今回のネタバレ戯言は『映画/コントロール 洗脳殺人』。タイトルは凄まじくB級臭プンプンですが、なんと主演はクリスティナ・リッチ。そこにジョン・キューザックを添えるという豪華っぷりですよ。
しかしその結果は…
コントロール 洗脳殺人
(原題:DISTORTED)
2018年 カナダ
キャスト:
クリスティナ・リッチ
ブレンダン・フレッチャー
ジョン・キューザック
監督:ロブ・キング
脚本:アーン・オルセン
ネタバレ無しのあらすじ
過去の出来事がきっかけで精神的に不安定なローレン(クリスティナ・リッチ)とその夫ラッセル(ブレンダン・フレッチャー)は、都会の喧騒を離れて郊外へ引っ越すことに。
彼等が選んだのは閑静な場所にそびえ立つマンション『ザ・ピナクル』
堅牢なセキュリティ、充実した共同スペース、最新鋭の家電設備がウリのハイテクマンションに満足の二人だったが、引っ越して間もなくローレンは不可解な現象や幻覚に悩まされる事になるのだった。
・・・といった内容でピカピカ点滅するテレビに目が痛くなる作品。
キャストで戯言
ほぼパッケージも見ずに選んだため、誰が出演しているのかもわからない状態での鑑賞だったのですが…なーんか知ってる人に似てるな…誰だっけなぁ…と思ったらクリスティナ・リッチじゃないですかっ。
私のような昭和生まれにとってはクリスティナ・リッチといえば『映画/アダムス・ファミリー』…ってのが定番イメージだったのですが、今の若い人は違うのでしょうなぁ…。
そのうちアレですかね、ダニエル・ラドクリフを「ハリー・ポッターの人」とか言っても「あー、映画の名前は知ってるけど見たことない…」とか言われる時代が来てしまうのでしょうか。まぁ私もあのシリーズは1本も見たことないんですけど。
そのタイトルから『B級(以下)のスリラー作品』を覚悟していたので、メインっぽいところに知っている女優がいたのはラッキー。これならば多少クソでも最後まで見れるか…と安心しながらオープニングクレジットを流し見ていたら…
え…ジョン・キューザック!?
なによそれ、聞いてないわよっ。このタイトルでこの雰囲気の作品にジョン・キューザック!?
ここで彼の名前がくると「意外な大物が出ていて期待できる」ではなく、逆に「とりあえず大物1人配置しただけのクソ映画」の雰囲気が漂ってしまうじゃないですか。
そしてその嫌な予感は見事的中するのでした。
本作の監督であるロブ・キングは『映画/ヒューマン・ハンター』という『ニコラス・ケイジを配置しただけのクソ映画」を世に送り出したという前科がありますから…。
具合悪い…
本作の原題は『DISTORTED』、「歪み(ゆがみ)」「歪(ひずみ)」といった意味になります。
そのままのタイトルで良いじゃないか、どうしてこんなヒドい邦題にしてしまったかなー。相変わらず邦題を考える人間の頭がどうかしているよ…と思いきや。
いえいえ、バッチリ。
だって中身もヒドいんですもの。
意外に面白い映画にクソみたいな邦題を付けられたら文句も言いたくなりますが、クソみたいな映画にクソみたいな邦題を付けられてもダメージは軽微。うん、コントロール・洗脳殺人、宜しいのではないでしょうか。
とにかくダラダラかつメリハリのない展開、行動に共感できない登場人物、とても弱い伏線と導線。
そこに加えてピカピカ点滅しながら目まぐるしく変わる洗脳映像も非常に目が痛い。というか吐き気がするほど気分が悪い(映像がグロいからではなく)。
ちょいちょいクリスティナ・リッチのプリティフェイス&セクシースタイルで目を癒やしていなければ、『ポケモンショック』ばりに光過敏性発作を起こしてしまいそうですな。
ポケモンショックとは?
1997年12月のテレビ放送「ポケットモンスター」第38話「でんのうせんしポリゴン」を見ていた視聴者600人以上が病院に搬送される事となった事件。「ポケモン事件」「ポケモンパニック」とも呼ばれることも。
人体に影響を与えやすい光周波数と、同じく影響を与えやすい色調の点滅による演出を長時間使用した事が原因とされている。
ところで、ジョン・キューザックはいつになったら出てくるのでしょう…。
ダブル無駄遣い
具合の悪さを我慢しつつ鑑賞を続けること40分…物語が中盤になってようやくジョン・キューザックが登場しました。ところが気になるその役柄は…
陰謀論にドハマりした中2男子
といった雰囲気で、フードなんか被っちゃってるイイ歳した中年オヤジ(泣)
この歳で『待ち合わせ場所を変更したい。…尾行されている』なんて、恥ずかしくて真顔じゃ言えないですよ。
あんたちょっと変な漫画読みすぎ、もしくは怪しいネット記事に踊らされすぎかと。
というかオープンチャットらしき場所に自分の電話番号を晒しちゃうこの女もどうかしてますけど…。
ところがこのマンション「ザ・ピナクル」は本当に陰謀が渦巻いていたようで、『マンションの住人を使って洗脳実験』というFalloutのVaultのような施設である事が判明。ジョン・キューザックがただの陰謀論マニアではないことが証明されて一安心で……あ、ジョンQ死んだ(笑)
それにしてもこのマンションはなぜローレンを直狙いだったのでしょう…。他の住人は?
旦那が深夜に誰かと話していたり410号室に行ったりした件もうやむや。屋上から身を投げたティムはあれで洗脳成功なのか、それとも彼自身が言っていたように洗脳に対する抵抗の結果なのかも微妙。ターゲットとなった女の子アリーの母親に対して洗脳はどうなってるのか…。そもそもなぜ女の子を殺す必要があるのか…。
とにかくアレもコレも中途半端感が拭えず、最後の『ジャジャーン!実は中身はリンゴでした!』も、どうせ女の子の首なんて入ってないのは予想済み。
これでは『クリスティナ・リッチとジョン・キューザックの無駄遣い』と言われても仕方ない出来栄えかと…。
そして旦那も最後に妻を助けるためバシバシ撃っちゃって…これ、旦那さんが殺人もしくは殺人未遂で逮捕されません?「違う!こいつらが妻に殺人を強要していたんだ!えーと…洗脳で!」って、犯罪として立件できます?アチラの国って法的にそういうの認めてくれるのでしょうか…。
さらにさらに…
どうやらハイテクマンションを後にしアナログな家に落ち着いた夫妻。再び子供を授かりこれからは幸せな生活を…と抱き合ったトコで少々意味ありげな顔をするローレン。
ここ!!余韻を残したいならば首をポリポリとかかなきゃダメでしょう!?
個人的な戯言感想
…というわけで、どんなに魅力的な女優や大物俳優を起用しようとも、中身がダメではやっぱりB級止まり…という印象の『映画/コントロール 洗脳殺人』でございました。
なおローレンは画家という設定らしいのですが、部屋のあちこちに飾ってある絵は彼女の作品なのでしょうか?正直『悪趣味』としか思えないのですが…(汗)
こんなのに囲まれてたら旦那さんもいつか病むよ…と言いたいところですが、私も芸術関係の仕事を生業としていますので他人の感性をとやかく言うつもりはありません。クリスティナ・リッチが奥さんってのは魅力的ですが、とりあえず私だったらあの絵を家中に飾るのだけは勘弁していただきたい…という事で。