今回は『映画/ATM』でネタバレ含む戯言と、犯人の目的に関する独自考察・解説を。サスペンス・スリラー好きならば思わず食いついてしまうようなイイ感じの映画ですが、ぶっちゃけ評価できるのは表面の雰囲気だけ。
中身はクッソクソのハッタリスリラーだったり…。
ATM
2012年 アメリカ
主なキャスト:
ブライアン・ジェラティ
アリス・イヴ
ジョシュ・ペック
監督:デヴィッド・ブルックス
脚本:クリス・スパーリング
ネタバレ無しのあらすじ
投資会社に勤めるデイヴィッド(ブライアン・ジェラティ)は、同僚のエミリー(アリス・イヴ)に密かに想いを寄せていた。
しかし彼女は金融業界に見切りをつけ、NPOへと転職する事に。
彼女に会える最後のチャンスでもあるクリスマスパーティーで、思い切ってエミリーに声をかけたデイヴィッドは…送っていく約束を取り付ける事に成功!やったねデイヴィッド!
ところが余計な事に友人のコーリー(ジョシュ・ペック)まで送っていかなければならなくなり…さらには腹が減っただのATMに寄れだのと面倒くさいコーリー。
仕方なく24時間営業のATMに立ち寄った三人だが・・・まさかそこで恐怖の体験をすることになろうとは思っていなかった。。。
・・・といった内容の作品。
兎にも角にもグッダグダ
冒頭でも書きましたが、とにかく面白くないと思ってしまった映画ですので・・・この映画を「実に奥深い!」と称賛しているごく一部の方や製作者の方々、そのご縁者の方などには不愉快な文章となってしまいますことをお許しください。だってホント面白くないんだもの。
では書きますよ・・・。
もうとにかく人物像がグダグダ
エミリーに対して勇気を出せないデイヴィッド。友人のコーリーはそれを応援していたはずなのに、せっかくのチャンスに「よし!がんばれよ!」ではなく「俺も乗せてけよ。タクシー代ねぇよ」の唐突な妨害。
結局物語が進むうちに「ただの自己中野郎だった」という流れになるものの、なんとも微妙ですなぁ。
一方デイヴィッドとエミリー、こちらは性格は定まっているが行動がグダグダ。あまりにもチープな行動の連続で好意的に見れやしない。
とにかく脚本がグダグダなせいで『ATMという限定的なシチュエーション』がほとんど活かされておらず、ただただ代わり映えのない絵ヅラでツッコミどころだらけの行動を繰り返すのみ。
犯人の行動もいまいち意味不明で、恐怖感よりも困惑感が増すばかり。
この内容でどこに面白さを見出せと!?
犯人の目的は?
この映画を鑑賞した方の多くの方が抱いたであろう「いったい犯人は誰!?そして目的は!?」という疑問。
映画はそこらへんを一切説明しないまま、。ブン投げっぱなしで幕を閉じてしまいます。
個人的には、
投資で損をした顧客(もしくはその縁者)ではない
と解釈しましたが、人によっては「いや、そうは断定できない」と思うかもしれません。解釈は人それぞれですし。
とりあえず確実なのは、
めちゃくそ綿密に計画を立てて犯行に及んでいる
ということのみ。
それはもう細かく図面やら写真やらで調べ、防犯カメラの角度と範囲を確認し、絶対に証拠を残さないように計画を立てているようです。そのくだりは冒頭とラストで描かれていますし。
しかしだからといって正体が判明するわけではない。そんな設定を明らかにされたところで、
「・・・・で?」
の一言で終わってしまうじゃないですか。
だからそこまでする目的はなんなのよ!?貸倉庫を改造してまで計画部屋を作った理由が知りたいんだよこっちは!…と。
エンドクレジットで明かされる!?
そんなモヤモヤを感じさせながら物語は終わってしまうのですが、魂抜けた状態でエンドクレジットをボヤーっと見ていると…なにかが始まりました。これか!?ここで明かされるのか!?
えーと・・また図面でアレコレしてる・・・。ここから・・・まだ図面か・・・・あれ?終わっちゃった。
「・・・・で?(笑)」
なんだよコレは!エンドクレジット挟んで流すような内容か!?
こういうトコにぶっこんでくる映像ってのはオマケだったり種明かしだったり、後日談だったり、メイキングだったりするのが定番でしょうに!!なにも変わって・・・・あ、また始まった!!
お、今度は写真が多いぞ・・・図面も精密な感じになってる・・・おお?来たか!?来たのか!?・・・・・終わっちゃった…。
「・・・・で!?(怒)」
おおおおおーいっ!!同じような事を2回やる必要あるか!?
なによコレはっ!!いい加減にしないとウ〇コ喰わせるぞっ!!・・・あ、またなんか始まった・・・・。
そして始まるエンドロール中の映像(三度目)。もはや信用する心すら失いかけていますが、それでも三度目の正直という事もありますし。じっくり、何も見落とさないように見ようじゃないですか。…二度ある事は三度あるとも言いますけど。
えーと・・・お、今回は手書きではなくしっかりと製図されたもので・・・ほうほう、防犯カメラの諸元ですか。念入りですな。で、キミは誰なのかな?ふむふむ、それが写真ね。うん。・・・・・終わった・・・。
「・・・・で??(泣)」
勝手に犯人像を決めつけよう!
結局エンドクレジット中に三度もボーナス映像を挟んでおきながら、その全てが「犯人の綿密な計画(の図面と写真)」でした(笑)
ただでさえ面白くない映画なのに、こんな事に三度も付き合わされれば「クソ映画」呼ばわりもしたくなりますさ。なんなのよもうっ!
もう勝手に決めつけます。違う解釈の方はぜひ感想をお聞かせ下さい。自分と違う意見を聞くのは楽しいですし。
私としては、一種の「愉快犯」のようなものなのかな…と。
慎重に慎重を重ね、綿密に計画し、自分は確実に安全な立場で、全く無関係の人間を不幸に陥れる事が目的…という。
『愉快犯』とは?
一般的には「自分の行為によって世間が騒いだり、怯えたりする様子を見たいがために犯行に及ぶ者」の事。
その内容によって法を犯す場合もあれば犯さない場合もあり、インターネット上の掲示板などに炎上するような事を書いて反応を楽しむ行為も「愉快犯」の一種。
解釈は人によって差がありますが、決して「うひゃひゃっ」と愉快に喜ぶだけが愉快犯というわけではなく「殺意や恨み、もしくは自分が何かを得るため…ではなく、他人を不幸にする犯罪行為そのものが目的」といった場合も愉快犯と呼ぶ事があります。
犯人の目には何か信念のような…狂気のような…そんなものを感じますので、過去になにかあったのかもしれません。…が、そこは描いてくれていないので想像しかできません。
「慎重に慎重を重ね、綿密に…」とか言っているけど、けっこう穴だらけじゃん!と言いたくなるのは決して犯人が悪いわけではなく、脚本のせいです(笑)
大人しく別の映画を観よう!
この『映画/ATM』をまだ観ていない方で、なにか面白そうなワンシチュエーションスリラー作品を探している・・・というのであれば、素直に違う映画を観ることをオススメします(笑)
いやいや、あえてクソ映画を観てコキ下ろしたいんだよ俺は!という方であれば、こいつは絶好の作品ですよ。
死にかけているコーリーを何度も持ち上げては落として、持ち上げては落として・・・で、結局すみっこに寄せておくんかーい
・・・といった感じで楽しみましょう。