『映画/パーフェクト・ルーム』のリメイク元…かと思いきや、実はさらに元がある『映画/LOFT-完全なる嘘(トリック)-』での戯言。ネタバレと結末を含むので未鑑賞の方はご注意を。
おおもとの作品は『ベルギーで10人に1人が見た』とまで言われるヒット作『ロフト.』(2008年)になります。
LOFT-完全なる嘘-
2010年・オランダ
キャスト:
バリー・アッツマ
フェジャ・ファン・フェット
イェロン・ファン・コニングスブルッヘ
アンナ・ドライバー
監督:アントワネッテ・ブーマー
脚本:バルト・デ・パウ、サスキア・ヌールト
ネタバレ無しのあらすじ
建築家のマティアス(バリー・アッツマ)は、4人の友人達に高級マンションのロフトルームを『秘密の不倫部屋』として共有しようと呼びかける。
全員妻子ある身でありながら、それぞれの欲望のためにロフトを利用する5人だったが、ある朝ベッドに手錠で繋がれた女性の全裸死体が。
カギを持っているのは5人だけ。つまり犯人はこの中にいるはず。男たちは互いにアリバイなどを探り合い、犯人捜しをするのだが…。
※予告動画は日本語字幕無し
リメイクで戯言
冒頭でも書きましたが、本作は2008年のベルギー映画『ロフト.』のオランダリメイク。
さらに同じ映画を元として、『パーフェクト・ルーム(原題はThe Loft)』というハリウッドリメイクも製作されています。
どちらも基本のストーリーに改変はありませんので、どれが一番面白いかは好みによるかと。
世間的には、
『ロフト』(ベルギー・本家)
→面白さNo.1
『LOFT-完全なる嘘-』(オランダリメイク)
→おっぱいNo.1
『パーフェクト・ルーム』(ハリウッドリメイク)
→見やすさNo.1
…と言われておりますが、私も概ね同意。
とにかくオランダリメイクはエロスにボリューム感があり、事あるごとにハァハァしてくるのでおっぱいもいっぱい。おっぱい星人ならばオランダ一択ですな…と言いたいところですが、いかんせん出演俳優のルックスが…。
質より量重視ならばオランダ、量よりも質を求めたいならばハリウッド、といったところですか。
「ゲス共が。映画とはそういうものではない」…という真面目さんは本家ベルギー版をどうぞ。
ここからネタバレを含むよ!!
二転三転のぐちゃぐちゃ
みんな大好き『どんでん返し系ミステリー』、しかも1度ではなく2度3度とひっくり返されたりしたら、もうそれだけで大興奮な方も多いかと。
本作も露骨なミスリードをバラ撒きながらグルングルンと返すわ返すわ…いったい何度ひっくり返されたのかわからんほどに回転させられます。
しかしこの『ロフト系3作』(本家とオランダ、ハリウッドのリメイク)の中で、このオランダリメイクはとにかく全体的にイマイチ。
シーンの繋ぎがヘタクソ。
時系列の表現がヘタクソ。
小出しに挟む回想の見せ方もヘタクソ。
混乱するほどではないものの、鑑賞者への配慮に欠けた部分が多く、要所要所に無駄だらけ。登場人物のセリフも足りなかったり余計だったり。
本家とハリウッドリメイクは同じ監督(エリク・ヴァン・ローイ)がメガホンを取っており、このオランダリメイクだけが別監督(アントワネッテ・ブーマー)ですので…まぁそういう事なのでしょうな。
リメイクでありがちな「監督が独自の解釈を加え、本家とストーリーが異なる」といったことはないので、最終的なオチとしては…
マティアス(建築家)は精子脳のヤリチンコ野郎でした。
ロブ(眼鏡)は予想通りのキモ男でした。
ウィレム(女好き)は少し自重しなさいよ。
バルト(医者)は真面目か。そして最後はまるで主人公か。
トム(弟)は変態シスコンなのでつける薬無し。
…という結末は変わらず。
ただし、オランダリメイクは「事件後、バルトは離婚した」という表現が無い(本家とハリウッドでは明確なセリフがある)ため、アンと再会して一緒にコーヒーを飲みに行くというラストがどうにもスッキリとせず…。
ついでに物語中盤に訪れてくる不動産業者のくだりもオランダ版では明確に回収しておらず、ぼんやり見ていると「あれは結局なんだったの?」となるやも。
さらに言えば、種明かしを知ったうえで再鑑賞すると、三作品の中で最も「いやいや、これはおかしいでしょう!」と感じる部分が多いのもオランダリメイクです(笑)
超個人的な戯言感想
というわけで。
ロフト系3作品の中で、このオランダリメイクが最もヘタクソで残念な仕上がりになっているのではないかと(あくまで個人の感想)。
ハリウッドリメイクも薄っぺらさが目立ちますが、監督の独りよがりになっていないぶん、映画としては見やすいですし。
本家とリメイク、どちらが良いかは作品によって異なりますが、ロフトはやはり本家が一番と感じますなぁ。