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完全にヤラれました。想像していた形の斜め上どころか、見えないくらい遠くの距離をゆーっくりと通過されました。『映画/アンダー・ザ・スキン 種の捕食』の話です。

なんでこの映画であの「あらすじ」になるんでしょう。私はU-Nextでの鑑賞でしたが、他の配信サービスを見てもやはり「そうじゃないだろ」的な紹介文になっています。

たしかにこの映画のあらすじを書けといわれたら、それはもう困ってしまうところでしょう。ええ、私もこのあと書かなければならないので、非常に困っています(笑)

アンダー・ザ・スキン/種の捕食
(原題:UNDER THE SKIN)


2013年 イギリス・スイス・アメリカ合作

主なキャスト:

スカーレット・ヨハンソン
ジェレミー・マクウィリアムス

監督:ジョナサン・グレイザー
脚本:ウォルター・キャンベル、ジョナサン・グレイザー

ネタバレ無しのあらすじ

舞台は冬のスコットランド。

白いバンに乗った謎の女(スカーレット・ヨハンソン)は、その美しい容姿と妖艶なボディを利用し、男達を捕食するエイリアンだった・・・・

てなことを「あらすじ」として書かれている今作ですが、そんな映画じゃない気が・・・。

支持目線で言うならば『独特の映像と音楽に引き込まれながら、そこに秘められているメッセージを読み解く奥の深い作品』であり…批判目線で言うならば『間延びしたテンポで、よくわからない映像をダラダラ見せられる作品』になります。

人によっては「映画」として見る事すらできないかもしれません。ものすごく人を選ぶ作品です。

キャストで戯言

この映画の「主なキャスト」はスカーレット・ヨハンソンのみと言っても良い作品になっています。

スカーレット・ヨハンソンと言えば尻。すらっとした美しいボディラインではなく、ムッチムチの肉感が魅力です。

ちょっと太るとと寸胴ボディになってしまう危険性も孕んでいますが・・・今作でのヨハンソンはわりとバランスの良いオールヌード披露してくれています。

彼女は演技力も素晴らしいと思いますので、これで顔が好みであれば文句の付け所のない女優なんですが・・・惜しい。

彼女以外で最初から最後まで出ているのは「バイクの男」だけになります。彼はジェレミー・マクウィリアムスという方で俳優ではなく、なんとイギリスのバイクレーサーらしいですよ。私はバイクに乗ってるクセにそっち系(びゅいーんと飛ばす系)は好きじゃないので知りませんが、けっこう有名な方のようです。

そして捕食される男性の中で重要な位置づけにいる「顔に腫瘍のある男」はアダム・ピアソンという方で、特殊メイクなどではなく地顔です。彼は神経線維腫症という遺伝性の病気であり、外見に対する偏見をなくす活動もしているとのこと。

ここからネタバレを含む・・というか、映画の作りに関する話を含むよ!!

まさかこんな映画だとは・・・

おそらく私以外にも「え?こういう映画だったの!?」という衝撃を受けた方は多くいるのではないでしょうか。

だってあらすじで「妖艶な魅力を持つ謎の女(スカーレット・ヨハンソン)だが、その正体は男達を捕食していくエイリアンだった!」とか書かれていれば、嫌でも「スピーシーズみたいな感じを、ヨハンソンでやるんだな。そうなんだな!」と思っちゃうじゃないですか(笑)

お色気うっふんな雰囲気で男を誘い、大人の展開からのエイリアンがグギャーで血がぶしゃー!!ペロリごちそうさま。

そんな映画だと思ってしまいます。

なんだこの間は…

もう鑑賞直後から異様な空気は出ているんですよね、この映画。

オープニングクレジットがちょろっと入ってからの、真っ暗な画面。これがまたけっこう長く続くもんで、「あれ?テレビ壊れた?もしくはケーブル抜けた?」と思い、一度止めて確認してしまいました(笑)

とにかく作品全体が間延びしたというか・・・テンポが悪いというか・・・だらーりとした表現になるので、そういう映画だと気づくまでは違和感を感じます。

とにかく最初は『スピーシーズ/ヨハンソン版』だと勘違いして鑑賞していましたので、「なにこのよくわからん間の使い方は」といった感じでした。

なんだこの映像は…

この映画は・・・そういう映画じゃない!と気づいたのは、最初の捕食シーンあたり。

真っ暗な空間で、衣服を脱ぎ棄てていく二人。

なんとも言えないマヌケな・・いえ、独特で精神を侵食してくるような音楽が流れ、男はヨハンソンの裸体に魅せられて追っていくものの・・・決してたどり着く事はできず、少しづつ沈んでいく。

そ・・そういう映画だったのかっ!

