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映画では耳にすることが多いCG』『VFX』『SFXという単語。なんとなく意味はわかっていても、その違いを説明するとなると難しかったりも。

今回はCG、VFX、SFX、それぞれの意味と違いについて、専門的すぎる用語や難しい理論は用いず、簡単わかりやすくご説明いたします。

CGとは?

3つの中ではおそらく最も馴染み深いであろう「CG」という言葉。

「Computer Graphics(コンピューター・グラフィックス)」の略で、コンピューターを使って作られた映像の事を指します。

CG恐竜

こんな感じのヤツですな。

昨今のゲームにおける美しく立体感のある映像も『CG』と呼ばれますが、美しいからCG、立体的でリアルだからCG…というわけではなく、ヘタクソであろうと平面(2D)であろうと、コンピューターを用いて製作された映像・画像は全て『CG』と言えます。

映画史においては「映画/ジュラシック・パーク」がCG映画の先駆けとされることがありますが、あの映画は全ての恐竜シーンがCGというわけではなく、本物のように動く精巧な人形を使用しているシーンも多数あります。

こういった「恐竜」「宇宙人」、はたまた「巨大な戦艦」など、現実に存在しないものを表現する際にCGは欠かせない技術となっていますが、一見ごく自然な映像に見えるシーンでも「降っている雨」がCGであったり、場合によっては「背景全て」がCGで作られていたりする場合も。

そのようにキャスト以外の全てがCGで作られている場合、演者は「グリーンバック(ブルーバック)」と呼ばれる何もない空間で演技をする事になり、その姿ははたから見ているとやや滑稽。あれでよく演技に入り込めるものです…。

VFXとは?

最近ではよく耳にするようになった「VFX」という言葉。

これは「 Visual Effects(ビジュアル・エフェクツ)」の略で、日本語にすると「視覚効果」となり、コンピューターを使って作られた映像効果の事になります。

あれ?それでは「CG」と同じじゃないか? となってしまいそうですが、ざっくり簡単に説明すると…

「コンピューターを使って作られた映像」=「CG」

「CGを実際の映像と組み合わせたもの」=「VFX」

となります。

例を挙げると、コンピューターゲームや「映画/ファインディング・ニモ」などが「CG」

「映画/ハリーポッターシリーズ」など、SF映画やファンタジー映画でCGを使った表現が「VFX」です。

異星人の攻撃

このように現実の街並みにCGで作った宇宙船を組み合わせたり、主人公たちが大きな恐竜に追われるシーンなどがVFX。撮影した映像にコンピューターグラフィックスを重ね合わせる…という事ですな。

ガンアクションで銃口から火を噴かせる効果なども昔は火薬が使われていましたが、最近ではVFXで処理するのが一般的となりました。

カーアクションにおいて車が暴走→衝突→破壊するシーンなどもCGを使用しており、昔のように実際に車両を走らせて壊す必要はなく、より安全かつ低予算で製作できるようになりました(迫力に関しては賛否両論あり)。もはや「VFXを使用していない映画は無い」と言っても過言ではないほど多様されている技術です。

以上のように「現実にプラス」するのがVFXの代表例ですが、「現実からマイナス」のVFXもあります。

大きな鏡の前のシーンや建物の窓ガラスのシーンなど、アングルによってはカメラマンやスタッフが映りこんでしまう事があります。そういったものを後からデジタル処理で消すことも『VFX』の一種なのです。

それ以外にも別撮影した砂ぼこりや血しぶきを合成したり、CGではない現実の背景を合成したり…。

少々ややこしい表現になりますが、
『CGと現実の映像を組み合わせて表現するのがVFX』
というのが一般的な解釈。
ただし、
CGを用いなくても、デジタル技術を使用して映像を作り上げる手法は全てVFX
という事になります。

SFXとは?

ではでは最後に「SFX」とは?について。

これは「Special Effects(スペシャル・エフェクツ)」の事で、日本語では「特殊効果」や「特殊撮影」と訳されたりします。

その名の通り映像に対して特殊な効果を施す事で、古くは「ミニチュアを使った撮影」「爆薬を使った撮影」などがSFXにあたります。実際に俳優の顔に施す「特殊メイク」などもSFXですし、中国映画に多い「ワイヤーアクション」もSFXの一種。

コンピューター技術が今ほど発展していなかった時代、映画の撮影にはさまざまな工夫を凝らし、生の現場で特殊な効果を見せる努力がされてきました。

スターウォーズのセット

今ではCGで作って一発合成の建物や乗り物なども、しっかりセットを制作する必要があります。時間も予算も今より何倍もかかる時代でした。

かなりざっくりとした分け方ですが、

「アナログな手法で、その場で頑張って撮影する特殊効果」=「SFX」

「後からコンピューターを使ってデジタル処理した特殊効果」=「VFX」

…で良いかと。

SFXが進化したものがVFX、と捉えても間違いではありません。

しかしながらVFXの項でも述べたように、実際の現場で表現された映像と後処理で足された映像では臨場感や熱の違いがあります。リアルなセットと味気ないグリーンバックでは役者の気持ちの入り方も違うでしょう。

それゆえ、技術が進歩した現在でもSFX効果は大事にされており、臨場感あふれる素晴らしい映画はSFXとVFXの融合によって生み出されています。

映画好きとして考えるCG・VFX

これにて「CG」「VFX」「SFX」の説明は終了。いかがでしょうか、ちょっとは理解するためのお役に立てたでしょうか。

ところで…皆さんCGを多用した映画って好きですか?

たしかに現実ではありえないような映像をリアルに表現する事ができるようになったのは嬉しいのですが…個人的には、あまりにも「VFXで押せ押せー!!」な映画は少々げんなり。「映画/2012」を見た時、初めてそれを感じました。

そういえば何かの映画で「ラストシーンでヒロインの頬にCGで涙を付け加えた」という演出が物議を醸した事もありました。「役者の演技までコンピューター技術で誤魔化すのはいかがなものか?」…と。

賛否両論あるとは思いますが、「楽だから良いや」とか「予算を節約できて良いや」といった理由でVFXを多用した映画は勘弁していただきたいな…と。

「より良い物を作ろう」という目的で使用されたのであれば、大歓迎なのですけどね。

これからも古き良きテクニックと最新技術との融合で、あっと驚く面白い映画が多く生まれてくることに期待ですな。