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今回はいろいろな意味でモヤモヤ感が残る『映画/運河の底』でネタバレ含む戯言を。事の顛末に対する答えは全て提示されているものの、解釈に悩むと言いますか…どうにも解説しづらい作品であります。

運河の底
(原題:THE CANAL)


2014年 アイルランド・イギリス

キャスト:

ルパート・エヴァンス
ハンナ・フックストラ
カルム・ヒース
アントニア・キャンベル=ヒューズ
ケリー・バーン
スティーヴ・オラム

監督:イヴァン・カヴァナー
脚本:イヴァン・カヴァナー

ネタバレ無しのあらすじ

美しい妻アリス(ハンナ・フックストラ)と共に運河そばの一軒家に移り住んだデイヴィッド(ルパート・エヴァンス)。

それから5年。

妻と息子ビリー(カルム・ヒース)と三人、幸せな暮らしを送っているかのように見えたデイヴィッドだが、どうも妻が浮気をしているような気がしてならない。

そんな折、映像記録局に勤める彼は1本の古いテープを目にすることに。

それは1900年代初頭の殺人事件記録であり、なんと映っていた犯人の家はデイヴィッド達が住む家だった。

妻に対する疑心暗鬼と古い犯罪記録。その狭間で彼は徐々に正気を失っていく…。

・・・といった流れで和製ホラーのエッセンスがふりかけられた作品。

注)予告編動画は外国語版

キャストで戯言

アイルランド&イギリス作品ということで、日本国内で特に有名と言える俳優の出演は無し。

しかし主人公の彼、どこかで見たことあるな…と思っていたら『映画/ザ・ボーイ 人形少年の館』ローレン・コーハンに色目使ってた男でした。変なB級感が漂う映画ですが、色々な意味で面白いので未鑑賞の方はオススメですぞ。

ネタバレ『映画/ザ・ボーイ 人形少年の館』ブラームスマジやべぇっ

不気味な雰囲気漂う人形系ホラー『映画/ザ・ボーイ 人形少年の館』でネタバレ含むあらすじ・伏線等の戯言を。最初の印象~中盤までは完全に心霊系のノリで進む本作ですが…

しかし私はどうも彼がザ・パンチの「ちゃっちゃちゃーっす」って言うほうに見えて仕方がない。よし、比べてみましょう。

こうやって比べてみると全然似てませんな(笑)どうしてそう感じたのか…。

目立つ女性陣は『デイヴィッドの奥さんアリス』『ベビーシッターのソフィー』『同僚のクレア』の三人だけですが、皆様それなりに美人揃いなので絵ヅラは快適。奥さんアリス(ハンナ・フックストラ)は短時間ながらエロティックシーンありです。

ココからネタバレを含むよ!!

オカルト?サイコ?

いきなりネタバレ全開で結論から言ってしまうと、この映画は

『奥さんが浮気していたので、旦那が殺しちゃった話』

です。

そこにオカルト要素を織り込む事で「悪霊的な何かが殺したの?それとも旦那の妄想で、やっぱり彼が殺したの!?」をドキドキしながら見る作品なのですが、そこらへんがなんとも微妙な仕上がり。

「起きろ!この家は危険だ!」と大騒ぎしながらあっち連れてったりこっち連れてったりの旦那様に、ベビーシッターの女の子も「もう何がなんだかわからないよ!」の表情。大丈夫、見ているこっちも同じ気分ですよ(笑)

要因はなんにせよ『旦那が妻を殺害した』(加えて同僚クレアも殺害)という部分を最後のドンデン返しとして持ってくるのではなく、かなり早い段階からネタバレ映像として見せてしまっているというのは…うーむ、どうなんでしょう。それでありながら『いやいや、犯人は幽霊ですよ!』の流れも同時進行なんですもの。

とりあえず試しに、心霊と妄想の二方向で解釈を分けてみようと思います。

幽霊がやりました解釈

1902年の記録映像から、デイヴィッドが越してきた家は『妻殺しの殺人現場』だった事が判明。その後妻の不貞現場を目撃してしまったデイヴィッドの前に現れた幽霊的な男は「妻を渡せ」と囁く。

それらは本当にデイヴィッドには見えており、その後起こる不可解な現象も全て実際に起った現象。しかし信じてくれない警察や知人達に囲まれ、一人憔悴していくデイヴィッド……という解釈で見ると、こりゃなんとも可哀想な話ではあります。

『妻を殺すという行為はデイヴィッド自身がやった事だが、それは幽霊的なアレの呪縛によるものだった』

…という結論ですな。

しかし過去にデイヴィッドの家で発生した「浮気した妻を殺害した事件」は良いとして、その他の「赤ん坊殺し」や「子供を生贄に…」などの事件との関連性が薄くて説明不足。

これならば余計なものは入れず、シンプルに一つの事件(浮気妻殺害事件)との紐付けを強くしたほうが良かったのでは…と。

全て妄想でした解釈

過去にデイヴィッドが住む家で殺人事件があったことは事実ではあるものの、ちょうど妻の浮気で疑心暗鬼に陥っているところにそれが重なったことにより…

『現実と妄想が結びついてしまい、全ての事柄を「過去の事件」と関連付けて考えるようになった』

…という解釈はいかがでしょう。

容姿も美しく華やかな世界で働く妻(職種は明確になっていませんが)に対する、地味な自分へのコンプレックス。

日に日に大きくなる妻への疑念に悩んでいるところに突然降ってきた「自分の家に住んでいた男が浮気をした妻を殺した」という衝撃の事実。そこに畳み掛けるように目撃してしまった妻の不貞行為(いやホント、あんなに激しいプレイにしなくとも…)。

それらによってデイヴィッドの精神はアレな事になっちゃいました。心霊現象などなく、全ては彼の妄想でした…と。

しかしこっちはこっちで「あれ?5年前の時点で人影が見えてたよね?」と気になりますし、なにより最後に息子のビリーがああいうオチになってしまうと「オカルト否定論」では腑に落ちなくなってしまう。

個人的に物語の本筋はこっち解釈(デイヴィッドの精神崩壊)のほうがしっくりくるのですが、やはりある程度の心霊現象は「有り」としないと映画が成立しない気がします。

超個人的な戯言感想

…というわけで「オカルト?サイコ?どっちなのよ!?」というモヤモヤに対する私の超個人的な結論は

どっちも中途半端に入っています

…というものに(笑)

そのモヤモヤ感が本作の魅力でもあるのでしょう、たぶん。

私は邦画が全く面白いと思えない人なので和製ホラーに関しても知識が浅いのですが、やっぱりそっちを意識した作りなんですよね?この映画。どうなんでしょう、詳しい方。

なにはともあれ、映画としては『正直あまり面白くなかった』が私の感想です。ホラーとしても別段怖くはありませんし、スリラーとしても少々物足りない。

もう幽霊とか犯人とかよりも、

美人で清楚っぽく見えた奥さんが、実はあんなにハードに腰を動かしまくるドエロ女だった

のほうがショッキングですよ。あまりの興奮に巻き戻して数回見てしまいました。

いつも「愛してる」とか言ってたカミさんのあんな姿見たら、そりゃ精神も崩壊しますわ…。