『ハイド・アンド・シーク』絵の意味は?ネタバレと別ラスト5種類
「DVD特典として、別パターンエンドを収録!」ってのは時々ありますが、映画館での上映時に別パターンのエンディングを付ける…という珍しいやり方で注目を集めた『映画/ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ』(あらすじとネタバレを含みますのでご注意下さい)
もちろんDVD版にも別エンディングは収録されており、セル版に至ってはさらに別のエンディングを追加して合計5種類(!?)のエンディングが観れるという・・・豪華を通り越してよくわからない仕様になっています(レンタル版は上映時の別パターンのみ収録)
ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ
(原題:HIDE and SEEK)
2004年 アメリカ
主なキャスト:
ロバート・デ・ニーロ
ダコタ・ファニング
ファムケ・ヤンセン
エリザベス・シュー
エイミー・アーヴィング
監督:ジョン・ポルソン
脚本:アリ・シュロスバーグ
ネタバレ無しのあらすじ
母親の自殺を経験して以来、心を閉ざしてしまった娘エミリー(ダコタ・ファニング)のため、ニューヨーク郊外の静かな田舎町に引っ越した心理学者のデヴィッド(ロバート・デ・ニーロ)。
新たな環境で懸命に娘の心を癒そうとするデイヴィッドだが、エミリーは「チャーリー」という空想の友達を作り、なかなか心を開こうとはしない。
日に日に不気味さを増す娘の行動と、周囲から感じる不穏な空気。もしや「チャーリー」とは実在の誰かなのか?
・・・といった内容の作品。

まずはネタバレが無い程度の話を!
衝撃の結末!…に慣れすぎると…
もはやサスペンス映画やミステリー映画は最後にひっくり返されてなんぼ。
どのようにすれば衝撃か・・・さらにその衝撃をもう1度ひっくり返せば・・・等々、作り手側もあの手この手でインパクトを与えようとしてきます。
この「映画/ハイド・アンド・シーク」も終盤にしっかり「じゃじゃーん!これが真実でした!」というひっくり返しはあるのですが・・ちょっとインパクトが弱いような・・。
大量にこの手の映画を観ていると、多種多様な「衝撃の結末」に慣れすぎてしまい、ちょっとやそっとのひっくり返し方では「ああ、このパターンだったか・・」と思ってしまうんですよね…。
子供をダシにナンパかっ!(笑)
映画序盤。環境を変えるために引っ越し、一生懸命母親の代わりをしようとするデイヴィッドの姿は見ていてとても哀愁漂うものがありました。
食事の最中にヘン顔を作って笑わせようとするも…スベる。部屋にエミリーが隠れていると思い、テンション上げて探したりしてみるものの…やっぱりスベる。痛々しいほどに。
しかし、ガソリンスタンドの近くで子供を遊ばせていた「わりと若くてムッチムチの美人」にいきなり声をかける彼の姿には思わず「おいおい、ナンパかっ!?」と(笑)
知らない町で友達を作りたいのかな・・・とも思いましたが、隣人のローラ(若くはない)には塩対応であまり親しくなろうとしない。その旦那さんに対する態度も、娘を守ろうとするにはちょっと過剰なほどの対応。
しかし声をかけた「わりと若くてボインボインの美人」エリザベスには、娘同士(エリザベスの娘ではないけど)をダシにしてちゃっかり家に招いたうえに対応時のテンションも明らかに違う。うん、男なんだね…デヴィッドも…。

