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今回はちょっとキツめの1本を持ってきました。カニバリズムでわっしょいわっしょいの『映画/グリーンインフェルノ』です。

1980年のイタリア映画『食人族』をモチーフに作られたそうですが…そちらを観た事がある方いますか?私は子供の頃に観てしまい、しばらくの間トラウマになりました。。。

今考えればたいした映画ではなかった気もするのですが、やはり『人が人を食う』というショッキングな映像に幼く脆弱な精神は耐えられなかったようです。

しかし人は成長するもの。今では『映画/SAW』シリーズを観ながらご飯を食べたり『映画/ムカデ人間』を見ながら大好きなあのコの事を考えたり、実に逞しい大人に成長しましたよ。

グリーン・インフェルノ


2013年 アメリカ・チリ

主なキャスト:

ロレンツァ・イッツォ
アリエル・レヴィ
ダリル・サバラ
カービー・ブリス・ブラントン
マグダ・アパノヴィッチ
ニコラス・マルティネス

監督:イーライ・ロス
脚本:イーライ・ロス、ギジェルモ・アモエド

ネタバレ無しのあらすじ

国連関係者の父を持つジャスティン(ロレンツァ・イッツォ)は、アレハンドロ(アリエル・レヴィ)率いる行動主義の学生グループに憧れを抱き、ともにペルーへと旅立つ事となる。

彼らの目的は”原住民を弾圧し熱帯雨林を伐採する悪質な企業”に対する抗議行動を携帯電話でストリーム配信し、世の関心を集めようというもの。

アレハンドロの計画通り活動は成功に終わったものの、帰路に就く一行が乗っていた小型飛行機は密林へと墜落してしまう。

落ちた先は、まさに彼らが守ろうとしていた原住部族『ヤハ族』が住む地域。

しかし彼らは食人文化を持つ恐ろしい部族だった・・・

・・・といった内容の作品。

戯言…の前にご注意

まず最初にしっかりと申し上げておきます。

私は食人趣味はありませんし、賛同しているわけでもありません。

ただし、私の性分として「一方の価値観で物事を判断し、断罪する」という行為が大っ嫌いでもあります。

食人なんてありえない。野蛮。おかしい。文明圏で生活していればそう感じる事は理解できますし、至極当然だと思います。…が、それを文化としている相手に対し、ヒステリックにこちらの主張を押し付けるというのも好ましいとは思いません。

犬を食うなんて頭がおかしい。イルカを食うなんて野蛮すぎる。タコを食べるなんてどうかしている。

そういった『食べる・食べない』の問題は大小含めれば腐るほど溢れていますし、決して結論は出ません。立場によって善悪が変わる問題ですから。
(食人は「共食い」なので話が別…というのも理解できます)

・・・というわけで、私は食人行為に関しても「自分の価値観が全ての人間に共通する正解」とは思っていませんので、当記事内でも不謹慎な表現があるかもしれません。

まぁ『考え方は人それぞれ』って事でご容赦下さい。所詮変人の戯言ですから。

彩度強めの映像美

この映画が始まって真っ先に目に飛び込んでくる「美しい緑色」、そりゃもう目が痛いほどに緑です。

私、本業はネイチャー写真系なんですが、彩度を強めにすると非常に印象的に映るんですよね。森林の緑って。

そしてヤハ族が不自然なまでに赤いっ!

この過剰な『緑と赤のコントラスト』が映画に華やかさとインパクトを加えており、それと同時に非現実感も醸し出しているところが実にお上手。

これが普通に肌色もしくは褐色の肌でリアルな森林であれば、映画全体の印象も地味になり、食人行為にも生々しいエグさが際立ちすぎる。見る人を選ぶ映画になっていたでしょうなぁ。まぁ今でもやや選びますけど。

ここからネタバレを含むよ!!

全力で1人目を喰うっ!!

