2』では芸術的なまでにヤバいマーティを師と仰ぎたくなる。そういう人です。
それゆえ今回の『映画/アブノーマル・ウォッチャー』もかなり期待していたんですけどねぇ…。
コイツはただの一般人
内容はそのまんま、タイトルや予告編から想像できるように『家のあちこちにカメラを設置し、新婚さんを覗いてハァハァ』というキモ変態系。
果たしてこのオッサンはどれだけファンタスティックな変態っぷりを披露してくれるのかと思いきや、なんとも萌えない変態でして。
変態の基本中の基本『歯ブラシプレイ』も披露してくれましたし、監視カメラごしの裸体でハァハァしていたティッシュもあります。
しかし彼には全く魅力が感じられんのですよ。もちろん見た目は関係なく。
おそらくこんな事を書いても同意する人がいないどころか反論すらされそうですが、彼には『変態としての美学』がまるで無い。
これじゃ初めて双眼鏡や望遠鏡を手に入れた男子中学生が、とりあえずご近所の若い奥さんを観察してみるのと同レベル。ちょいちょい家に侵入して手を加えていく大胆さは面白いものの、やはりそこでも変態性は足りず。
まるで変態としてなっちゃいない。普通の人かよ。
まぁ他人の家に監視カメラをしかけて覗く事を『普通の人』と言ってしまうのは問題があるかもしれませんけど。
嘘つきは嫌い
…というわけで、変態に関してはまるで不発。全くのめり込むこともできず、ダラダラと物語を追うのみ。
そうなると大家よりも旦那ライアンの不快感のほうが気になってくるのですなぁ。
不倫はまぁ良しとしましょう。しかしそれを隠すためにポンポンと嘘をつくのが非常に気分悪い。
着信拒否をしてみたり、奥さんの携帯に水をかけたりなどの小細工を繰り広げた挙句、言い逃れできなくなったら「デタラメだ」「信じてくれ!」と嘘をつき、それが通用しないとなれば「あんな女本気じゃない!」と保身を図り、どこで行為に及んだか聞かれても「会社で・・1度だけだ!」と、最後まで嘘。
とにかく嘘。なんでも嘘。嘘で信用を取り戻せると思っている。こういう人間は反吐が出るほど嫌いなのですよ。
これなら隠しカメラで人妻を覗く大家のほうがよっぽど人として正しい。
いや、コイツも嘘をついてたか。じゃあ同類。
超個人的な戯言感想
変態も楽しめなければ登場人物にも魅力を感じない。
ストーリーにも特筆すべき点はなく、演出やカメラワークも凡庸。
完全に期待外れの駄作でございましたよ、アブノーマル・ウォッチャー。
もっと上手に「ライアンの浮気」と「大家の盗撮」を絡める事ができれば少しは面白くなったのでは・・・と思うんですけどなぁ。この2つがまるで別ラインで進んでいるのがもったいない。
ライアンだけが盗撮に気づき、そこには「自分の浮気の証拠」も映ってしまっていて・・・てな感じでも良かったのではないかと。もしくは浮気相手のハンナが盗撮に気づいて、それを使って離婚に持っていかせようとするとか・・・。
「盗撮してハァハァ」⇒「バレそうになって必死」⇒「もうダメだ、皆殺しだ」
これじゃ駄作にもほどがある。
薄っぺらいハッピーエンドにせずバッドエンド系で終わらせるってのは好印象でしたが、肝心のラストイマイチ。
期待が大きすぎたのか・・・それともワシの感性がおかしいのか・・・もはやタイトルは
ノーマル・ウォッチャー
にすりゃ良いんじゃないかと思うような作品でございました。