映画『ラブド・ワンズ』拷問よりも残酷よりも、変人が最高!

いやいや、久しぶりに強烈な作品に当たりました。『映画/ラブド・ワンズ』です。ベタな残酷ホラー系を期待して観た方には「なんじゃこりゃ」となる映画かもしれませんが・・・三度の飯より変人が好きな私にとっては最高とも言える作品でした。…途中までは、ですけど。

終盤はちょっとありきたりな展開に着地してしまったので、そこだけが惜しいところです。

ラブド・ワンズ
(原題:The Loved Ones)


2009年 オーストラリア

主なキャスト:

ゼイヴィア・サミュエル
ロビン・マクリーヴィー
ヴィクトリア・セイン
ジャシカ・マクナミー
リチャード・ウィルソン
ジョン・ブランプトン

監督:ショーン・バーン
脚本:ショーン・バーン

ネタバレ無しのあらすじ

オーストラリアの小さな町に住むブレント(ゼイヴィア・サミュエル)は、半年前に自らが運転する車の事故で父親を失い、半ば自暴自棄な人生を送っていた。

そんなある日、同級生のローラ(ロビン・マクリーヴィー)からプロムの同伴を誘われたブレントだが、ガールフレンドであるホリー(ヴィクトリア・セイン)と参加するから…と、その誘いを断ってしまう。

しかしローラは父親の協力を得てブレントを拉致。自宅の椅子に縛り付け、それはもう、世にも恐ろしいプロムを始めるのだった・・・。

・・・といった内容の作品。

良い意味で裏切られた1本

正直、あんまり期待していなかったんです。

あらすじを読んで「ああ・・設定の奇抜さと痛そうな演出だけで押す感じの、安っぽいB級ゴアみたいな作品なんだろうな・・」といった感じでした。

ところがどっこい、フタを開けてみりゃとんでもない。

なにより俳優がとても魅力的でした。そのへんのエキストラから引き抜いたような無名俳優のイモ臭さはなく、しっかり美男美女を押さえたうえで演技もしっかりしています。

序盤の展開も安っぽさはなく、カメラワークを含めて映像も綺麗。

そして拉致されたブレントが目を覚ました時の・・・

キター!?変人キターー!!

という、なんとも言えない至福の感触。

ヤヴァいです。ヤヴァンゲリオン、発進!です。大好物の匂いがします。なにその青い液体はっ!いったいそれで何する気!?(ドキドキ)


ここからネタバレと、変人的な感想を含むよ!!

も・・もったいないっ!

まずは今回のメイン変人、ローラがなかなか素晴らしい。

こういった流れであれば「なんで私の愛を受け取ってくれないのよ!だったらこうしてやるわ!」という、ヒステリックで下らない感情をぶつけてくるのが王道なのですが・・・決してそうではない。

「あははは!イケメン拷問するの楽しー!」という、最高のテンションでお出迎えです。そう、変人に余計な動機や理由付け、ましてや一般人的な感情などを織り込むのはむしろクソ要素です。

女の身でありながら、ここまで爽快でフッ切れた思考を見せてくれる人もなかなかいません。素晴らしい逸材です。

そしてその父親がまた・・・

娘の着替えを見る時の表情からも「むむっ、こいつ・・・できるな・・・」と予感させましたが、プロムが始まってからの彼も文句の付けようがありません。

ジェイク・ギレンホールに、ルー大柴と斎藤洋介と彦摩呂のエキスを振りかけて、ビニール袋に入れてよく揉んだような…あの顔。あの目。あの表情。

このレベルの変人であれば1人出てくるだけでも歓喜の極みだというのに、それが2人もいっぺんに・・・もう、豪華すぎてもったいないっ!

風俗に行ったらめっちゃめちゃ好みのタイプが出てきて「え!?まじ!?こりゃ素晴らしい!」と喜んでいるところに立て続けに「本日無料3Pサービスデーです」と勝手にもう1人、それもまた最高に好みの女の子が入ってきた気分です。

ど・・同時だなんて・・・どっちを愛せばいいんだっ。いっぺんに両方!?そんなの贅沢すぎるっ!!