超個人的な見解

こういう映画だとわかれば話は別です。

観るべきは映像そのままではなく、映像と演出で何を表現しているのか…になってきます。

そしてそういう映画になってくると、人によって解釈や考察が大きく異なってくるので・・・こういった場所で自らの感想を書くのが危険でもあります。

今の時代は多いじゃないですか、自分と違う見解の他人を受け入れられない人。

ムキになって否定したり、自分のブログやレビューサイトで「こんな事を言ってた人がいますが、それは違います」みたいな事を書きたがる人が多すぎます。

私は他人と価値観がズレているのは重々承知の変人ですので、別に批判されるのも否定されるのもかまわないんですが、たまにすごく面倒くさい人がいるんですよね・・・。

ですので、いつも書きますが「あくまでも私個人の見解」です。この映画はこういう事を意味している!と言いたいわけでもありませんし、全ての人にそう思ってもらいたいわけでもありません・・・くれぐれも過剰に反応しませんように。

そもそもエイリアンという触れ込みが…

動画配信サービスのあらすじにも、DVDパッケージにも「謎の女の正体は男を捕食するエイリアン」といった事が書かれているので、当たり前のようにそういう事として受け入れてしまいがちですが・・・そもそもこの表現が「なんか違う感」を感じました。

エイリアン・・・エイリアンですか・・・。

たしかに人間の食べ物であるケーキを喰ったら吐いてしまいましたし…最後に明らかになる謎の女の正体は「名探偵コナンの犯人」のような真っ黒な存在でした(笑)

しかし、最初に「正体はエイリアンだよ」という予備知識がなくこの映画を鑑賞したならば、果たして「出たー!エイリアンだー!」と思ったでしょうか・・・。私はおそらくそうは思わず、人間のとりつくろった表面の下にある、黒く醜い何かを表現しているのかもしれない…と感じた気がします。

そのくらい、この映画は全編にわたって「映像の裏にある何か」を感じさせる作りになっていますし。

ライザップ

印象的な「捕食」のシーンも、私はあの映像そのままの出来事があったとは思いませんでした。

あれは「謎の女により家へ招き入れられ、その妖艶な魅力に欲情し、夢中になっているうちに徐々に取り込まれていく」という事を独特の映像表現で表しているのではないかな・・・と。

第一、あんな真っ暗で無限に広がっているような空間に入ったら「なんじゃここは!?」となってしまいます(笑)

男の視線は謎の女の裸体にくぎ付けで、もう頭の中はヤる事しか考えてないような表情で服を脱ぎ棄て、追い続ける。しかし謎の女は決して距離を縮めさせる事はなく、一定の距離を保ったまま後ずさりを続け・・・少しづつ、気づかないままに男は沈んでいく。

実際には「普通にエロい流れになり、気づかないままに捕食されちゃった」という事柄を、ああいう形で表現しているのだと感じました。

もしかしたら「捕食」という事すら、こちらが考えているような内容ではないのかもしれません。

それよりなにより、真っ暗なバックで服を脱いでマッチョな裸体をさらす男が「ライザップのCM」に見えて仕方ありませんでした(笑)

スキンのアンダー

物語中盤、顔に腫瘍がある男のあたりで感じたのは、この映画タイトルでもある「アンダー・ザ・スキン」という言葉。

それまでの男は「社交的で小綺麗な顔」の下には「下心や醜い欲望」が隠されていました。

しかし腫瘍がある彼は「一見醜く、排他的な表面」の下には「純粋に人と触れ合いたいという欲求」などが秘められていました。

それを感じ取ったからこそ謎の女は彼を捕食できず、鏡で自らの顔を見ながら自問し、ああいった行動に出たのではないかと思います。

彼女が『エイリアン』なのか、それとも『美しい容貌に黒く醜い本性を持った女性』を表しているのか、それとも違った何かなのか・・・私のお脳ミソでは「こうかもしれないな・・・いや、こういう事も考えられるな・・・」といった感じでモヤモヤした形にしかなりませんが、少なくとも「エイリアンが男を騙して喰っちゃうぞ!」というだけの作品ではないというのは明らかですし、いろいろ考える余地が残されているというのは映画の醍醐味でもあります。

戯言三昧には手に負えない1本

どうせ考察したところで低レベルな戯言しか書けませんし、ココは本来バカみたいな感想を垂れ流すカオスなブログですから・・・小難しい事を書くのはもうやめましょう。

とにかく映像だけをそのまま受け取ってしまったら「ちょっと意味わからん」となる映画ですが、その裏に秘められているものを追っていったら「無限の考察」が待っている映画です。まるで泥沼のような映画です。

本気でアレコレと考察を書けと言われたら、何文字あっても足りないくらいですが・・・まぁどうせいくら書いても、程度の低い事しか書けませんし(笑)

私にとっての映画は『変人』と『尻』が出てくればそれだけで最高なんです。

今回はちょっとなんとも言えない気分になる1本でしたので、次回は思いっきり突き抜けてバカな映画を観たいと思います。バランスをとるために(笑)