『ザ・カニバル・クラブ』人喰い控えめ映画(ネタバレ含)

カニバリズム系映画といっても「食人族」や「グリーンインフェルノ」のような『人を喰う文化』を扱った作品や、「RAW~少女の目覚め~」「ハンニバル・レクター」のように『人を喰う嗜好』に焦点を当てた作品などイロイロですが…今回の1本は後者。富裕層が人喰いという崇高なる嗜好を楽しむ『映画/ザ・カニバル・クラブ』です。

そっち系が大好きでたまらない私としては、かなり期待していた作品なのですが…うーむ。いろんな意味で惜しいというか、残念な結果でした。

注)ブラジル作品のため俳優などのカタカナ表記が確立しておらず、他と若干異なっている場合があります。

ザ・カニバル・クラブ


2018年 ブラジル

主なキャスト:

タビーニョ・テイシェイラ
アナ・ルイザ・ヒオス
ペドロ・ドミンゲス
ゼ・マリア

監督:グト・パレンチ
脚本:グト・パレンチ

ネタバレ無しのあらすじ

豪邸で裕福な暮らしをする夫婦、オタヴィオ(タビーニョ・テイシェイラ)とジウダ(アナ・ルイザ・ヒオス)。

彼らには「使用人を自分達の歪んだ快楽のために利用し、殺害して喰う」という恐ろしい趣味があった。

そしてオタヴィオは富裕層の人間のみで構成された秘密クラブに所属しており、そちらでも食人を楽しむ密会が行われていた。

しかしある日、ジウダは秘密クラブの元締めでもあるボルジェスの秘密を目撃してしまい・・・。

・・・といった内容の作品。

猟奇的だからではなく

R15+指定となっているこの『映画/ザ・カニバル・クラブ』ですが、人肉食に関わる残酷描写ゆえのレーティングかと思いきや・・・鑑賞してみると単に「アダルト要素がハードすぎるから」という理由ではないかと思われます(笑)

肝心の「人を殺して解体して食う」という部分に関しては、非常にマイルドな表現になっており…ざっくり殺して血がぷしゃーくらいの描写はあるものの、エグく解体するようなシーンは無し。切断された手足なども無し。

しかしそちら系に関しては非常に気合の入った表現になっており、もはや「映画のベッドシーン」などではなく、「アダルト動画」のよう。

まず映画開始早々に1発目の「そういう事」をやっているシーンが来るのですが・・・ガッチリと大きなボカシが入っており、それが逆に下品で…(笑)

さらにはそれを見てセルフでハァハァしている旦那、行為中に相手が殺害される事で興奮してイッてしまう妻、ついでに殺害した瞬間にイッて白い液体をポタポタ出す旦那・・・と、「マニアックすぎるポルノ映画」のような表現で攻めた後・・・やんわりと解体(描写はなし)で、優雅に食人です。

映画開始からたった10分の間に「ハードなプレイ」「寝取られ属性でセルフ行為」「殺人」「人喰い」という、非常に濃い内容が展開されます。しかし後半の「殺人&人喰い」はやや薄め。印象に残るのはエロスの部分です(笑)

ここからネタバレを含むよ!!

食人映画・・・か?

そのタイトルと、ポスターやパッケージの雰囲気から「東京喰種の美食クラブのような、狂気の富裕層による食人」を期待していたのですが・・・フタを開けてみればちょっと違う感じの映画でした。

たしかにかなりそっちに似たシーンも一部あるのですが、正装をして「本日の食材」を見下ろすエリート達の目の前に現れた男女は・・・駅弁ファックでアンアン言っています(笑)

そしてエゲつない凶器を持った処刑人が登場するも、殺害するシーンは無し。解体シーンも無し。

非常に優雅かつ自然に「食人」を表現してくるのは良いとして、なにかにつけて「性行為」を盛り込もうとしてくるのが…(笑)

そして大事な「食人」というテーマすら、中盤からはほったらかし。

「秘密クラブの元締め(男)が、警備員(男)に後ろからガンガン掘られて楽しんでいる」という光景を目撃してしまったせいで、命を狙われるサスペンスに路線変更です。食人、もうありません(笑)

なんだその計画は…

ボルジェスの秘密を知ってしまったジウダ達は命を狙われる事になり、二人の刺客が豪邸に侵入してくるのですが・・・このへんからはもうサスペンスとしても「うーむ・・」と思うような展開の連続で、どういう姿勢で観ていてよいのか困惑でした。

とりあえず二人の刺客は撃退して、さてどうしようか…と相談する夫婦。ジウダが出したアイデアは・・・

「二人組の男が侵入して妻達が殺された。一人は捕えたから、誰の差し金か拷問して吐かせるつもりだ」と、ボルジェスに相談すれば、きっと口封じのために現れるに違いない!そこを返り討ちにしよう!!

といったもの。え?え?わざわざボルジェス本人が来る?それだとまた刺客を送り込まれるだけじゃないの!?

・・・というこっちの疑問とは裏腹に、オタヴィオは「んな事できるか!私たちは殺人鬼じゃないんだ!」の返答です。

・・・・いやいや、殺人鬼だろっ!(笑)

アレでしょうか、「食わない生き物は殺さない」という、どっかの漫画の主人公みたいなポリシーなんでしょうか。

しかし最終的には「ボルジェス殺しはジョナスのせいにして、あとはジョナスを殺して食っちゃおう!警察には『逃げた』って言えば完璧!!やったね!!」という結論です。もうどこをツッコんでよいやらわかりません。

そんなアホな、と思っていましが・・・ホントにジョナス本人が来ました!!(笑)

しかもわざわざ死人メイクまでして「死体のフリ」をするジウダの気合の入れっぷり。本気でやってます、この人。

何とも言えない余韻が…

その後はまぁそれなりーにありきたりな展開で、みんな死んでエンド。最後に残されたジョナスの困惑の姿が哀愁を誘います。

彼が一番可哀そうですよね。せっかく仕事が見つかったのに、初日から殺したり殺されそうになったり、奥様と何度もハァハァしたり、で結局また殺したり。「なにやってんだろ、俺」となりますな(笑)

とにかく最初から最後まで「もっとサイコな方向」に吹っ切ってくれれば良かったのですが、どれも中途半端なうえに途中からは犯罪スリラーのような流れになるのが残念でした。

食人・カニバリズムの部分が弱いのも惜しい。決してクソ映画ではないのですが、作品タイトルと宣伝の方向を間違えてしまっているような気もします。

これならまだ「エロティックスリラー」で呼び込んだほうが鑑賞者も納得がいったのではないかと。

それにしても・・・ジウダ役のアナ・ルイザ・ヒオス。通常のシーンは普通にオバちゃんで、すごく美人だとも思えないのですが・・・エロシーンの彼女はまるで別人のように美しく、ヤバいほど色っぽいのがズルい。たまにいますよね、こういうタイプの女性って。

最終的な感想としては「食人を観る映画ではなく、ハードなエロスを楽しめる変な映画だったなぁ」でした。

エンドクレジット開始と同時に流れるなんともいえないマヌケな音楽も困惑度を加速させます(笑)

しかし…あれだけ殺したり殺されたりの後半の展開が…

原因は「いい歳したオッサンが尻を掘られているのを見てしまったから」ってのも・・・なんなんでしょうね(笑)