残酷要素なんぞどうでもいい

おそらくこの映画のウリの1つは「エグい拷問と、その映像表現」にあると思うのですが、私は別に拷問マニアではありませんので…その1つ1つに魅力は感じませんでした。

しかし「次々と繰り出される、変人思考による拷問」という意味で見れば、もうお腹いっぱいになるくらいに食べ応えのある展開です。

フォークで身体にハートマークを刻み、そこに塩をパッパッとかけながらキャッキャとはしゃぐ・・・最高じゃないですか。一緒にやらせて欲しくてクネクネしてしまいました。混ざりたいっ。このプロムに私も参加したいっ!(ローラ側で)

そしてそこで一旦あちら(友人のほう)を挟んでから再び始まる・・・

「発表します!今年のクィーンは・・・・ローラ・ストーン!!!」

の小芝居が・・・。もう最高すぎて立ち上がって叫びたくなりました。

なんだよアンタら!そのバカみたいな茶番はっ!!!最高だよっ!!!

もう感極まりすぎて、ちょっぴり涙が出てしまいました。おいおい、なんでピューピュー吹かないんだよ、ブレント!せっかく盛り上がってるところを台無しにする気かよ!!と怒鳴りたくなりました。(もはや私の心は完全にあっち側です)

この素晴らしき展開、私が「変人映画」として大絶賛する『映画/パーフェクト・ホスト』を彷彿とさせます。

この映画に出てくるローラと父親に「最高だ!」と思った方ならば、彼も好きに違いない!
デヴィッド・ハイド・ピアースの頭イッてる姿を観られる映画はコレだ!!

しかし訪れる終わりの時・・・

こういった「最高の変人」が出てくる映画は、ほとんどの場合最後は「ノーマルさんが勝つ」で終わります。

中には『映画/スリーピングタイト』のように、変人が変人のまま、変態的に勝利して終わる映画もありますが・・・

ノーマルさんを打ち負かし、最後に変態が大勝利をつかむ最高の映画はこれだ!!

残念ながらこの『映画/ラブド・ワンズ』も、終盤はなんか雲行きが怪しくなってきます。

変態はいつも最後はやられ役じゃないか!!大人は汚いよ!!!

と叫びたい気分です。おそらく変態のほうがよっぽど汚いと思いますけど(笑)

父親は悲しい結末となり・・・そしてローラまで・・・。

ノーマル鑑賞者であれば「いちおうスッキリした終わり方かな」と感じるのかもしれませんが、私にとっては「ただただ報われないバッドエンド」です。。。

途中まで400点、終盤は40点

ラストがああなるのは、ある程度は覚悟していましたが・・・それ以外にも終盤は展開がイマイチです。

ローラ親子の反応も、ブレントの反撃に遭ってからはどうもつまらない。ありきたりな「頭のおかしい犯人」といった行動に、ちょっとガッカリしてしまいました。

しかし変人贔屓な思考抜きで、全体的にみれば…悪くない映画だったと思います。

ブレントが最後の最後まで絶対に屈しない、強い意志を持っているところは良かったです。「拷問されるイケメン」てのはクズだったり小心者だったりする事が多いですが、それだと安っぽいベタな映画になっちゃいますし。

ちょいちょい挟み込まれながらも、本筋とはクロスする事なく進む「友人側のラブコメ」の存在も、最終的には物語の深みを出すことに一役買っていました。

最近どうもパンチ力のある映画に当たっていなかったので、久しぶりに興奮できた1本です。こりゃDVDを購入して「愛すべき変態が登場する作品」の棚に永久保存しなければ(笑)

将来、私の死後に子供たちが遺品を整理しながら「お父さんの映画コレクションか・・・って、なにこのラインナップは!?」と、呆れ泣きしてくれる姿が目に浮かびます・・・・その姿を想像するだけで、私は幸せです。。。