まだ観ていない人は注意!
ここからネタバレを含むよ!!
チャーリーとエミリー
まずはデイヴィッドが最初にチャーリーの存在を聞かされるシーン。
「チャーリーは今ここにいる?」というデイヴィッドの問いに、エミリーが少し考えて「眠っているみたい」と答える。この段階ではこれが強烈な伏線だとは思いませんでした。
結末を知ったうえで見ると、エミリーが少し戸惑う表情をしてから答えている理由がわかります。それにしてもダコタ・ファニングは相変わらずスゴい。この部分、彼女は表情だけで隠された伏線をしっかり表現しています。この歳にして恐るべし。
それ以外にも、この映画は随所に伏線を散りばめてはいるんですよね・・・。
ところがその伏線が・・「なるほど」と納得できるものから「それは無いでしょ」と思うものまで差が激しく、どうも「秀逸な伏線」とは言い難い気が。かなりこちらの脳内で補完してあげないと、腑に落ちない伏線が多い気もします。
描かれていない部分・嘘の部分
感想サイトなどで「最後まで観てもイマイチ理解できなかった」という意見も多いこの映画。
終盤にちょっとした回想シーンで多少の伏線は回収してくれるのですが、余計に「あれ?じゃああそこはなんだったんだ?」となってしまう要素も出てくるので・・そこがまた面倒くさい。
結局のところ、デイヴィッドはヘッドホンも使っていなければ、エミリーの経過手記もつけていませんでした。引っ越しの荷物から出してもいません。
ですので・・・作品中でデイヴィッドが「ヘッドホンを使っていたシーン」と「手記をつけていたシーン」は全て嘘。実際には無かったわけです。
エミリーが夜にチャーリーとかくれんぼをする時も、エリザベスが襲われる時も、その前にデイヴィッドはヘッドホンを付けています。
おそらくこの「デイヴィッドがヘッドホンをつけているシーン」は「その時彼はチャーリーとして行動している」という事を表現しているのでしょう。
これは二度観したくなる素晴らしい伏線ですが、逆に言えば二度観ないとわからない伏線でもあります。
エミリーも二重人格!?
これも多くの方が支持している見解です。そしてラストでもそれを暗示していますし、後述の別エンディングでもほぼそのパターンになっています。
エイミー(エリザベスの姪)の人形をひどい事にしたのはチャーリーではなくエミリーですし。
ただそっちのほうは明確に「エミリー」と「もう1人」として描かれているわけではなく、表情や態度などから「ここは別人格のほう?」とか勝手に憶測する程度になってしまいます。
「チャーリーと仲良くしていたのは、エミリーの別人格のほう」という見解もあり、それは「なるほど、あり得る」と思いました。
さぁ別エンディングが始まるよっ!
記事冒頭にも書きましたが、映画館での上映時から「別エンディング」をぶっこんで来るという暴挙・・いや、珍しい手法で公開されたこの映画。
「DVD版だけの特典・別エンディングバージョン収録!」ってのはちょいちょい見かけますが、映画館で別エンディングを流すというのは驚きです。ちなみに日本国内では数ヵ所の映画館でのみ「別エンディング付き」が公開されたそうな。
最寄りの映画館で別エンディングが観れなかった方や、映画配信サービスでこの映画を観た人などは、DVD版で別エンディングを観ましょう。なんと5種類(通常バージョン+4バージョン)もの別エンディングが収録されています(セル版のみ。レンタル版は+1バージョン)
本来であればここで「気になる人はここから購入してね!!」で止めておけば、私としても些細な小遣いが入って嬉しいのですが・・・なにせ古い作品ですし、ぶっちゃけDVD買ってまで観る映画でもない気がしますので、内容を簡単に紹介してしまいましょう。
なお、全てのエンディングは
「洞窟っぽいところで、デイヴィッドがキャサリンに撃たれる部分まで」は同じで、その後の「キャサリンとの暮らし」の部分が違います。5種類の後日談がある・・という感じですね。
1)通常エンド
まずは通常のエンディング。
エミリーはキャサリンに引き取られ、明るい表情で幸せそうに暮らしています。書いている絵も「キャサリンと自分」が楽しそうに手をつないでいる姿です。
ハッピーエンドかー・・・と思わせつつ、最後に「絵の中のエミリーの顔が2つになっている」という・・・。

やっぱりエミリーも二重人格でした!この先何かありそうだね!
といった余韻を残すエンディングです。
2)エミリー収容エンド
ベッドで何かを書いているエミリーの元へキャサリンがやってきて「もう寝なさい」と告げます。
キャサリンは「ずっと愛している。守ってあげる」と語り掛け、エミリーも「わかってる」と返し、ハッピーエンドっぽい感じなのですが・・・
明かりを消して出て行こうとするキャサリンにエミリーが「部屋のドアを開けておいて」と言うと、「それはできないの」と、ドア閉めてしまいます。。。
なんとそこは病院の一室。エミリーは精神病院に収容されていたのでした、という・・・

明確に「二重人格」とはしなかったけど、やっぱりエミリーも病んでました!
のエンディングです。
劇場公開時とレンタル版DVDはこのエンディングが追加されています。
3)そのままハッピーエンド
これは通常エンドで、最後の絵も顔が増えておらず「幸せな絵のままで終わる」というパターンです。
最も健康的で余韻を残さない、ハッピーエンド好きには納得のエンディングです。
しかし私のようにひねくれた大人としては、ちょっと綺麗ごとすぎて物足りない。

やっぱり最後は気持ちよく終わらせないとね!
エミリー幸せそうで良かったね!!
というすっきりエンディングです。
4)エミリー1人でかくれんぼ
これは2のエンディングの亜種。しかし場所は精神病院ではなく、キャサリンの家に引き取られている状態です。
キャサリンが「ずっと愛している。守ってあげる」と語り掛け、エミリーも「わかってる」と返し、ハッピーエンドっぽい流れは同じですが・・
明かりを消してキャサリンが部屋を出ていくと、エミリーは一人でかくれんぼを始めます。クローゼットを開けて「見つけた」と笑う彼女ですが、そこには鏡に写ったエミリーの姿が・・・・。

「エミリー二重人格」を露骨な手法で表現したよ!
もうヤバいくらい病んでるね!!
のエンディングです。
5)病院⇒かくれんぼコンボ
これは2のエンディングに、4を足したようなエンディングです。
「ずっと愛している。守ってあげる」「わかってる」からの、「ドアは開けておけないの」も同じ。そこは精神病院でしたー、も同じ。さらにそこに追加されます。
廊下に出たキャサリンが「経過が良いみたいなので、来週には連れて帰る」と、引き取る旨の事を言いながら立ち去るのですが・・・
やっぱりエミリーは一人でかくれんぼを始めてしまい、クローゼットを開けて鏡に映った自分をみて「見つけた」で終わりです。

救いのない要素を、コンボで投入!!
のエンディングです。
・・・というわけで
長いっ!エンディングを全バージョン紹介しただけで、かなりの文章になってしまいました。
監督自身も「うーん、どれがええかなー・・・」という思いがあったのかもしれませんが、私個人としてはやっぱり通常エンドが一番良いかと思います。
そしてさらに個人的な意見を言わせてもらえば、キャサリン(ファムケ・ヤンセン)はあまり得意なお顔ではないので・・・エリザベス(エリザベス・シュー)でどうにかしていただきたかった。
それじゃ話の流れとしてダメなのは承知しております。ええ、わかっていますとも。
でも・・・でも・・・・

彼女が何度も見せてくれた、無駄にセクシーな「胸の谷間」が忘れられないんです…