映画『コンプライアンス/服従の心理』実話に基づく微妙な作品

実際に起きた事件が基となっている…ということで、公開時は話題になった『映画/コンプライアンス 服従の心理』ですが・・・当時観た時は、正直面白いとは感じられませんでした。

だがしかし…あれから数年経った今、『実話ベース』という期待を差し引いて観てみれば面白いのかもしれない…という期待からの再鑑賞です。

まぁ結果としては…微妙なんですけど(笑)

コンプライアンス/服従の心理


2012年 アメリカ

主なキャスト:

ドリーマ・ウォーカー
アン・ダウド
パット・ヒーリー

監督:クレイグ・ゾベル
脚本:クレイグ・ゾベル

アメリカで実際に起きた事件が基となっている

ネタバレ無しのあらすじ

アメリカのとあるファストフード店に警官を名乗る男から「そちらの店で窃盗事件が発生し、従業員に容疑がかかっている」という電話が入る。

店長であるサンドラ(アン・ダウド)は突然の内容に困惑するも、身体的特徴の合致するベッキー(ドリー間・ウォーカー)を事務所に呼んで取り調べる事に。

電話の指示に従い、ベッキーの身体検査を始めたサンドラだが、取り調べは信じ難い内容へとエスカレートしてくのだった・・・。

・・・といった内容の作品。

実話ベース

この『映画/コンプライアンス 服従の心理』は実際の事件がベースとなっています。

基となっているのはアメリカ合衆国で起きた『ストリップサーチいたずら電話詐欺』と呼ばれる事件。

30の州を跨ぎ、70件以上の同様の手口による事件の総称で、2004年に犯人が逮捕されるまで約10年間ものあいだ続いた事件になります。(模倣犯による犯罪も発生しています)

基本的に「田舎町のファストフード店に電話をかけ、警官を名乗って指示に従わせる」というのが共通の手口となりますが、被害者は従業員だったりお客さんだったり。

大半が裸にされたり性的な行為を強要されたりと…そっち系の内容が多く、中にはこの映画以上にえげつない行為を強要されたケースも。

本作品は一連の事件の最後の犯行であり、犯人逮捕につながった2004年ケンタッキー州マウントワシントンでの事件がベースになっています。(内容はほぼ同じ。異なる点は後ほど)

まず始めに…

おそらくこの映画を観た方は…

「こんなのおかしい」「普通は考えられない」「自分だったら絶対にこんな事しない(させない)」

といった意見を主張したくなるとは思いますが・・・

今回は「自分だったら〇〇〇」といった事には言及しません。

実際の事件をベースとした作品ですので、本当に被害にあった方もいますし意図せず加害者となってしまった方もいます。そういった方々に対し、蚊帳の外からあーだこーだと知ったふうな口を聞くのはどうかと思いますので…。

そもそも、実際に同じ状況を経験してもいないクセに「いや、自分なら絶対に〇〇だ!」と断言してみたり、「普通は絶対に〇〇でしょう!」などと、「自分の感覚=世間の常識」と勘違いしている人はちょっとアレだと思いますし。


ここからネタバレ…というか、ちょっと内容に触れるよ!
未鑑賞の方でもギリ大丈夫な程度だよ!たぶん!

純粋に「映画」として…

冒頭でも書きましたが、公開直後に観た時は「実話ベース」という部分をかなり期待してしまっていたので、単純に「映画」として観たかと言われれば・・・そうではなかったような気が。

ですので、今回は実話だという事は忘れ『純粋に映画』として鑑賞してみれば、評価が変わるのではないかな…と。

しかし結果としては…

あまり変わらない。

でした(笑)

むしろ実話ベースとして観たほうがマシだったような気もします。完全なフィクションとして見てしまうと「そんなんあるかっ!」と、さきほど申し上げたような「自分だったら目線」で考えてしまうんですよね。

嘘みたいな話だけど、これが実際にあったというんだから怖いわー

というのが本作品の大事なポイントなのでしょう。たぶん。

実際の事件との相違点

前述したとおり、この作品は2004年ケンタッキー州マウントワシントンでの事件がベースとなっており、かなり細かい部分まで同じになっているのですが・・・やはり『映画』として成立させるために必要だったのだろうな…と思える部分で、異なる点はあります。

まず冷蔵庫の件。前日に冷蔵庫を閉め忘れてしまい、材料をダメにしてしまった…の部分は創作のようです。

ここはおそらく「サンドラの性格」を強調するために盛り込んだのではないかと。

食材不足になってしまっても本部長の指示を仰がず、まずは自分で対処したい…という、よく言えば『責任感が強い』悪く言えば『独断専行型』という性格付けが、その後の展開をスムーズに受け入れさせるために必要だったのでしょう。

そして電話の途中で「やべっ!プリカの残高切れるっ!!」と、いかにも映画的な演出だったマヌケ部分はもちろん創作(笑)実際にはスーパーマーケットの公衆電話からかけられていました。

それ以外で大きく異なる点は『実際の犯人の勤務先は刑務所・収容所の運営会社』といったくらいで、サンドラの婚約者が関与していたり、その後婚約解消していたりといった部分は事実です。

店の機械整備を請け負っていた男性がデザートを食べに訪れ、その彼がきっかけとなって「嘘だった」という事に気づき、すぐに電話番号探知をかけた事で犯人逮捕に繋がった…という部分も実際の事件と同様です。

キャスティングの生々しさが…

なんか真面目な文章ばかり書いていたら背中がかゆくなってきました…。

個人の好みや価値観もあると思うのですが、私個人としてはぶっちゃけ被害者であるベッキーも、店長のサンドラも、「可愛いっ!!」とか「美人だっ!!」とは思えませんでした。

店長に関してはむしろ・・・ぐほっ、ぐほっ。むせた。

この「まぁいるよね、こういう人」というレベル(失礼な言い方ですが…)だからこそ、実際に起きた事件だというリアル感が出ていて良いかな、と。

これがものすごく可愛くてプルンプルンのベッキーだったりしたら、もう別の方向で見てしまってダメだったでしょう。

ショッキングな内容そっちのけで、

よしっ!!どんどん脱がせろ!!もっと過激な指示を下さい、どーぞ!

と、お祭りムードでわっしょいわっしょいですよ、もう。

なんなら店長も一緒に脱がせちゃおうよ!のノリになってしまいます(笑)

いたずら電話はダメ!絶対!

ふぅ、ちょっとふざけた事を書けたので背中の痒みが治まってきました。

5分に1回はバカな事を書かないとジンマシンが出る体質なので大変なんです。。。

なお本映画の予告編では『賠償額6億円の判決が下された!』と煽っていますが・・・いったんそういった判決は下されたものの、最終的には被害者少女は懲罰的賠償金の請求を取り下げ、110万ドル(当時で約1億2千万円)をファストフード店運営会社から受け取る事で和解しています。

犯人逮捕後も精神的な苦しみを背負い続けている被害者の方には申し上げる言葉がありません。「可愛くてプルンプルンだったらお祭りモードでした」なんて、ケツが裂けても言えません。

こういう事件が発生するとマネをするヤツは国を問わずいるようで、アメリカでも模倣犯が多数現れたようですし・・・くれぐれも「よし!俺もマックに電話して脱がせてやろう!!」なんて事はなさりませんように。

もしどうしてもやりたいと言うのであれば、事前に私に「どの店に、何時に電話をかけるのか」を連絡してから犯行に及んで下さい。そして「全裸になって、店内にいる赤いバラを口にくわえた男を誘惑をしろ」といった指示を出してください

いやいや、理由などありませんよ。ホント。…さてさて、赤いバラを買いに行くとしましょうか。