冒頭~序盤はダラダラとした学生風景から始まる本作ですが、しっかりと伏線…というか後に繋がってくるキーワードが含まれていたりと、意外にちゃんとした構成。

しかしアレハンドロの意識高いっぷりがこれまた・・。実際いますよね、こういうヤツ。

監督イーライ・ロスも、この映画に登場する人物に関して『自分ではロクに行動しないクセに、どこかで見かけた社会性が高そうな記事をシェアするだけで「僕は意識高いです。社会活動家です」みたいに勘違いしている人間へのアンチテーゼでもある』といった事をコメントしています。

作中、アレハンドロはしっかりと行動を起こしましたが、やはり物語が進むにつれてどんどん化けの皮が剝がれていくことに。

そして物語は進み、ついに赤いヤハ族が登場。全国4000万のゴア・グロ・スプラッター好きの皆様、お待ちかねの食人シーンへ突入ですぞ!

1人目は「食べられる」という行為そのものではなく、そこに至るまでの過程を重点的に表現。

目玉をえぐり…舌を切り取り…四肢を切断し…と全力で繰り広げられる残酷描写に耐性がない方はグエーな気分かと。

最終的にはしっかりと過熱調理されるので、血の滴る肉をムシャムシャ…というシーンではなく、ほのぼのしたお食事風景でほっこりムード。まぁ露骨に人の脚の形してますけど(笑)

2人目以降は…

どうやら1人目で人食い描写に対する情熱は燃え尽きてしまったようで、2人目となるサマンサ(「私は足が速いのよ」)は殺害シーンはありませんでした。個人的に彼女が一番可愛いと思っていたので残念。

3人目は自決。4人目のラースは「生きたまま食われる」という、食人映画の真骨頂とも言える殺され方になるわけですが・・・ヤハ族が大量に群がりすぎでよくわかりません。

そしてとはもう誰も食われません。

一旦逃げたものの掴まってしまったダニエルは縛られてボッコからの『蟻責め』。まさかここで序盤の講義ネタが生きてくるとは。

それにしてもジャスティンとダニエルが逃げ出してからの、「なんとか脱出した二人を激流(ってほどでもない)が襲う!果たして乗り切れるのか!?」のくだり、必要ですか?ここだけチープな探検ドラマっぽい違和感が…。

ラストは続編へと…

そんなこんなで、結局ヒロインであるジャスティンは生き残るわけですが・・・

彼女が最後に『ヤハ族は良心的な部族だった。食人行為など無い』と訴えるところはなかなか味わい深い。あんな目にあっておきながら、言うねこの女。

そして流れるエンドクレジット、キャストの横に各人のツイッターアカウントが書かれている…ってのが笑ってしまいますなぁ(笑)

このクレジット内、早い段階で割り込まれるので見た方も多いと思いますが、オマケ映像として死んだと思われたアレハンドロの姿が。

これはあくまでも私個人の解釈ですが…身体を真っ黒に塗っている姿から、戦闘族長っぽい人(身体黒塗り、顔は黄色)の後継者的な位置に就いたのではないかと。

さらに言えば、大量に殺されて数が減ってしまったヤハ族を率いるような立場になったのでは…と。つまりジャスティンが嘘をついてまで守ろうとしたヤハ族は、置き去りにされ復讐に燃えるアレサンドロが率いる部族になっていた…てな感じでしょうか。

この映画は『Beyond the Green Inferno』というタイトルで続編の制作発表がありましたので、もしかしたらそっちに絡んでくるのかもしれません。

・・・が、2013年に制作発表されて以降、全く情報がありません。出ない・・かな・・・こりゃ。

個人的な戯言感想

全体的にインパクト重視でリアル感や生々しさに欠けており、もはやマンガのようにすら思える部分も多々ありますが・・・こういった作品はあまり多くありませんし、それだけでも観る価値があった気が。

余談ですが、監督イーライ・ロスと主演のロレンツァ・イッツォはこの作品の後に結婚しているそうですよ。歳の差はなんと17歳!おいおい、上手い事やったな監督さんよ。

なにはともあれ…

めっちゃ面白い!というわけではありませんし、めっちゃグロい!とも言えない中途半端な作品ではありますが・・・友人を呼んで焼肉パーティーなどする際に流しておけば盛り上がる事間違いなし。

こういう作品にしては珍しくエロシーンがほぼ皆無、おっぱいもほんのちょこっとしか出てきませんので…お子さんが一緒でも安心ですよ。あ、ダメだ。これはR-18作品なのでした…。